尾上松也さんが主演する舞台「怖い絵」が3月4日(金)から東京・よみうり大手町ホールで上演。演出・脚本を手掛ける人気放送作家の鈴木おさむさんとはラジオで知り合って以来、一緒に作品を作ることを熱望していたという。座長としての心構えの他、今ハマっているという、おうちランタンとフィギュアについても語ってくれた。
【尾上松也さんの撮りおろし写真】
ついにおさむさんと一緒にお芝居を作ることが出来るという喜びが大きかった
──出演が決まったときの心境はいかがでしたか?
松也 鈴木おさむさんのラジオに呼んでいただき、その後共通の友達を通じて、何度か一緒に飲みに行く機会がありまして、以前から「一緒に何かできたらいいね」とお話をしていました。これまでも何度かお声を掛けていただきましたが、なかなかタイミングが合わなくて実現せず、今回ようやく形することができました。ですので、ついにおさむさんと一緒にお芝居を作ることが出来るという喜びが大きかったですね。
──鈴木おさむさんと一緒に作品を作りたいと思った理由は?
松也 おもしろいじゃないですか。放送作家なのかプロデューサーなのか。演出家なのかタレントなのか、大島(美幸)さんの旦那さんなのか……もはや多才過ぎて、メインの職業が何かわからない。僕が好きなのは、楽しいこと、おもしろいことを探りだそうとされている姿勢。ジャンルを問わずにいろいろなところに目を向けていらっしゃるところが尊敬できますし、一緒に舞台を制作したらどんな発想が生まれるのだろう、近くで見たいと思いました。
──おもしろそうと思った人にはご自分から仲良くなりにいくタイプですか?
松也 無理ですね(笑)。普段は人見知りですので。例えば舞台をご一緒すれば最終的に共演者のみなさんと仲良くなりますけど、普段の自分の感覚で入るとまったく話せなくなるんです。だからそこはお仕事と割り切ってですね、グイグイ行きます(笑)。僕が人と話すのが得意ではないというと、舞台で共演した方は「また~」とおっしゃるのですが、舞台で会っていなかったら仲良くなれないからね、と(笑)。昔から知っている友達は理解してくれます。友達と会うときに、そこに知らない方がいらして「この方たちと会話しにくいかな」と思ったら、シャッターが降りてまったく会話をしなくなってしまうので(笑)。ですのでバラエティーなどの番組でお会いしておもしろそうだなと思う方がいても、「良かったら今度飲みに行きませんか」と自分からは言えないです。
──今回演じる絵田光は投資家、絵画コレクター、復讐執行人という3つの顔を持っている人物ですが、どんな役作りをしようと思っていらっしゃいますか?
松也 この3つの顔を持っている人物って、どう考えても変だと思うんです(笑)。僕もコレクションしたりするものがありますので、その気持ちはすごくよくわかる。その話になると急に声が1トーン上がるような、気持ち悪いところを持ってるんですね(笑)。要は絵田もオタクですからね。普段の絵田と好きなものに対するときの絵田、その違いが自然に出せたらなと思います。そして設定上はダークヒーローのような謎に満ちた人物で、ダークヒーローというとクールなイメージがあると思いますが、またちょっと違うダークヒーローになりそうな気がしています。今は固定概念にとらわれず、おさむさんがイメージする形に近づけたらなと思っています。
出演者とスタッフが楽しいと思ってもらえることが最優先
──今回は初めて共演する方ばかりだそうですね。座長としてどんな現場にしていきたいですか?
松也 僕が主演を務めさせていただけるときは、シリアスでもコメディーでも、出演者とスタッフが楽しいと思っていただけることを最優先に考えています。僕が今まで見てきた主演のみなさんから感じたことは、主演はカンパニーの中心ですので、役として務め上げることにプラスして、現場の雰囲気を決める責任もあると思っています。僕自身もみなさんを見て楽しいと思えることも重要ですので、人見知りなのでビビリながらですが……その雰囲気作りをやろうと思っています。
──その雰囲気作りのために座長としてどんなことをしようと思っていらっしゃいますか?
松也 空気を読みながらですが、基本的に僕は演出家の方が怒られない程度にふざけますね(笑)。今まで主演した歌舞伎以外の舞台は、それで楽しい雰囲気ができていたので、今回もそうできたらいいなと。とにかく一番は作品が良くなるようにみんなが一つになることを考える……スタッフ、キャストのみなさんにもその意識を持っていただけたらいいなと思います。
──では出演する作品を選ぶときにこだわっているコトを教えてください。
松也 純粋に自分が出演したいと思う作品、あるいは人であること、ですかね。主演ではなくても、おもしろそうな作品やお役で出演したいと思えば出させていただきます。
──松也さんご自身が、絵田のように声が1トーン上がるような好きなモノを教えてください。
松也 いくつかありまして、まさに今ハマっているものはスニーカーとキャンドル。スニーカーは200足くらいありますし、キャンドルもストックは100個以上あります。それからマーベルのヒーローもの。要は子供が好きそうなものが好きですね(笑)。話し始めたらいつまでも語れます。
家では照明を付けずランタンを持って移動しています
──では忙しいときにリラックスできるモノはありますか?
松也 最近ハマっているのは家ランタン。基本的には家では照明をほぼ付けないで、ランタンを持って移動します。最近オイルランタンという、こぼれても安全性が高めのオイルが出たんですよ。そのオイルを使ってランタンを家の中で灯すことにハマってます。
──家でも使いたくなるランタンの魅力とは?
松也 純粋に僕は火が見たいだけですので、正直ランタンでもキャンドルでもいいといえばいいんです(笑)。ですがキャンドルだと火の様子を見ていてあげたくなってしまいますが、ランタンはつけっぱなしでいい。オイルと芯を交換して、ちょっと放置していても基本的には大丈夫ですからね。火力調整ノブをひねればいいので、つけたり消したりするのもラクなんです。
──スニーカーを200足持っているということですが、コレクションを始めたきっかけは?
松也 一昨年の12月くらいNetflixでマイケル・ジョーダンのドキュメンタリーを観たのがきっかけです。もともと僕は野球小僧だったのですが、マイケル・ジョーダンの活躍のころは通ってきていましたので再び観てみたらとてもかっこよくて。「エア ジョーダン一足買っておくか……」と思ったのが運のつきでしたね。
──基本的にエア・ジョーダンを集めていらっしゃるんですか?
松也 基本ナイキでエア ジョーダンではないものも集めていたのですが、結局戻ってきてエア ジョーダン1ばかり集めています。
──オリジナルはかなり高価ですよね。
松也 サインが書いてあると億しますからね。1985年に発売されたオリジナルのエア ジョーダン1にそこまでこだわりはなかったんです。僕は1985年生まれということもあり、そこにいよいよ興味が湧いてきてしまい……残念ながら最近1985年のエア ジョーダンが欲しくてたまらない!
──集めたくなるエア ジョーダンの魅力はどんなところですか。
松也 ジョーダンの歴史がかっこいいですし、ナイキに関してはデザインがかわいくて種類も豊富ってところが大きいですね。ですが……根本的に大人になってからこういうものを買い漁る人の心理として、子供のときに買えなかったものがたくさん買える! あれも欲しいこれも欲しい! って欲求が爆発しているだけだと思います(笑)。
──確かに大人になると「こんなに買える!」って爆買いしてしまうときがありますね(笑)。
松也 僕にはそういう現象がちょくちょく起こりまして(笑)。大人になって初めての出演料が入ったときに、出演料を全額おろして銀座の博品館でスターウォーズのフィギュアを買い漁りました。好きなものを全部! それは今でも持っていますし、その時の幸福感は忘れられませんね。
舞台『怖い絵』
2022年3月4日(金)~3月21日(月・祝)東京・よみうり大手町ホール
2022年3月24日(木)~3月27日(日)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール
(STAFF&CAST)
作・演出:鈴木おさむ
監修:中野京子
出演:尾上松也、比嘉愛未、佐藤寛太、崎山つばさ、寺脇康文
(STORY)
名画に隠された恐怖の背景を解説し、ベストセラーとなった美術書「怖い絵」を舞台化。絵画コレクターの父を持ち、幼い頃から絵画の知識を得てきた絵田光。現在投資家として富を得ている絵田は、趣味で集めた絵画が飾ってあるレストランを山奥で敬遠している。絵田は「怖い絵」に秘められた物語を解き明かしながら、罪深きものたちに復讐の代行を行っていた。
撮影/関根和弘 取材・文/佐久間裕子 ヘアメイク/岡田泰宜(PATIONN) スタイリスト/椎名宣光