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2023/8/14 6:30

Z世代の約半分が持ち物を「資産」と想定。「売る前提で買う」Z世代の心理

メルカリは8月7日、「世代別の消費行動と資産認識」に関する調査結果を発表した。同調査では、18歳~69歳の男女、1030名を対象とし、特にZ世代(18歳~24歳)に焦点を当てている。その結果、約2人に1人が、自分の持ち物を売ることを前提に買い物を行っていることが明らかとなった。

 

“売る事を前提に買う”のはZ世代が最多の59.1%

メルカリ総合研究所(運営:メルカリ)は、2023年7月11日~12日、全国18歳~69歳の男女1030名を対象に「世代別の消費行動と資産認識」に関する調査を行った。本調査では、各世代の年齢構成をZ世代(18歳~24歳)、ミレニアル世代(28歳~43歳)、バブル世代(54歳~58歳)と定義している。

 

調査の結果、フリマアプリ利用率は全体で56.6%。世代別には、Z世代が64.1%、ミレニアル世代が60.2%、バブル世代が51.6%となった。また、フリマアプリ利用者のうち、54.2%が「新品購入時にリセールバリューを考える」と回答。最も高いのはZ世代で、59.1%だった。

 

フリマアプリの出品理由では、「使わなくなったので、欲しいと思う人に使ってもらいたいから」が最も多く64.3%。Z世代は「売ったお金で欲しいモノを購入するため」という理由が最多で62.9%であった。これはバブル世代と比較すると約2倍で、このことからも特にZ世代が自分の所有しているものを資産としてみているといえる。

↑フリマアプリの利用率は、Z世代が最も高く64.1%だった。「世代別の消費行動と資産認識」調査より(以下グラフの引用全て)

 

↑新品購入時にリセールバリューを考える世代もZ世代が最多の59.1%だった

 

↑フリマアプリ出品理由では、「使わなくなったモノを欲しいと思う人に使ってもらいたい」が64.3%で最も高い。一方、Z世代で最も多い理由は「売ったお金で欲しいモノを購入するため」であった

 

Z世代の約2人に1人が自分の持ち物を「資産」と認識

こうした所有意識や消費行動における世代間での違いは、次の調査結果からもわかる。「保有しているものを売れば欲しいモノが買えるという想定で、売る前に欲しいモノを購入することがあるか?」という質問では、全体で25.9%が「ある」と回答したが、Z世代では約1.6倍の42.7%にのぼった。

↑「保有しているモノを売ってから欲しいモノを購入する経験がある」と回答した世代は、Z世代が最も高い42.7%。家にある持ち物の資産価値を裏付けにして購入する傾向が見て取れた

 

これは “家にある持ち物の資産価値を裏付けにして買う消費行動” のあらわれで、Z世代の約2人に1人が「自らの持ち物は現金化しやすい」と回答していることからも、Z世代を中心に、所有するものを資産と捉えて購買を行うことが広く普及するようになったといえよう。

↑バブル世代の約2.8倍のZ世代が、「自らの持ち物は現金化しやすい」と考えていることがあきらかとなった

 

調査を監修した慶應義塾大学 商学部 山本晶教授は、「売る事を前提に買う、所有するモノを資産と捉えて購買を行うという新しい消費者行動は、デジタルネイティブかつフリマアプリネイティブともいえるZ世代を中心に顕著にあらわれている」と分析。消費者の購買行動の予算は、これまで「現金」が前提だったが、今や消費者の頭の中の財布には、現金、預貯金、株などの金融資産だけでなく「所有物」が含まれるようになったという。

↑慶應義塾大学 商学部 山本晶教授

 

資産認識については、他の世代と比べてZ世代が「資産」としてみる傾向が強いもののトップに「暗号資産」、次いで「アクセサリー」、「靴・スニーカー」が並ぶ。山本教授は「スニーカーやアクセサリなど、身の回りの日用品の売却益を前提にモノを購入する行動は消費者行動として新しい」とし、フリマアプリやオンライン買取などの登場と普及が、所有物を売却することを簡便化し、結果として「資産」としての流動性を高めていると考えられると語った。

 

越境ECも強化していく方針

メルカリでは、「持ち物を売ることを想定して買う」循環型消費をより広げる取り組みとして、UXのアップデートを行ってきた。希望価格の登録機能や、絵文字でのリアクション、取引画面でのテンプレート機能などを提供していき、ユーザーに楽しく簡単にサービスを利用してもらえるよう今後もさらなるUXのアップデートを予定しているという。

 

また、Web版の機能強化も予定しており、国外からの越境ECを拡大。メルカリ 執行役員 CXO Marketplaceの前川美穂氏は「海外での日本商品の購入ニーズをとらえることで、国内のユーザーが出品した商品がより売れる体験を広げていきたい」と、メルカリ体験のチャネル拡大について語った。

↑メルカリ 執行役員 CXO Marketplaceの前川美穂氏

 

また、前川氏は「より幅広い世代で2次流通利用が当たり前になるための取り組みを促進するために1次流通と連携していき、その先に無駄がない世界を目指していきたい」と循環型消費促進への展望を語った。

 

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