1月10日(水)にスタートする水ドラ25『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』(テレ東ほか 毎週水曜 深夜1時~1時30分)で主演を務める鞘師里保さんにインタビュー。ブルガリア菌推しの主人公・由寿を演じる鞘師さんが、由寿にシンパシーを感じる部分とは?
原作は、2023年に発売50周年を迎えた人気ベストセラーのヨーグルトを題材に「校閲ガール」の宮木あや子(みやぎ・あやこ)が著した「令和ブルガリアヨーグルト」(KADOKAWA刊)。企業の取材協力の下で執筆された、“お仕事+推し事小説”をドラマ化する。
鞘師里保さんが演じるのは、岩手の田舎出身でオタク気質な主人公・朋太子由寿(ほうだいし・ゆず)。そんな由寿が、“吾輩”こと乳酸菌(ブルガリア菌20388株)(橋本さとし)に見守られながら、ヨーグルトを題材にした創作小説に出てくるブルガリア菌への推し活に勤しみつつ、新人広報ガールとして奮闘していく。
◆本作が地上波連ドラ初主演となりますが、最初にお話を聞いた時の率直な感想をお聞かせください。
「地上波連ドラ初主演」というギラギラした文字面に戸惑いました(笑)。でも、ソロ活動を始めてからお芝居を3年ほどやらせていただいていて、初主演の機会をいただけたことがすごくうれしいです。主演と聞くと、あまりにも普段の自分と違う世界だなと思っていましたが、実際に現場に入ってからは少しずつ実感が湧いてきています。
最初は、しっかりしなきゃいけない、という気持ちがありました。これまでの現場では、先輩が気を使って話しかけてきてくださったりしていましたが、今回は自分から話しに行きたいなと。私は、相手に興味があっても話しかけていいのか分からなくて行けない、ということが多くて、日常生活でもそれが多いんです。でも今回はあまりそういうことは考えずに飛び込んでみようかなと思いました。キャストの中では私が一番年下ですが、スタッフさんの中には私よりも年下の方もいるので、そういう方にも友達のように話しかけてもらえるような環境作りを心掛けています。
◆鞘師さんが演じる朋太子由寿の印象はいかがですか?
由寿は社会人1年目で、岩手県の田舎から急に大阪で働くことになり、途中から東京に転勤になるという、本人からしたらあまりにも展開が多すぎて戸惑っているような状況だと思います。目の前のことにすごく真面目で、行動や挙動から、自分が大切にしているものへの真っすぐな気持ちが感じられます。台本を見ていると、「由寿ちゃんすてきだな」と思うことが多いですし、由寿の頑張っている姿や成長していく姿に感銘を受けたり、応援したくなったりして。私が鞘師里保として由寿を見た時にそう思ったので、ちゃんとそれを私が自分で体現してあげなきゃなと思いますし、由寿は私にとって守りたい存在です。
◆由寿の魅力や好きなところはありますか?
目の前にあるもの、自分が大切にしているものに対してすごく誠実な子だなと思います。都会に出て慣れない環境の中で、迷いがあってもがくシーンもあるのですが、信念を貫く意志は強くて。そこがまず彼女の魅力の一つだなと思います。
もう一つは、周りの人に面倒を見てもらったり助けてもらったりする中で、それを自分にしっかり還元できているところ。先輩にご飯に誘われて、打ち解けて、そこから会社にも慣れていって、企画を任せてもらったり。助けてあげたくなるような、放っておけないかわいらしさもあると思います。
◆鞘師さんご自身は由寿のそういう部分と共通点はありますか?
自分から「同じです!」とは言えないですが、周りの方のお話を聞くと少し似ている部分もあるかもしれません。例えば、私はつまずきやすくて、普段の生活やステージの上でつまずいてしまうことが多くて。そんな中で私のファンの方は、私がちゃんと階段を上り切ったら拍手してくださるんです(笑)。そういうところは由寿ちゃんに少しシンパシーを感じています。今回のドラマに入る際、周りのスタッフさんに、「あなたのすっとこどっこいなところ、そのままやればいいよ」と言われました(笑)。ナチュラルに演じていればそんなに遠い女の子ではないのかもしれないと思います。
◆そんな由寿を演じられて、由寿から学ぶ部分はありますか?
私は12歳から芸能界でお仕事をさせていただいていますが、由寿は初心を思い出させてくれる子だと感じています。私はダンスがやりたくて芸能界に入ったのですが、「憧れていた先輩たちと仕事ができる、頑張ろう」と思いながらも、楽しいだけではなくて苦労することもあったなと。由寿が初めてのものに対して立ち向かっていく姿を見ると昔の自分を思い出しますし、最初のころの気持ちを忘れたくないと思わせてくれます。
◆由寿は岩手県出身ですが、岩手弁はどのようにして習得されましたか?
私は西日本出身で、岩手とはなまり方が全然違うんですよね。なので、岩手弁のお手本を聞きながら練習したり、あとは共演の生駒里奈さんが秋田県出身なので、同じ東北の界隈ということで生駒さんに教えていただいたりしました。県が違うと厳密には違うそうなのですが、若者が使う東北弁などに関しては生駒さんも知識があるそうで、「これってどういうイントネーションなんですかね」とたくさん質問させていただきました。
◆本作では人間以外に乳酸菌が出てきますが、物語の世界観の印象はいかがですか?
不思議ですよね。乳酸菌が自分の横に存在しているというのはすごくファンタジーだと思いますが、お話自体は視聴者の皆さんの生活に結びつく部分も多いんじゃないかなと思います。例えば、自分が今やっている仕事の中でもっと上にいきたいけど頑張り切れない部分があるとか、自分が好きなもの、推しているものを周りの人に堂々と言うことに抵抗があるとか。アイドルが好き、音楽が好き、こういう映画が好き、という自分の推しで日々が潤っている、働いたり勉強したりする活力になる方はたくさんいらっしゃると思いますが、それはこのドラマと近いところがあると思います。主人公の由寿が何かに成功して大社長になる! とかそういうお話ではなくて、日々目の前のことを勉強して着実に前に進んでいって、新しい環境で輪を広げていく。一見すごくファンタジックに見えるかもしれませんが、そういった過程を見ていると、とても日常に寄り添ってくれる作品だなと思いました。
◆撮影現場の雰囲気はいかがですか?
1日中撮影していて、皆さん大変だと思いますが、スタッフさん同士でいじり合っていたり、片桐健滋監督を中心に、面白いことを言ってみんなを笑わせてくださったり。皆さんがそうやって盛り上げてくださるおかげで、とても楽しく撮影させていただいています。最初は主演というのもあって緊張しながらクランクインしたのですが、皆さんの明るさに助けられて、私はただただ楽しんでいます。
◆橋本さとしさんが乳酸菌のブルガリア菌を演じられていますが、橋本さんのブルガリア菌はいかがでしたか?
橋本さんのカッコよさ、ダンディーさが、あの菌のかわいらしさを演出してくれているなと感じています。撮影の中で高らかに歌い上げるようにせりふをおっしゃっていたりもしますし、現実世界に存在している役ではないので、自由に動き回られたりもしていて、「かわいい~!」と思う瞬間がすごく多いです(笑)。ただ、劇中では由寿ちゃんは乳酸菌の存在に気づいていなくて、乳酸菌とは会話ができないんです。でも、気づいてないけどそばにいてくれているということを客観的に視聴者の方は見ることができるので、それで私自身も見守られている、支えられているという気持ちになりますし、それが役作りになっているような気もします。
◆撮影中は橋本さんとどのようなお話をされていましたか?
橋本さん演じるブルガリア菌は、おなかの中の菌として共存しているから一緒にいるという設定なのですが、私も橋本さんも同じシーンを演じているはずなのに会話をしていないのでお互い一人芝居なんです。会話ではなく自分発信で情報を出していかないといけないというのがお互いにあるので、それが大変ですよね、とお話をしました。2人が同じ画面にいるのに会話をしていないというのは不思議な状況で難しいですよね、と。乳酸菌は、菌のお話や状況のお話などストーリーテラー的要素も兼ねていると思うので、せりふも多くて。そういう意味で、橋本さんは「僕は長年ミュージカルやドラマをやっているけど、これだけせりふが多いと年々頭に入ってこなくなる。それを今回すごく実感している」とおっしゃっていました。でも、私からしたら、一人芝居の文言を一気に覚えるのは単純に大変だと思いますし、年齢のせいではないと思いますよとお伝えました(笑)。
◆菌の名前など難しいせりふもありますよね。
由寿がハマっている、ブルガリア菌とサーモフィルス菌の創作小説があるのですが、キャラクター化されて物語になることによって、難しい言葉もすっと入ってくるんです。分かりやすくエンタメに昇華されたことによって、こんなにも楽しく文字が入ってくるんだ、と実感しています。
◆乳酸菌のお話というのは珍しいと思いますが、役を演じられていて難しいと感じることはありますか?
突如笑ってしまうような出来事が起こるみたいなことが多々ありまして。例えば、仕事が終わって由寿が家に帰ってきて、「疲れたー!」と言う日常にありそうなシーンで、由寿の横10センチくらいのところで乳酸菌が「お疲れさま」って言っていたりするんです(笑)。それをガン無視しているという状況に笑ってしまうことがあります。撮影でもやり直しをすることがよくあります(笑)。
あと、由寿が東京で働くときの先輩として明日海りおさんが出演されるんですけど、明日海さんが乳酸菌演じる橋本さんを見ちゃいけないのに見ちゃうこともあって(笑)。皆さんそこに苦労してらっしゃる感じがしました。橋本さんは、どうしてもいい意味で存在感がすごくあるので、それを無視しなければならないというところに苦労があります。
◆由寿はそのブルガリア菌を推していますが、鞘師さんご自身は今推しているものはありますか?
人や生物に対しては今のところないのですが、食品サンプル推し、食玩推しです。今はガチャガチャも種類が増えてすごく流行っていると思うんですけど、私はお菓子の製品が小さくなっているものが特に好きで。今回ドラマで明治さんに協力いただいていますが、明治さんのチョコレートや果汁グミなどがキーホルダーになっているガチャガチャなんかもあって。
その中でも、このお仕事を始めてから私が特にテンションが上がるのが、楽屋弁当のガチャガチャです(笑)。オーベルジーヌとか、まい泉のお弁当とか、喜山のお弁当とか。小さくなってガチャガチャで売られています。ガチャガチャをやる目的として「何が出るのかな」という楽しみがあると思うのですが、私はコンプリートしたくて全種類パックを買いました(笑)。
◆人などではなく食品サンプル推し、というところは由寿と少し似ている部分もありそうですね。
そうですね。ドラマの最初の方や東京に転勤した後などの由寿ちゃんは、人と話す時に緊張しているのが見受けられるのですが、ブルガリア菌の話や自分の知識のある専門分野の話になった途端に冗舌になるんです。その気持ちがすごく分かります(笑)。今もこんなに話しすぎたらいけないよなと思いながら楽屋弁当のミニチュアの話をしていました(笑)。
PROFILE
鞘師里保
●さやし・りほ…1998年5月28日生まれ。広島県出身。AB型。2011年にモーニング娘。9期生としてデビューし、2015年に卒業。近年は音楽活動を中心に、『ワタシってサバサバしてるから』『めんつゆひとり飯』などに出演。
番組情報
水ドラ25『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』
テレ東ほか
2024年1月10日(水)スタート
毎週水曜 深夜1時~1時30分
配信:
各話放送終了後から、動画配信サービス「U-NEXT」にて第一話から最新話まで独占見放題配信
広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東HP、TVer)にて見逃し配信
原作:宮木あや子著「令和ブルガリアヨーグルト」(KADOKAWA刊)
主演:鞘師里保
共演:明日海りお 生駒里奈 / 橋本さとし
野村麻純 永田崇人 好井まさお 水間ロン ・ 宇野祥平 中島ひろ子
脚本:阿相クミコ、波多野都
監督:片桐健滋、藤田結衣、佐藤洋輔
音楽:田井モトヨシ
プロデューサー:阿部真士、元村次宏(東通企画)、藤田結衣(東通企画)
企画協力:株式会社 明治/株式会社 明治アドエージェンシー
制作協力:東通企画
製作著作:テレビ東京
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