SIHH2017で発表された新作を紹介していきます。今回は、A.ランゲ&ゾーネ。SIHH期間中に創業者一族であり、ブランド復興の立役者でもあるウォルター・ランゲ氏の訃報があり、その悲しみを乗り越えての新作発表となりました。
第5弾“プール・ル・メリット”堂々完成
A.ランゲ&ゾーネは、毎年、新作の主役となるモデルを巨大なオブジェとしてブースに展示するのが恒例となっています。2017年に大型化されたのは、ブランドが誇るコンプリケーションの「トゥールボグラフ・パーペチュアル“プール・ル・メリット”」。鎖引き機構が組み込まれたハイコンプリケーションです。
搭載する手巻きCal.L133.1は、永久カレンダー、クロノグラフ、ラトラパント、鎖引き(チェーンフュジー)動力伝達、トゥールビヨンという5つの複雑機構を集約。総パーツ数は、684個(676個で構成されるチェーンは1つの部品としてカウント)にも及びます。
従来モデルに比べると、カレンダー機構が追加された本機はトゥールビヨン装置と文字盤の位置関係が広くなっています。そのためキャリッジを支えるブリッジが、文字盤からくぼむように設計されました。A.ランゲ&ゾーネほど品質にこだわるブランドになると、わずかな曲面が増えただけでも仕上げの手間が倍増することは、想像に難くありません。
先述の通り5つの複雑機構を備えているわけですが、そのうちの2つは精度維持のための機構。鎖引き動力伝達機構でパワーリザーブ持続時間中のトルクを一定に保ち、さらにトゥールビヨンで重力負荷を分散することで、安定した高精度を得るのです。
このように徹底的に精度にこだわった複雑時計は、プラチナケース仕様で世界限定50本となります。
十進式でチャイムが鳴る“時打ち時計”の3作目
「ストライキングタイム」「ミニッツリピーター」に続く、ツァイトヴェルクの“鳴り物系”第3弾は、正時と毎10分に音で時を報せるソヌリです。ストライキングタイムでは15分、30分、45分でしたが、最新作では10分で1回、20分で2回、30分で3回…と、10進式でチャイムが鳴ります。
ソヌリをOFFにしたい時は4時位置のボタンを押すとハンマーがゴングから離れて固定された状態に。リューズを引き出した際にも同様の状態になるそう。ハンマーとハンマーの受けにある微細な凹凸は、職人の手作業によるトランブラージュ仕上げです。
昨今では、リピーターウオッチの響きを考慮してチタンをケース素材に採用するブランドが多いですが、A.ランゲ&ゾーネは、独自の合金ハニーゴールドを選択。限定本数は100本です。
レギュラーモデルからも新作が充実
非限定モデルでは、先行発表された「ランゲ1・ムーンフェイズ」の正式公開や、A.ランゲ&ゾーネでは2型目となる年次カレンダー搭載モデルも発表されました。