断面が◆に✚だよ! これは使ってみたい「ピンポイント消しゴム」

ink_pen 2025/12/4
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断面が◆に✚だよ! これは使ってみたい「ピンポイント消しゴム」
きだてたく
きだてたく
きだてたく

1973年京都生まれ、東京都内在住。フリーライター/デザイナー。 小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の子がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文房具を持ち込んで自慢すればいい」という結論に辿り着き、そのまま数十年、何一つ変わることなく現在に至る。自称世界一の色物文具コレクション(3000点以上)に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々。ウェブサイト「デイリーポータルZ」では火曜担当ライターとして活躍中。

高級シャープペンシルに注目が集まっている昨今、社会人でも自分のノートや手帳用にシャープペンシルを使うケースが増えてきているという。

そこで再認識されることになるのが、消しゴムの存在である。

実際、ビジネスの現場でボールペンが標準の筆記具だと、消しゴムに触れる機会はほとんどなくなるわけで「年単位で消しゴムに触ってない」ということもザラだろう。

とはいえシャープペンシルを常用するなら、やはり消しゴムはマスト。ペンケースにひとつは備えておくことになるはずだ。

そこで今回は、携帯性に優れ、かつ手帳などの細かい部分まで消しやすい機能を持った最新の消しゴムを2点紹介したい。

かなり変な「平行四辺形」消しゴム

最初に紹介するのは、おなじみコクヨのノート「キャンパス」ブランドから登場した「キャンパス よく消えるのに折れにくい消しゴム 平行四辺形」である。

最近コクヨがよく多用している“ラノベ系”(必要なことを長いタイトルで全部言う)の製品名で、つまりそのまんま、消字力と折れにくさを併せ持つ平行四辺形の消しゴム、というわけだ。

コクヨ

キャンパス よく消えるのに折れにくい消しゴム 平行四辺形

Mサイズ 150円 Sサイズ 100円(共に税別)

消字力と折れにくさは分かるとして、ちょっと首を傾げるのが「平行四辺形」というところ。が、実物を見れば一目瞭然で、断面が本当に平行四辺形なのである。

一般的な長方形の消しゴムと比べると、かなり変な感じ……というか、見た目の違和感はかなりすごい。

しかし使ってみると、この平行四辺形こそが細かい部分を消しやすくするポイント、というのが理解できる。

↑これまでになかった平行四辺形の断面は、なかなかのインパクトだ。

的確に狙って消せるメリット

文字列の中から1文字だけを消したり、図形の細部を消したりといった、いわゆるピンポイント消しをする場合、まず使うのは消しゴムのカドの部分だ。

しかし、断面が長方形の(=一般的な)消しゴムでカドを使うと、どうしても紙に当たるカドが視界から隠れてしまう。細かなところを丁寧に消したいのに、肝心の“消しゴムが筆跡に触れている所”が見えないのでは、消しづらいのも当たり前だろう。

↑従来の消しゴムでは、紙に接するカド(画像内、赤○の部分)は目視できないが…。
↑平行四辺形ならこの通り一目瞭然。的確に狙って消すことができる。

対して平行四辺形であれば、鋭角側のカドは影にならず視界に収まってくれる。消すところが見えて、さらに鋭角な分だけよりピンポイントに筆跡に当たることができる。つまり、細かなところが消しやすいというわけだ。

ただし、鈍角側は普通の長方形消しゴムと同様にカドが影になる。そこは構造上仕方ないかな、という感じだ。

↑平行四辺形の鋭角も程良い硬さで折れにくく、かつ消字力も文句なし。シンプルに使いやすい消しゴムと言えるだろう。

新開発のゴム生地

さらに消しゴムの生地自体も新たに開発されたもので、消しゴムを硬く(折れにくく)する成分の中に、黒鉛を吸着する(よく消える)成分をバランス良く分散させて閉じ込める特殊な製法で作られている。

基本的に、硬い消しゴムは折れにくいが消字力が落ち、柔らかい消しゴムはよく消えるが折れやすい。ところがこの消しゴムは、やや硬めの感触ながらしっかりと筆跡を剥ぎ取る力があった。

平行四辺形という形状と合わせて、消字性能と折れにくさのバランスという点でも、とても優秀な消しゴムだと思う。

あのスリムボディが帰ってきた

ピンポイント消しに特化した消しゴムとしてもうひとつ紹介したいのが、SEED「Radar point 2」だ。

こちらは10年ほど前に発売されていたスティック消しゴムのSEED「Radar point」が名前を変えて再販されたもののようで、形状や消し心地という点では新旧にほぼ違いはなかった(厳密には旧版のほうがコンマ数mmほど太い)。

ただ、個人的に旧「Radar point」が気に入っていたので、今回改めて「Radar point 2」として発売されたのはうれしいところだ。

SEED

Radar point2

140円(税別)

スリーブは約11mm角で、普通のボールペンの直径とほぼ同じ。消しゴムとしてはとてもスリムであり、携帯性に関してはまず言うことがないだろう。どんな小さいペンケースでも容積を気にせず放り込んでおけるはずだ。

もちろん、スリムだから細かいピンポイント消しをするにも使いやすいわけだが、Radar point 2にはもうひとつ重要な要素がある。

↑紙巻きスリーブタイプの消しゴムとしては、トップクラスのスリムさ。ペンケースへの収納にも困ることはないだろう。

カドが8つのクロス断面

それが、消しゴムの断面を十字にした「クロス型消しゴム」だ。

断面が長方形であれば露出しているカドは4つだが、クロス型ならその倍の8つ。つまり端的に「ピンポイント消しがいっぱいできる形状」ということになる。

とはいっても、カドひとつがかなり小さいうえ、形状が入り組んでいるため、使い始めてしばらくはしっかりピンポイントで狙うのが難しい。しかし、慣れるとかなり使いやすいはずだ。

さらに断面が小さいので、カドが使いにくくなったらカッターなどでスパッと丸くなった部分を切り落としても、あまり罪悪感がない。

↑合計8つのカドを持つクロス型。使いこなせると精密消しにかなり重宝する。

老舗ならではの消字力

小さなカドで消す前提の消しゴムなので、消し味はかなりカチッと硬め。

それでもわりとしっかりした消字力が担保されているのは、「さすが老舗消しゴムメーカーならではの性能だな」という印象だ。2B以上の濃い芯だとやや黒鉛が残る感じだが、BやHBならほぼ問題ないだろう。

↑カッチリと硬いが、それでも普通に使う分には十分な消字力。さすがRadarブランドといった感じだ。

とはいえ、携帯しやすく、カドたっぷりで細かく消せるというメリットは他にないもの。手帳用にシャープペンシルと一緒に使う消しゴムとしては、間違いなくオススメできる製品だ。

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