エンタメ
2016/2/10 20:30

【今日から音楽ツウのふり。】スペシャ系が浮上した紅白ロック地図

コレを読めば最新ミュージックシーンが手にとるように“わかった気に”なれる!
怖いもの知らず系音楽ライター・石井恵梨子の「今日から音楽ツウのふり。」

 

第四十八回のテーマ
サングラスが消えてスペシャが浮上した紅白におけるロック地図

 

昨年の紅白歌合戦、視聴率の不振だのマンネリだの散々なことを言われていたが、いや、私、思う存分楽しみましたよ。「毎年ここで歌わせて頂くことが人生最大の喜びです」と言わんばかりの演歌大御所チームと、「カメラの前ではいつでもどこでも全力で笑顔!」なアイドルチームに挟まれて、自分のスタンスを決めかねているようなJロック系の人たち。「出演する以上やることはやります、でもこの豪華絢爛な演出に巻き込まれたくないんです……」という表情こそが紅白の醍醐味だと個人的には思っている。

 

一昔前なら、あくまで素っ気ない態度を貫き、表情が見えぬようサングラスを着用する人が多かったが、考えてみれば現在、サングラスのバンドって皆無に近い。今年の出演者で言えばXJAPANのTOSHIくらいか。そして国民的グループであるEXILEのボーカルが「グラサンと言えば俺」のポジションに収まっているのだ。これは非常に興味深い変化だと思う。

 

今回初登場であることが話題になったゲスの極み乙女。とBUMP OF CHICKEN。それぞれ4人編成の実力派ロックバンドだが、いかにも線の細い、どこか中性的なルックスにサングラスはまったく似合わない。もっと言えば派手な衣装とか過激なアクションも全然似合わない。これもまたいまっぽい特徴だ。

 

かつて、お茶の間のロックといえばB’zであり、Xやラルクであり、彼らのような華を持たない普段着の実力派バンドは大概「スペシャ系」と呼ばれていた。音楽専門のCS放送「スペースシャワーTV」によく出ていたためだ。バンプなど「スペシャ系」の筆頭だし、ゲス極もその潮流にいるバンド。今回初登場の星野源もソロとはいえ十分「スペシャ系」である。ふむ、CS放送専門だったJロックがNHKの国民的番組に呼ばれる時代になったのだなぁ。

 

 

“わかった気に”なれる2枚

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ゲスの極み乙女。
「両成敗」
初回生産限定盤 3500円(税別)
通常盤 3000円(税別)

「私以外私じゃないの」を含む最新作。新手の面白バンドというイメージを覆す高度なアレンジと見事なメロディが満載。

 

 

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BUMP OF CHICKEN
「Butterflies」
初回限定盤(CD+DVD) 4500円(税別)
通常盤 3000円(税別)
2月20日発売

結成20周年となる今年、2月に通算8枚目のアルバムが登場。儚くも壮大な美メロは健在。新機軸のアレンジにも期待。

 

 

音楽ライター 石井恵梨子

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