また今年も、大掃除の季節になりました。一年分の頑固な汚れを取り去るのは大変で、憂鬱。そんな掃除はもう終わりにしたいですよね。これからは「予防掃除」で、手間がかかる掃除のいらない家をつくりましょう。「予防掃除」の生みの親でもある知的家事プロデューサー・本間朝子さんに、すぐに実践できる予防掃除術について教えていただきました。
「予防掃除」とは?
そもそも予防掃除とは、家が汚れないように工夫したり、掃除自体を減らす努力をしたりすることを言います。実はこの単語は「掃除が大の苦手」と話す知的家事プロデューサーの本間さんが、どれだけ楽に掃除を済ませるかを考えた末に生まれたのだといいます。
「もともと私は家事が苦手で、なかでも掃除が大嫌いでした。どうしてもキレイな状態を保つことができず途方に暮れていたとき、たまたま予防医療のことを知ったんです。そして『怪我や病気を防ぐ』という予防医療の考え方を掃除にも応用できるかもしれないとひらめきました。
その後、2013年に受けた雑誌の取材で『汚れを防ぎ、掃除を楽にする方法』をご紹介したとき、何気なく『予防掃除ですね』と言ったんです。そうしたら、それを見たテレビ関係者などから取材の依頼が来て『予防掃除』という単語が瞬く間に広まり、いつの間にか一般化していきました」(知的家事プロデューサー・本間朝子さん、以下同)
予防掃除の5つのポイント
予防掃除には覚えておきたい5つのポイントがあります。まずはこれらを参考に、自分の家のどこに手を加えるべきか考えていきましょう。
1. 汚れるものの使用をやめる
物が多ければ多いほど掃除する箇所も増えてしまいます。例えば、三角コーナーや歯ブラシスタンドなど、なくても困らないものをなくせば、その分掃除をする手間が減ります。
2. 汚れに強いアイテムを選ぶ
予防掃除は買い物の時点から始まっています。バスルームやトイレで使うアイテムは「抗菌仕様」のものにするなど、何かを買うときはできる限り汚れにくいものを選びましょう。
3. 汚れがたまる場所をなくす
汚れがたまるのは掃除が行き届いていないから。大きな家具家電を置くときには、掃除道具の届く隙間をつくることが重要です。
4. 汚れないようにカバーする
大きな家具家電の上や手の届きにくい細かな部分などは、どうしても掃除しづらくなります。取り替えやすい紙や布でカバーし、汚れがたまったら交換するだけの状態にしましょう。
5. 掃除したくなる道具を揃える
1~4を実践しても汚れを100%防ぐことは不可能……。だからこそ頑固な汚れになる前にささっと掃除をすることが大切です。動線の中にフロアワイパーを置いたり、汚れが落ちやすい最新の道具や掃除を楽しくするアイテムを買ってみたり、「ささっと掃除」を習慣化する工夫をしてみましょう。
■本間さんおすすめ!掃除をちょっと楽しくするアイテム
・アース製薬「らくハピ マッハ泡バブルーン 洗面台の排水管」オープン価格(実勢価格650円前後)
ジェット噴流の泡が排水管を一気に洗浄! オーバーフロー穴から泡が噴き出てくる感覚は爽快です。
・花王「キッチンマジックリン 泡ジェット」オープン価格(実勢価格600円前後)
一度レバーを引くだけで数秒間泡が出続ける優れもの。コンロやシンクなどの大きな面を掃除する際も、一気に洗剤を広げることができます。
・ライオン「ルックプラス 泡ピタ トイレ洗浄スプレー」オープン価格(実勢価格400円前後)
レバーの引き方で泡の形状が変化するスプレー。ゆっくり引くともこもこした泡、すばやく引くと液体に近い泡が出てきます。
今すぐ真似できる予防掃除術
今回は「リビング」「キッチン」「洗面所」「バスルーム」「トイレ」の5つのエリアについて、すぐに実践できる予防掃除術を教えてもらいました。
リビングですべき予防掃除術 3
1.大きな家具家電はキャスターで動かしやすくする
フロアワイパーや掃除機などでさっと掃除できるように、大きな観葉植物や空気清浄機などはキャスター付きの台に乗せておきましょう。
2.細かな汚れがたまる場所はマスキングテープで保護
窓のサッシやゴミ箱のフチは、マスキングテープで保護して汚れを防ぎましょう。また、スイッチガードに貼ることで、細かな溝にたまる汚れや表面の黒ずみを防止できます。
3.ダイニングテーブルと壁の間にすき間をつくる
クイックルワイパーや掃除機のサイズに合わせてすき間をつくっておくことで、部屋の隅々までさっと掃除ができます。
キッチンですべき予防掃除術 3
1.料理をするときは1口コンロ用のアルミガードを使う
料理をするとコンロの周囲2mに油がはねると言われているため、アルミガードは必須です。1口コンロ用にすることで、油がはねる範囲がぐっと狭まるうえ、折り畳めばシンク下などに収納できます。
2.冷蔵庫やレンジフードの上にラップを敷く
冷蔵庫やレンジフードの上にたまったほこりは、料理中に出る蒸気や油が混ざってべたべたとした頑固な汚れに……。ラップを敷いて1年に1回交換するだけでOKな状態にしておきましょう。
※冷蔵庫の上部に吹出口などがある場合には、その部分を避けてラップをしてください。
3.冷蔵庫のドアポケットにキッチンペーパーと紙コップを活用
ドレッシングやソースの液だれが、ドアポケットの汚れの原因に。底にキッチンペーパーを敷いたり、紙コップを収納ケース代わりに活用したりして、汚れてもすぐに取り換えられるようにしましょう。
洗面所ですべき予防掃除術 2
1.ゴミ受けをパンチングタイプに変更
髪の毛などが絡まり、ぬめりを生じる排水溝。複雑な形状のゴミ受けは掃除をするのもひと苦労のため、つい見て見ぬふりをしてしまう人も多いのではないでしょうか。パンチングタイプのゴミ受けなら、中央のくぼみにごみがまとまるので、さっと拾うだけで掃除が完了します。
2.洗濯機のホースにラップを巻く
そうそう掃除することのない洗濯機まわり。特にホースの溝に入った汚れはなかなかとれないため、ラップを巻いて汚れを防ぎましょう。
バスルームですべき予防掃除術 3
1.バスグッズはとにかく浮かす
ラックや床にバスグッズを置くと、水がたまってカビの原因になってしまいます。フックなどを使って床から離して保管するようにしましょう。バスルームの壁は磁石になっていることも多いので、磁石でくっつくラックやタオルバーを使えば保管場所を追加できます。
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2.最新カビ防止アイテムを取り入れる
カビ防止アイテムを使うかどうかでバスルームの掃除頻度が大きく変わります。近年、カビ防止アイテムはさらに進化しており、最近は置いておくだけでOKなものが増えてきました。より手軽に取り入れられるようになった今こそ、一度試してみてはいかがでしょうか。
3.湯船に重曹を入れる
重曹は入浴剤として使えるうえ、浴槽に汚れをつきにくくする効果もあります。そのため重曹を溶かした湯船に浸かり、お湯を抜いて軽くスポンジでこすればお風呂掃除が完了。洗剤などでゴシゴシ洗う必要がなくなります。
※余分な皮脂を落とす効果もあるため、重曹入りの湯船に浸かりすぎると乾燥につながります。多くとも2~3日に1回程度にしましょう。
トイレですべき予防掃除術
1.トイレットペーパーでトイレ用洗剤を浸す
トイレの便器の内側にトイレットペーパーを敷き詰め、その上からトイレ用洗剤を吹きかけて5分放置します。トイレ用洗剤の効果が便器全体にいきわたって汚れを落とし、あらたに汚れがつくのも防止できます。
「アイテムを揃えたり、ラップやマスキングテープを貼ったり、予防掃除も最初は少し面倒に感じるかもしれません。しかし一度がんばって取り組めば、その後は汚れたときに交換するだけになります。来年は大掃除ではなく “ノー掃除” で年を越せるように、ぜひ予防掃除にチャレンジしてみてくださいね」
プロフィール
知的家事プロデューサー / 本間朝子
フードプランニング会社のチーフディレクターを経て独立。自分自身が仕事と家事の両立に苦労した経験から、時間と無駄な労力を省く家事メソッド「知的家事」を考案。「時間がない」「家事が大変」と嘆く多くの主婦の悩みを解決している。NHK「あさイチ」や日本テレビ「ヒルナンデス! 」などのテレビ、「クロワッサン」「ESSE」「レタスクラブ」などに出演。著書に『60歳からの疲れない家事』『写真で分かる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』(ともに青春出版社)、『ムダ家事が消える生活』(サンクチュアリ出版)、『ゼロ家事』(大和書房)、『名もなき家事を楽しく減らす法』『ざんねんな片づけ』(王様文庫)他、全12冊。オンライン上で仲間と交流を深めながら、楽しく家事をするコミュニティ「家事トモ☆サロン」主宰。音声メディア「Voicy」パーソナリティ。