外見を清潔に整えることは、周囲の人に不快な思いをさせないためのマナーである――と、よく言われます。そこに疑いの余地はないと思いますが、これをよりポジティブに解釈すると、外見を美しく見せることで周囲の人に快い感情を生むことができる、ということ。例えば、圧倒的に清潔感がある人と一緒にいると、自分もイケている感じがする。この人がいると、場が華やかになるんだよなぁ……といった風に。つまり、外見を磨くことは周囲へのサービスの一種である、と言えるわけです。
顔に投資するか否かでイメージに大きな差が生まれる
では「外見」のなかで、もっとも目立つ部分はどこか。いうまでもなく「顔」ですね。筆者が敬愛するファッション系インフルエンサーのMB氏も、「人が話すときに視線を向けるのが顔。だから顔周りの小物には投資すべき」と語っています。同様に「顔」そのものに投資するか、しないかでイメージに大きな差が生まれるのではないでしょうか。
さて、そんなことを考える筆者もすでに45才(独身)。「お肌の曲がり角」を曲がり切り、勢い余ってUターンしそうなお年頃。30代の後半から無印良品の化粧水と乳液の愛用を始め、それなりに満足してきましたが、試供品を使ってみたのを機に、半年ほど前からちょっと高級なアイテムに変えました。それが「SKIN X」(スキンエックス)です。
「SKIN X」は、脂性肌用のREDと乾燥肌用のBLUEの2タイプを展開しており、筆者はBLUEのクレイ洗顔と化粧水を使用中。このほか、REDにもBLUEにも分類されない乳液を仕上げとして使っています。
クレイ洗顔は、泡立てるとほわっほわの泡ができあがります。その泡で洗うと、洗い上がりはしっとりでつっぱり感が一切なく、やはり違うなぁというのがわかります。化粧水は、頬や額に塗るとスッとなじんでベタつかないのが気に入りました。さらに乳液を使うと、肌の輝きと次の日の肌のきめ細かさがまったく違ってくるんですよね。化粧水や乳液は、ちょっと手のひらに残ったものを、くちびるや首の後ろ、手の甲などにも塗り込んでいるのですが、ふとしたときにそれらの感触を確かめると、すべっすべになっているんです。
総じて、価格が高いだけあってスゴイな! という印象でした。問題があるとすれば、化粧水も乳液も、終わりが近くなるとポンプがうまく中身を吸い上げられず飛び散りがち……という点ぐらいでしょうか。
価格は高いが、誠実に作られた製品なのがわかった
とはいえ、「SKIN X」なんて聞いたことがないので、ちゃんとした会社が作っているのか気になりますよね。発売元は、東京・目黒区のMOON-X(ムーンエックス)株式会社。会社名からして、ウェイ系の経営者がウェイウェイ言いながら作っているのかな……(ひどい偏見)と思い調べてみると、かつてFacebook Japanで代表取締役を務めていた長谷川 晋(しん)氏が創業した会社だそう。「日本のモノづくりを体現するブランド群を、テクノロジーを活用して世界中に提供していくことで、たくさんの人々の生活を豊かにする」というビジョンのもと、女性用スキンケアブランド「BITOKA」(ビトカ)やクラフトビールのブランド「CRAFTX」(クラフトエックス)も手掛けているそうです。公式サイトには社長のほか、幹部らしき方の顔写真もきちんと載っていてその前職も名の知れた企業ばかり。公式サイトには、「SKIN X」に関する長谷川氏のメッセージ(以下)も載っていました。
男性の肌は、女性の肌とは根本的に違う。だからこそ、男性の肌だけに向き合い、その悩みを解決するために設計されている製品を作りたいと考えました。
また、多くの男性はスキンケアのことを「女性のもの」「ベタベタする」「面倒」と思っているかもしれません。そんな既存のイメージを覆すような「男性の肌用」「スッキリと気持ちいい」「シンプルで続けやすい」製品を作るべく、原材料や処方、デザイン、香りを徹底的にこだわりました。
なるほど、製品を使ってみたら、上記の思想が確かに製品に生きているのがわかります。男性でも手に取りやすいシャープなデザイン、シンプルな製品ラインナップ、ベタつかずさらりとした質感――。そう考えると、しっかりしたコンセプトのもと、考え抜かれて誠実に作られた製品なのかな、という気がしてきます。
気になる点といえば、やはり価格ですね。容量あたりで見ると、洗顔料はコンビニで買える製品の6~7倍。化粧水や乳液は、無印良品の4倍~5倍。たやすくコスパがいい、などとは言えません。「SKIN X」の感触の良さや仕上がりの良さには大いに驚き、気に入りましたが、価格の差がそのまま結果につながるのか? と言われると、正直自分にもわかりません。無印良品の化粧水や乳液を使っているときでも「肌がキレイ」と言われていましたので、結果だけを見れば、そこまで大きな差はないのかも。
とはいえ、冒頭で「外見を美しく見せることは、周囲への一種のサービスである」と述べましたが、「周囲」には「自分」も含まれています。鏡に映った自分の肌が明るく見えたとき、何気なく触れた肌の感触がスベスベだったときの快感は、ときにタフな毎日を乗り切るための大きな活力となります。筆者の場合は、45歳なのにありがてぇ……いや、45歳でもまだまだ行ける! と思えたのは間違いのない事実。ならば、特に「スキンケアは何もしていない」という方こそ、その違い=快感を強く感じることができるはず。そう考えると価格だけで選択肢から排除してしまうのはもったいないのかな、と思います。
もちろん、スキンケアのビギナーがいきなり「SKIN X」から始める必要はありません。ぜひ、できる範囲でスキンケアを試してみてください。ああ、自分を大切にしているな、日々お肌が良くなっているな……という感覚が楽しめて、ちょっと「いいな」と思うはずですよ。