運動会のシーズンですね、と、よく目にするシーズンですね。
私、運動が苦手でして、子どもの頃の運動会を前にした日々を振り返りますと「鬱々と過ごしていたな〜」と思います。
どれくらい苦手かと言いますと…
小学生の頃、放課後に野球をやるとき「王シフト」ならぬ「ゴウシフト」が敷かれていました。
「王シフト」は、左打者の王貞治選手の打球が飛びやすい右側を厚めに守るものですが、「ゴウシフト」はですね、マウンドが近いんです。
通常のマウンドとホームベースの中間あたりにピッチャーが立って、ボールを投げます。しかも下手投げです。「打って下さい」と言わんばかりの絶好球を放ってくれるのです。
ですが、それでも私、空振りしましてね。
2打席三振となって3打席目、新たな手法が導入されました。
それは、私が左バッターボックスに、かけっこのヨーイの構えで立つんです。
で、右バッターボックスに打つのが上手い人が入って、その人がボールを打つと私が走る。
とまぁ、こういったシステムです。私は走るだけ。
「一体、僕は今、何のスポーツをしてるんだろう…」
そんな思いが胸をよぎりました。
中学生になると「体育授業中断事件」があります。
その日は、バレーボールの授業でした。
試合をすることになり、相手チームが放ったサーブが真っ直ぐに私に向かって飛んできます。レシーブをするには軌道がやや高かったものですから、私はトスをする構えでボールを迎えました。
ちゃんと習った通りに両手の人差し指と親指で三角形を作り、ボールを跳ね上げるべく「えいや!」と腕を伸ばすと…腕って伸ばすと左右に広がるんですね。
私の両腕は応援団のポーズのように左右斜めに広がっていき、そのおかげでできた隙間にボールが飛んできて、私の顔面を直撃。ポ〜ン。
その光景を見ていたギャラリーはもちろん、試合中の敵味方、そこにいた人々は笑いが止まらなくなり、試合どころではなく、先生からも「一旦…休憩!」の声が。
こうして、授業を中断させたのでした。
また、その年の冬のことです。今度はサッカーの授業中に起こりました。
基本的な練習を終えて、何度か試合をするようになった頃、先生が「集合! 今日から新しいルールを採用する!」とおっしゃいました。
それまでの試合では“オフサイド”というルールを導入していなかったので、誰もが「あ〜、今日からオフサイドありか」と思っていました。
しかし、先生はこう告げたのです。
「今日から、ゴウ君がゴールを決めたら2点! 解散!」
驚きました。
高校生になっても相変わらずで、バスケットのドリブルシュートを1人1回決めたら次の練習をやる…という体育の時間、私だけ最後まで決まらず、授業の後半はただ私がボールを投げてはリングに跳ね返されている姿をクラスメイトがただ見守る時間に。
冬場だったもので、何人かは風邪をひきました。
逆に、走り高跳びのテストをやった時は、最初の段階、ハードルより少し高い程度のバーを越えられなかった私は、残り40分くらい体育座りで眺めるだけ。
風邪をひきました。
ほかにも、走り幅跳びで砂場まで届かなかったり、サッカーでボールの上に乗って転んだり、思いつく限りのベタな失態をふんだんに披露してきました。
それも、男子の前だけではなく女子の前でも。珍プレーの宝庫。
これはモテません。
なぜ、運動ができないことで苦しんだのか!?
運動のできるできないの差が、モテるモテないの差につながる。
これは、10代の頃は特に強く感じていました。
たしかに「良いイメージのものには、その他の良いイメージもくっつきやすい」とは思うんです。
例えば、「スポーツマン」だと、「さわやか」で「性格が良い」というイメージが何となくくっつきますよね?
「健全な魂は、健全な肉体に宿る」という言葉も、それを後押しするような使われ方をしていますし。
でも、実際は、体育会系の部活でもイジメのようなシゴキも存在するだろうし、「さわやか」とも「性格が良い」とも決して言い切れないんじゃないでしょうか?
なのに、良いイメージがどんどんくっついていく…。
まぁ、でもそれは良しとしましょう。
問題なのは、「運動ができる」ことに対して、どんどん良いイメージが加算されていく一方、その陰で「運動ができない」ことに悪いイメージをつけてるんじゃないか…。この点です。
「運動ができる」=「さわやか」=「性格も良い」なイメージがあるばかりに、「運動ができない」、ただそれだけなのに「さわやかじゃない」や「性格が悪い」が加算される印象があるんですよね。それ、必ずしもくっつけなくていいですよ!
運動ができて性格が悪い人もいますし、運動ができなくてもさわやかな人もいます。
運動会当日、そんなことを考えながら校長先生の話などを聞いていましたよ。
「今日は待ちに待った運動会です」という校長の話に「あ〜、全校生徒の中で今日を待ちに待っていないのは僕だけかもしれない。僕は裏切り者だ…」なんて、地面を見つめたものでした。
あ、その時は、たしかに「さわやかじゃない」だったかも知れません。
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