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2021/2/27 20:30

スリムなのに立つ! コクヨが挑戦した「ビジネスリュック」がテレワーカーに絶賛されそうな理由

文房具レビューを連載している筆者だが、実は文房具好きであると同時にカバン好きでもある。とくにリュック系。ライターという仕事柄、取材であちこちへ移動が多いため、快適に荷物を持ち運びたいから……というのが理由だ。

 

そのため、クラウドファンディングのサイトで面白そうな機能がついたリュックを見つけると、ついつい購入してしまう。ちなみにここ最近気になっているのは、ハンモックを内蔵したトラベルリュックだ(いま購入を迷っているところ)。

 

そんなこんなで、自宅にはリュックだけでも20個近くあって、収納スペースを圧迫している。「モノを入れるモノを入れておく場所がない」というのは、冷静に考えるとなかなか無駄の多い話ではある。

 

そんなリュック好きかつ文房具好きにとって、ちょっと聞き逃せない話を耳にした。なんと、お馴染みの文房具メーカー、コクヨが「リュックを作る」というのである。

 

コクヨは、これまでにもポーチやフリーアドレス用バッグをオフィス向けに発売してきたが、リュックというのはさすがに初耳。さらに、リュック以外の製品ラインアップも加えて、2021年3月から「THIRD FIELD」という新ブランドとして全国展開するとのこと(一部店舗では2月10日より先行販売中)。うーむ、どんなものか、気になるに決まっている。

 

今回はありがたいことに、件のリュックを発売前から1か月以上に渡って試用する機会を得たので、同じく「コクヨのリュック気になる!」という方に向けてレポートしてみたい。

 

コクヨのリュック、大地に立つ!!!

あらためて、新ブランドのTHIRD FIELDについて。これはいわゆるサードプレイス(自宅でも職場でもない、第三の居場所)に近い意味合いで、新たに仕事をする空間を快適にしつらえるツールとして展開していくらしい。

 

その中でも注目したいのが、“コクヨのリュック”こと「STAND BACKPACK」である。

コクヨ
THIRD FIELD(サードフィールド)
STAND BACKPACK
13.3インチモデル 1650015.6インチモデル 19000円(ともに税別)
※写真は13.3インチモデル

 

ビジネスリュックとしては定番のややスリムなフォルムで、サイズは13.3インチと15.6インチの2展開。つまり「それぞれノートPCのサイズに合わせた荷室がありますよ」ということで、よくあるリットル容量表記よりも分かりやすく、現実的だ。

 

スリムな分だけ容量は少ないが、都市部での電車移動を考えると、むしろこれぐらいスリムじゃないと困る、というケースも充分に考えられる。13.3インチモデルで厚みの実測が100mmほどだったので、これなら電車内でも周囲への影響は最低限に抑えられそうだ。

↑背負った状態で周りに圧迫感を与えにくいスリムさ

 

上下分割コンパートメントがメインの収納

荷室は、まずサイズ表記の元ともなっているノートPCの収納がひとつ。それに加え、PC収納と同じトップファスナーからアクセスできる上部荷室と、両サイドのファスナーからアクセスする下部荷室の、上下分割コンパートメントがメインの収納となっている。

 

さらにトップポケット、背面パッド脇のサイドポケット、フロントポケットと計3か所のポケットを備えており、小物は適宜振り分けて入れておくという感じだ。

↑ジッパーでガバッと開く上部荷室には、ペンケースやACアダプタなどがすっきり収まる

 

↑上部荷室からアクセスできるPC収納。クッションは内蔵していないので、PCケースに入れるか、底にウレタンクッションを引くなどしたほうが安全かもしれない

 

↑上部荷室に近いトップポケット。内張はメッシュ素材なので、収納物が上部荷室からも透けて確認できる。メガネケースやワイヤレスイヤホンケースがここにちょうど良く収まった

 

スリムなボディに自立機能を搭載

そして最大の特徴が、自立機能。なにしろ“自立型ペンケース”を生んだコクヨだけに、スリムなリュックだって立たせてしまうのだ。

 

立たせ方は簡単で、バッグ前面の下をつまんで引っ張るだけ。マグネットで固定されていたカバーがパクッと開いて支えになることで、しっかり立つという仕組みである。戻すときは、リュックを持ち上げるだけで、勝手にマグネットがくっついて元通り。

↑普段はマグネットで固定されているスタンド用カバー。ここを開いた状態で置くと……

 

↑スリムリュックが安定して自立するのだ!

 

リュックが自立してなにかイイかというと……例えばカフェのベンチ席に立てて置けば上部荷室とPC収納からの出し入れがラクだ。

 

他にも、出先の会議室で荷物を置く場所がないときにも、立たせてしまえば邪魔になりにくい。カウンターだけのラーメン屋で荷物は床に置くしかないという状況でも、立たせておけば汚れる心配は最小限で済むだろう。

 

何も考えずにサッと置けるというだけで、かなりストレスフリーなのである。

↑カフェに床置きしたまま、サッとPCが取り出せる。このスリムではなかなかできないぞ

 

↑ワークスペースでも立たせておけば荷物の出し入れがスムーズだ

 

これまでは壁や椅子の脚に立てかけるなど、状況に合わせてなんとなく乗り切ってきたわけだが、今後はもうその場しのぎでリュックの場所を考える必要がなくなるのだ。自立しなくてもリュックとしては成立するけど、それでもあった方がなにかと嬉しいタイプの機能だろう。

 

実際に、これを1か月ほどメインバッグとして使ってみた体感としても、リュックを立たせておきたいというシーンは日常的に意外とあったんだなあ、という印象だ。

 

物申したいところも……

ただし、収納については、個人的には下部荷室へのアクセスがもうちょっと使いやすいとありがたかった。

↑収納量が一番大きい下部荷室がこれだけしか開口(左サイド)しないのは、ちょっと使いにくい。中もよく見えないので、出し入れは手探りになる

 

サイドファスナーはそれなりに大きく開く構造になってはいるものの、全体を通して最も大きい荷室へのアクセスとしては不十分。手を突っ込んでの出し入れが面倒なので、あまり使う気持ちになれないのである。そこはちょっと惜しいし、容量的にももったいない気がする。

 

対して上部荷室は、ファスナーでフルオープンになるので、アクセス良好。ノートPCと一緒に使うACアダプタやモバイルバッテリーなど、頻繁に使うものは全部こちらに放り込んでおきたい。

 

……などと文句はあるものの、メーカーとして初のリュックと考えれば、この完成度の高さはたいしたものだと思う。

↑右サイドの開口は下部荷室アクセスと兼用でドリンクホルダーにも変身する。これはちょっと面白い機構だ

 

特に「ノートPCとケーブル類、あとは飲み物と文房具一式あればどこでも仕事OK!」というタイプの人……つまり、すでにノマド的な働き方ができている人なら、このリュックはかなり使えるはず。なにより、どこでもワークなスタイルと、自立して「邪魔になりにくい・置き場所で悩まず済む」機能との相性が良すぎだ。

 

価格的にはけっしてお安い方ではないが、他にないタイプのリュックである。気になるのであれば、機会をみてぜひ試してみて欲しい。

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