Vol.160-1
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回は9万9800円(税込)から購入できる「MacBook Neo」の話題。教育市場での普及を目指す狙いと、他のMacBookとの違いを解説する。
今月の注目アイテム
アップル
MacBook Neo
9万9800円~
13インチのLiquid RetinaディスプレイとA18 Proプロセッサーを搭載し、高度なAI性能を実現。アルミ製ボディは軽量で、最大16時間の駆動が可能だ。カラーはブラッシュ、インディゴ、シルバー、シトラスの4色が揃う。

アップルにとって重要な教育市場向けモデル
3月5日、アップルはMacの新ラインとして「MacBook Neo」を発表した。日本での価格は9万9800円からだ。
サイズは「MacBook Air」からあまり変化していないが、価格は9万円以上安い。若年層が狙いなのは明らかだ。キーボードの色も白をベースに、ボディカラーに合わせてそれぞれ調色されている。
こうした低価格製品が必要な理由は、それだけアップルにとって教育市場が大切である、という話でもある。
MacBook Neoはアメリカだと599ドルから。それが教育機関・学生向けにはさらに100ドル値引きされ、499ドルになる。日本向けだと8万4800円からでこれでも十分安いのだが、アメリカの感覚に合わせていえば「6万円の製品が5万円で買える」のに近い。
教育現場でもPCは必須の存在。この市場では、グーグルのChromebookとの競合が激しい。ウィンドウズPCは低価格製品で快適な製品が少ないので対抗し得るのだが、Chromebookは低価格でもそれなりに快適に使えて、教育現場での管理も容易。そのこともあって、Chromebookの勢いは大きい。
アップルはiPadを教育市場向けに提供している。これはこれで好評だが、キーボードよりもカメラ・タッチなどが重視されており、比較的低い年齢層に向けたものになっている。しかし高校生・大学生世代となると、キーボードを軸に据えた製品であることが求められるようになってくるのだ。
そうすると、やっぱりMacに対するニーズは大きかった。近年は低価格MacとしてMacBook Airの低価格モデルが充てられていたのだが、それでも価格は1000ドル程度。教育市場では500ドルくらいであることが求められ、Chromebookはその市場にマッチしており、一定の評価を得ている。
アップルとしては教育市場への対応が急務だったので、今回MacBook Neoを作って対抗することにしたわけだ。
プロセッサーは「Aシリーズ」を採用
他のMacとの違いは、プロセッサー性能とメモリー量、ストレージ量だ。Mac向けは「Mシリーズ」が採用されてきたが、今回は初めてiPhoneに使われる「Aシリーズ」になった。具体的には、iPhone 16 Proに使われている「A18 Pro」のMacBook Neo版を採用した。
面白いことに、プロセッサー自体の性能では、iPhone 16 Pro向けのほうが、MacBook Neo向けより性能が良い。GPUコアが1つ少ないのだ。メモリー量は8GBで同じ。iPhoneとしては多めだが、Macとしてはギリギリの容量でもある。細かく仕様を選び、とにかく価格を重視したことが見えてくる。
一方で、今回同時期に発表された「MacBook Air」や「MacBook Pro」は、プロセッサーを進化させただけでなく、メインメモリーは最低16GB。ストレージも、MacBook Proは最低1TBからと増量されている。その分最低価格は若干上がったが、同容量のストレージで比較すると、前のモデルより安くなった。
こうした選択には昨今問題となるメモリー価格の高騰も影響している。どういうことかは次回以降で解説したい。
週刊GetNavi、バックナンバーはこちら