家電
炊飯器
2017/2/10 13:04

あのバルミューダが出した炊飯器の「実際どう?」を徹底チェック! 圧力IHと比べたら「昔ながらの味」だった

“極上のトースト”が焼けるトースターとして世間の話題をさらった「BALMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)」の登場から2年足らず。ついにバルミューダから、発売を予告されていた炊飯器「BALMUDA The Gohan(バルミューダ ザ・ゴハン)」が登場しました。その最大の特徴は、“蒸気で炊く”という炊飯方式です。でも蒸気で炊くとは一体どういうことなのか?  果たしてそれがおいしいのか? いろいろと気になることだらけなので、さっそく試してみました。

 

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第一印象は「機能もデザインもシンプル」

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【SPEC】●サイズ質量:W275×D251×H194㎜/約4kg ●炊飯容量:3合●消費電力:670W

 

BALMUDA The Gohanは炊飯容量3合、本体サイズもW275×D251×H194mmとコンパクト。昔ながらの炊飯鍋を彷彿とさせつつ、シンプルに研ぎ澄まされたデザインは、デザインでも注目を集め続けてきたバルミューダらしさを感じさせます。

 

見た目だけでなく、機能も実にシンプル。ボタンで選べるのは、炊飯モードの「白米」「白米早炊」「玄米」「炊込」「おかゆ」のほか、基本的には予約だけ。近年のトレンドである銘柄炊き分け、食感の炊き分けはおろか、保温機能すらついていません。理由は、「保温機能はご飯のおいしさを損ねてしまう」からだそうです。

 

シンプルゆえか、実売価格も4万4820円と意外とお手ごろ。近年の高級炊飯器ブームからすると、あのバルミューダなのに安いという印象です。とはいえ肝心なのはご飯の味。さっそく白米を炊いて味わってみましょう。

↑機能がシンプルなら操作パネルもシンプル。全体のイメージを崩しません
↑機能がシンプルなら操作パネルもシンプル。全体のイメージを崩しません

 

傷つけずに炊く方法を模索し蒸気炊飯に行き着く

この炊飯器が画期的なのが、一般的においしく炊けるといわれている圧力IH方式をあえて使わず、“蒸気で炊く”という貴重な炊飯方式を採用した点。外釜と内釜を重ね、その間に水を入れて熱することで、目に見えない”蒸気の釜“が内釜を包み込んで加熱する、という仕組みです。

 

ではなぜ圧力IH方式ではダメだったのか。実は圧力をかけるメリットとして、短時間で温度が100℃以上に達することと、お米が撹拌されて加熱ムラが防げることが挙げられます。しかしバルミューダは、100℃を超えない温度で自然に加熱したほうがお米を傷つけないこと、そして土鍋や羽釜で炊くご飯のお米は踊っていない(撹拌されていない)ことから、「圧力をかけずにおいしく炊ける方式があるはず」と模索し、蒸気にたどり着いたといいます。

 

ご飯を炊くときはまず、本体に入れた外釜に水200㏄を入れます。そして、その水の上にかぶせるようにしてお米と分量の水を入れた内釜を入れ、あとは炊飯モードをセットするだけ。ちなみに今回、お米2合で「白米」の炊飯を選んだところ、「残り時間 60分」と表示されました。

↑外釜と内釜、さらに升の形をしたお米用計量カップと、コロンとした蒸気用計量カップがセットになっています
↑外釜と内釜、さらに升の形をしたお米用計量カップと、コロンとした蒸気用計量カップがセットになっています

 

↑外釜に入れる水の量は、お米の量にかかわらず200㏄。この水を入れるという“儀式”は、同じく水を入れる必要があるBALMUDA The Toasterを思い起こさせます
↑外釜に入れる水の量は、お米の量にかかわらず200㏄。この水を入れるという“儀式”は、同じく水を入れる必要があるBALMUDA The Toasterを思い起こさせます

 

↑水を入れた外釜の中に、お米と水を入れた内釜をセット。あとは「炊き方」ボタンを押してモードを設定し、「炊飯」を押せば炊飯が始まります
↑水を入れた外釜の中に、お米と水を入れた内釜をセット。あとは「炊き方」ボタンを押してモードを設定し、「炊飯」を押せば炊飯が始まります

 

炊飯に60分は長く感じますが、これも圧力をかけずに自然に加熱するがゆえ。30分ほど経ったころ、1mを超える蒸気が立ち上り始めました。最近は、蒸気を外に出さない炊飯器も増えているのに対し、本機は“蒸気で炊く”というコンセプトの通り、視覚的にも「確かに炊き上がりに向かっている」というワクワク感を感じさせてくれます。

↑プシューっと吹き出し始めた蒸気の高さは、1mを超えています。この姿も土鍋で炊くご飯を彷彿させます
↑プシューっと吹き出し始めた蒸気の高さは、1mを超えています。この姿も土鍋で炊くご飯を彷彿させます

 

圧力IHで炊いたものと食べ比べてみたら……

さて60分経過し、ご飯が炊きあがりました!  期待を込めてフタを開けると、ぎゅっと締まったような炊き上がりで、しっかりした粒感が感じられます。

↑炊き上がり
↑炊き上がり

 

同時に、比較用として自宅の圧力IH炊飯器でもご飯を炊いてみました。こちらはお米の表面がふんわりしていて、粒の大きさも気持ち大きくふっくらしています。

 

両方を食べ比べてみました。まずはバルミューダのご飯から。口に入れると、見た目の印象の通り、1粒1粒がかためでしゃっきりしています。また最初はあまり感じられなかった甘みも、噛めば噛むほど増してきて、お米のうまみがぎゅっと詰まっているな、という印象。全体としてはしゃっきりとした食感で、さっぱりした味わいです。一方、圧力IHのご飯は、お米の香りと甘さが際立つもっちり濃厚な味わい。

↑まさにしゃっきり、という言葉がぴったりな食感
↑まさにしゃっきり、という言葉がぴったりな食感

 

正直、どちらがおいしいのか、というのは好みの問題なのですが、バルミューダは明らかに圧力IHとは真逆の方向に行っていると感じました。そして、この主張しすぎないさっぱり感は、同社が提唱する通り、卵かけご飯やカレーライスにぴったりだと感じます。

↑濃厚な卵かけご飯との相性は抜群。粒がしっかりしているのでほぐれやすく、1粒1粒に卵が絡まります
↑濃厚な卵かけご飯との相性は抜群。粒がしっかりしているのでほぐれやすく、1粒1粒に卵が絡まります。同じ理由でカレーライスにもマッチ

 

続いて、炊込モードで炊きこみご飯を炊いてみました。2合で炊いたものの、釜が小さいので、ご飯が溢れんばかりの勢い。だし汁や具も一緒に炊きこむため、正確な水加減が難しかったせいか、ペチャっとした仕上がりになってしまいました。

 

ちなみにバルミューダのご飯は冷めてもおいしいというので、おにぎりにしてみました。炊いてから6時間後に食べたところ、確かにさっぱりして粒感もあるせいか、炊き上がりに近い風味を味わうことができました。

↑おにぎりにすると風味が落ちるかと思いきや、むしろ食感がしっかり残っていて、好印象でした
↑おにぎりにすると風味が落ちるかと思いきや、むしろ食感がしっかり残っていて、好印象でした

 

一筋縄でいかないところも魅力のひとつ

このBALMUDA The Gohan、ここまで使ってみて、実にクセのあるユニークな炊飯器だと思いました。何よりもまず、蒸気で炊くというユニークさ。そのため毎回、釜に水を入れるというほかにはないひと手間が加わるほか、洗い物が増えるという難点があります。

 

ただし洗い物に関しては、釜自体が小さくて非常に軽いので、当初心配していたほどの手間ではありませんでした。一方で、蒸気が思いっきり上がるため、蒸気が壁や天井、食器棚などの家具にあたらないよう注意する必要があります。

 

また圧力をかけないことは、確かに昔ながらのご飯に近いのかもしれない、とも感じました。最近の圧力IH炊飯器で炊いたご飯は、甘みがしっかり引き出されているため、口に入れた瞬間においしさが感じられ、次々に箸を口に運んでしまいます。対照的に、バルミューダのご飯は噛むごとに甘みが出てくるので、しっかり味わいながら食べられます。水分たっぷりの甘いご飯は重くて苦手、という人ならバルミューダがピッタリではないでしょうか。

 

いずれにしても、今まで圧力IH炊飯器を使っていた人なら、戸惑うことの多い炊飯器であることは確か。でもそういった一筋縄ではいかないところもまた、バルミューダらしさともいえます。本機の購入を検討している方は、こういったクセを愛することができるのか、意識しながらトータルでチェックしてみてください。

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