ライフスタイル
2024/12/26 20:00

簡易トイレ、50回分あっても足りないかも……? 山善に学ぶ、本当に必要な「防災グッズ」の揃え方

2024年は、元旦の能登半島地震にはじまり、8月8日には宮崎県日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生、翌9日に気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表するなど、否が応でも防災意識を高めなければならない出来事ばかりでした。また2025年1月は、阪神・淡路大震災から30年の節目でもあります。

 

そうしたなか、数多くの防災グッズを手掛ける山善が、メディア向け「タッチアンドトライ会」を12月10日に開催しました。同社は防災士の資格を持つ社員が商品開発に携わっており、新商品からロングセラーまで、さまざまな防災グッズが会場に集結。

 

特に「需要が拡大している」という簡易トイレを中心に、備えとして持っておきたい注目アイテムを紹介します。

↑命を守るために必要な「一次避難用アイテム」30個を収納する「防災バッグ30 YBG-30」(以下防災バッグ30)

 

「防災バッグ」は一家に一個じゃなく、一人一個揃えて

会の冒頭、同社の家庭機器事業部 第3商品統括部 商品企画4部長・小浜成章さんが説明に立ちました。16年から防災グッズ関連の商品開発を担当しており、18年には防災士の資格を取得。ロングセラーの「防災バッグ30」を生み出した人物です。

 

販売数170万個を突破した同社の「防災バッグ30」は、命を守るために必要な「一次避難用アイテム」30個を収納。懐中電灯、ホイッスル、ラバー手袋、EVAサンダルなどが入っています。価格は4800円(税込)。一家に一個ではなく、一人に一個揃えてほしいという思いから、できるだけ安価に設定しているとのこと。

 

バッグにあえて「余白部分」を作っているのが特徴です。季節や、使う人の年齢、性別に応じて、カイロやアイスノン、生理用品といったアイテムを追加してほしいという思いが背景にあります。

 

さらに高品質で、本格的なアイテムを備えたい人には「リュック&キャリー型防災バッグ30点セット YKB-30R」があります。価格は7980円(税込)に上がりますが、リュックとして背負えるだけでなく、キャリーとして引いて運べるうえ、簡易エアーマット・空気入れや簡易トイレといった、避難所生活に欠かせないアイテムも入っています。

↑重い給水タンクも、キャリーなら持ち運びやすい

 

↑専用の空気入れで手軽に膨らませることができる簡易エアーマット

 

同社が発売する防災アイテムのなかでも、トイレは備えにおけるキーアイテムです。実際に、同社における簡易トイレの販売実績の推移をみると、能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報をきっかけに伸びており、需要の拡大が見て取れるとのこと。

 

特に、能登半島地震で断水が長期化したことで、多くの簡易トイレを備えておく必要性が浮き彫りになりました。そこで同社は12月に「もしもの時に備える!緊急簡易トイレ」を発売。こちらは消臭・抗菌効果のある凝固剤や、10回分を1袋にまとめる処理袋などがセットになっていて、50回分と100回分の2種類を展開しています。

 

そんなにたくさん要るの? と思うかもしれませんが、小浜さんによると「1人あたり、1日に使う量は大体5個くらいの計算」とのことなので、1人で1箱(50回分)確保したとしても10日分。4人家族で1箱(50回分)使うとなると、2日ちょっとで使い切ってしまう量なのです。

 

もしもの時に備える!緊急簡易トイレ100回分YAK-100
実勢価格:4980円(税込)

<内容>
凝固剤×100袋
汚物袋×100枚
便座カバー×4枚
処理袋×10枚

 

もしもの時に備える!緊急簡易トイレ50回分YAK-50
実勢価格:2980円(税込)

<内容>
凝固剤×50
汚物袋×50枚
便座カバー×2枚
処理袋×5枚

↑「もしもの時に備える!緊急簡易トイレ」

 

使い方は簡単。小浜さんが、青く着色された水を尿に見立てて実演しました。水が入ったカップに凝固剤を入れ、しばし待ちます。

↑小浜さんによる「緊急簡易トイレ」の使い方実演

 

体感として、1分くらい経ったかどうかという短い時間で、すっかり固まりました。カップを逆さにしてもこぼれてくる様子はありません。

↑凝固剤を入れて固まった水

 

あとは、固まった水(尿)を汚物袋に入れてしばればOK。断水時に家のトイレで使う場合は、便器の底に汚物袋が直接触れないよう同梱の「便座カバー」を敷いておくのがよいそう。

↑固まった水(尿)を入れ、口を縛った汚物袋を見せる小浜さん

 

トイレそのものの備えも重要ですが、あわせて考えたいのがトイレットペーパー。水に溶けてしまうため、湿気の多い場所での保管や水害時の使用が難しい課題がありました。

 

そこで同社は、アルミ真空パックで長期保存が可能な備蓄用トイレットペーパー「長期保存用トイレットペーパー」を考案(山善取り扱い商品、製造元は丸英製紙)。包装されているので水没しても使えて、カビも防ぎます。保存期間は、製造日から10年です。

 

70mタイプ巻(スリムタイプ)と、200m巻(ロングタイプ)があり、70mは1人で使用した場合で1週間相当。「スリムタイプ」とある通り、防災バッグなどに追加しやすい手のひらサイズです。ロングタイプは、1人で使った場合20日分になります。

 

そのほか、頑丈な樹脂製で組み立てが簡単な折りたたみ式トイレや、手回し・乾電池・AC電源・モバイルバッテリーの4電源に対応する「手回し充電テレビ+ラジオ JYTM-RTV430」(税込1万7800円)など、災害時に持っておくと安心感が段違いのグッズが揃っていました。

↑折りたたみ式で簡単に設置・収納が可能な災害時用トイレ「サッと簡単トイレ」(24年8月発売、税込3490円)

 

小浜さんは、「防災グッズは日常的に準備しておくべきものであり、いつでも使える準備を整えておくことが大事であり、さらに自分で考えることが欠かせない」と話しました。住んでいる地域特性や、一緒に避難する家族の人数など、考慮すべき点は多岐にわたるうえ、さまざまな被害から得られた教訓をもとに情報をアップデートしていく必要があります。

 

必要なアイテムや個数は人それぞれ。命を守ることは大前提として、避難生活が長期間にわたっても大丈夫なように想定しておきたいですね。