今回は、パナソニックの最上位コードレス掃除機「パワーコードレス」に搭載されている「からまないブラシ」は本当に毛が絡まないのか? それを確かめるのが本稿です。パナソニックの調査(※)によると、「ブラシに毛がからむことに不満を感じたことがあるか?」との問いに、93.9%の方が「不満を感じる」と答えたとのこと。その点、「からまないブラシ」は「髪の毛やペットの毛もほとんどからまない! ブラシを取り外す手間なく、お手入れラクラク」(公式サイトより)だといいます。
※調査内容:ブラシの毛がらみに関する調査/コロナ禍における掃除への意識変化 調査対象:日常的に回転ブラシ式のコードレススティック掃除機またはキャニスター掃除機を使用している20~50代10歳以下の子どもを持つ女性100名かつ、ペット(犬か猫どちらか)を飼っている女性100名が対象
大量の髪が落ちているガチ環境=美容室で「からまないブラシ」を試したい
それが本当なら、9割以上の方の不満をすっきり水に流してくれるわけですよね。最高じゃないですか。しかも、パナソニックほど名の通ったメーカーが、はっきり「からまないブラシ」と命名しているわけですから、どれほどの実力か試したくなるのが人情というもの。せっかく実力を試すなら、エンジョイな環境ではなく、ガチな環境のほうがいい。そう、大量の生髪(なまがみ)が落ちているような場所が。それはどこだろう…美容室だ!
そこで編集長の山田佑樹に、こんな企画をやりたいんですけど、どこかいい美容室ないですかね? と聞いてみたら、行きつけの美容室を紹介してくれました。それが東京・品川区の戸越銀座商店街にある「美容室 ちゃぶだい en」さんです。ちなみに、手前みそなことを言うと山田はかなりこだわりの男。その山田が選んだ店ならば、きっと上質な髪がたくさん集まるに違いありません(謎理論)。これは楽しみだ。…というわけで、ある晴れた日の朝、同店を訪問。
【初級編】まずはカットした山田の毛(短め)を吸ってみる
今回の検証の流れとしては、山田がカットした髪を吸引するのを手始めに、だんだんと吸っていく髪の毛の量を増やして、検証の負荷を上げていく方針。果たしてどこまで行けのるか……? これは楽しみです。
待つことしばし。山田の頭から落ちた、切りたての髪の毛が集まったところで、さっそく吸っていきましょう! 男性の髪ですからそれほど長さはないし、問題なく吸えるのでは……? という感じで吸ってみたら、結果はまったく予想の通り。一瞬で吸い取りました。もちろん毛絡みも皆無。まあ、ここでつまづくわけがないですよね。ただ、次は一気にハードルが上がりますよ!
【上級編】日常生活では出ないぐらいの長い髪の毛を吸ってみる
次のお題は、おそらく女性のものと思われる、なが―い髪の毛です。あらかじめ美容室で取り置いていただいたものを使用。ひゃー、手にしてみると結構多いですね。多いというか怖いに近い感覚。ふだんの生活では目にしたことがない量です。
実際に吸ってみたら、これも一瞬で吸い込みました。問題は毛絡みです。どうなんだ? ひっくり返してブラシを見てみると……?
絡んでない! さすがは「からまないブラシ」、これでまちがいなく髪の毛が絡みづらいというのが立証されました。
オーナーがいいところを全部言ってくれました
というわけで、毛絡みの検証は終了。せっかくなので、中立な立場の同店オーナー・小林さんにパナソニックの「パワーコードレス」を使ってみてもらいました。美容師という職業だけに髪の掃除に悩むこともあり、掃除機に関してはプロのレビュアーに負けない観察眼があります。小林さん、どうですか?
「思ったよりスイスイ進みますね。うわーこれは楽しい」
そうなんですよ。自分もこの検証の前に家で使ってみたんですが、パワーブラシのおかげで、勝手にスルスル前に進むんですよね。感覚としては、力を入れなくても掃除機が勝手に掃除してくれる印象です。あと、「クリーンセンサー」というのがついていて、ゴミを検知すると本体のランプが赤早点滅して自動で吸引力を上げてくれるんです。ゴミがなくなると青ランプがつくんですよね。
「あ、本当ですね。これも面白い。いったん青になったところをもう一度かけても青のままですね。やっぱりちゃんとセンサーが働いているんだ。これなら達成感もあるし、掃除するやる気も起きますね」
あと、ヘッドのパイプの付け根あたりにペダルがあるのわかります? ちょっと試しに踏んでみてください!
「あ、ヘッドが外れました! なるほど、これで狭いところが掃除できるんですね。しかも先が光ってる! うん、これは便利です」
でしょう? これは「親子のノズル」と言って、かがまずに子ノズルに切り替えられるのがいいんです。立ったまま元の親ノズルに戻すこともできるんですよ。
では、ひと通り掃除機を掛けてもらったところで、取れたゴミを見てみましょうか。
「あれ、けっこうゴミが取れてますね……。今日はフロアをモップがけしてほうきで掃いていたんですが……。吸引力が強いから、日ごろ取り切れていないゴミが取れたのかな」
お目が高い! 本機の吸引力は吸込仕事率という指標で最大205W。これは掃除機のなかでもトップクラスなんです。ウチのラグで使ったときも、ラグに絡んだ細かい毛玉なんかを一発でキレイに取ってくれました。あれは快感だった……。
結論は「本気でほしい掃除機」になりました
小林さんが本機のいいところをしっかり伝えてくれたところで、今回の検証は終了。毛絡みの検証では、本当に吸えんのか? 絡まるんじゃないか? と心配でしたが、そんな不安を完全に払拭する結果となりました。少しでも疑いの念を抱いてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。
最後に、筆者のパワーコードレスの印象を少々。先述しましたが、パワーがあるので1回のストロークでゴミが取れる確率が高く、クリーンセンサーの「ゴミの見える化」と相まって絶大な安心感があります。また、子ノズルが便利で、筆者が住むモノが多く狭い部屋ではかなり重宝しました。パワーブラシによる軽い操作感もあって、気軽な気持ちで掃除を始め、子ノズルを駆使するうちに、気づけば家中の掃除が終わっている……といううれしい誤算も。ちなみに、運転音はよくある「キーン」ではなく、「ウィィィ…」という控えめな音で耳ざわりな印象がなく、続けて掃除をしてもまったく気になりません。
使ってみた感想をまとめてみると、「本気でほしい掃除機」という結論に至りました。さらに「からまないブラシ」のおかげで毛絡みが抑えられ、ペットの毛もよく吸うということですから、もう何も言うことはないですね。実売価格は8万1280円。なかなかのお値段ですが……一回使ってしまうと、やっぱりいいな、と思うのです。特に、毛絡みに悩んでいる人だったら手に入れて損はないでしょう。
ちなみに、「パワーコードレス」シリーズには、今回使用したMC-SBU840Kのひとつ下のモデル、MC-SBU640K(実売価格6万8510円)も用意しています。充電台や子ノズルのLEDナビライト、付属品のロングホースなどを省略したモデルで、吸引力などのスペックは同じ、かつ「からまないブラシ」も搭載しているので、こちらを選んでもいいですね。というわけで、毛絡みを防ぐ機能は文句なし、吸引力も抜群で使い勝手も良好なパワーコードレス。改めて、いい掃除機だと思いました。
撮影/我妻慶一