家庭やオフィスに設置されている消火器は、いざというときの初期消火に欠かせない存在です。ただ、その性能について詳しく理解している人は多くないかもしれません。一般的な10型粉末消火器の噴射時間は、およそ15秒前後に設定されています。これは初期消火を目的とした設計であり、火災の拡大を防ぐための短時間使用を想定しているからです。
ただし、実際の火災現場では、炎の状況を見極めながら消火する必要があり、対象物の種類や火の回り方によっては、一度の噴射だけで十分に消火できないケースも考えられます。
2026年3月に東京ビッグサイトで開催された「SECURITY SHOW」で注目されていたのが、イタリア発の新しい初期消火具「ファイヤーショーカスティック(FSS100)」。従来の消火器とは異なる構造を採用しているとのことなので、FSS100の輸入販売元である株式会社TCLの担当者に話を伺い、特徴をまとめました。

約100秒の長時間噴射を実現した新しい消火具
FSS100の最大の特徴は、約100秒という長時間の噴射が可能な点。一般的な10型粉末消火器の約15秒と比べると、約6倍以上の噴射時間です。
この製品はアルミ製のスティック形状を採用しており、本体の赤い保護カバーを外し、黄色いエンドキャップの先端と本体先端部を擦ることで本体内部の消火剤が化学反応して、不活性ガスが噴射される仕組みです。活性ガスが燃焼の連鎖反応を抑制することにより消火に作用するといいます。


また、専用ホルダーに2本同時にセットした状態で消火できるものや、伸縮式の棒の先端にセットして消火するもの、LEDライトを設置できるもの、冷蔵庫や壁に設置するホルダーや車載ホルダーなど、用途に応じて選べるアクセサリーも豊富にありました。
粉末を使わない「不活性ガス」による消火だからまわりを汚さない
現在もっとも普及している粉末消火器は、消火後に粉末が周囲に残るという特性があり、使用後の清掃が非常に大変で、精密機器や電子機器に影響をおよぼす可能性もあります。一方、FSS100は不活性ガスを利用した消火方式を採用しているため、使用後に粉末などの残留物がほとんど発生せず、室内や精密機器周辺でも使用しやすい点が特徴だそうです。
そのため、家庭内のキッチンやリビング、オフィス環境など、従来の消火器では使用後の影響が気になる場面でも活躍しそうです。また、ガス火災を始め、さまざまな小規模火災の初期消火に使えるとのこと。
↑キッチンで起こった火災の初期消火実験を紹介する動画。粉末消火器を使用したときと比べており、消火時/消火後の違いは明らか。
すでに世界46か国で販売していて、NATO(北大西洋条約機構)加盟国軍で使用承認したほか、フランスの市警察が携帯用消火具として正式採用しています。日本国内でもインフラ関連企業や施設などで導入事例があります。
定期点検不要で耐用年数は15年間に加え取り扱いやすさも重要
消火器は設置して終わりではなく、定期的な点検や交換が必要とされています。
たとえば10型粉末消火器と比べてみると、業務用の消火器は半年に1回の定期点検が消防法により義務付けられていますが、FSS100は消火器に該当しないため不要です。とはいえ、設置場所の確認やいざというときにすぐに使用できる状態なのかはチェックしておいたほうがいいでしょう。
また、住宅や乗用車などの設置義務のない場所では単独で設置・使用が可能ですが、店舗やオフィスなどの設置義務のある場所では、既存の消火器との併設を推奨しています。
消火器の耐用年数は、住宅用で5年、業務用は10年に対し、FSS100は15年。こうしたメンテナンスフリーやロングライフの消火具は、日常的に使用する機会が少ないため管理しやすいといったメリットがあります。
加えて、小型軽量なのも消火作業において大きなアドバンテージとなる要素でしょう。サイズで比較すると10型粉末消火器は47×12cm、重量約5kgに対して、FSS100は33×4cm、重量365gとコンパクト設計なため、女性や高齢の方、身体が不自由な方でも取り扱うことができ、片手で消火作業しやすいです。

防災ツールは使いやすさも重要な選択基準に
火災は発生頻度が高いものではありませんが、いざというときには迅速な対応が求められます。そのため、防災用品には性能だけでなく、使いやすさや管理のしやすさも重要な要素です。
FSS100はマイナス50度から80度の温度環境で保管でき、振動にも強く、誤噴射しにくい構造のため、車内でも直射日光を避ければ積載可能。価格は税込で19,800円(50秒噴射タイプのFSS50は17,600円)。購入は公式ショップほか、Amazonでも販売しています。
従来の消火器とは異なるアプローチの消火ツールではありますが、あくまで初期消火を目的としたものであり、大規模火災には適さない点には注意が必要です。家庭やオフィスにおける防災対策を考えるうえで、こうした新しいタイプの製品の存在も、検討材料のひとつとなりそうです。
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