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2018/7/12 17:00

清水草一がホンダ N-BOX を徹底解剖!「機能に徹したこの雰囲気がイイ」

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回はいま日本で一番売れているクルマを取り上げます。

 

【登場人物】

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今回のクルマ】ホンダ N-BOX

SPEC【G・L ホンダ センシング(FF)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1790㎜●車両重量:890㎏●パワーユニット:658㏄直列3気筒DOHCエンジン●最高出力:58PS(43kW)/7300rpm●最大トルク:6.6㎏-m(65Nm)/4800rpm●カタログ燃費:27.0㎞/ℓ●138万5640円〜227万4480円

 

機能に徹したこの雰囲気がイイ!

安ド「殿! この連載も今回でついに150回(※)です!」※本誌掲載時

清水「そうか」

安ド「月刊誌で150回ということはえーと、12年半です!」

清水「まだそんなものか」

安ド「えっ! 12年ってすごいじゃないですか!」

清水「いや、もっと長く続いているような気がしてな。私が少年のころから」

安ド「まさか。まだ免許すら持ってないじゃないですか!」

清水「そうだった」

安ド「ところで今回は、連載150回を記念して、日本一売れているクルマを借りてきました!」

清水「ホンダのN-BOXだな」

安ド「そのなかでも、いま最も売れているグレードだそうです!」

清水「意外にもカスタムではないのだな」

安ド「はい。この『G・L ホンダセンシング』が、僅差ながら一番売れているそうです!」

清水「ノーマルのN-BOXは、何だかホッとするな」

安ド「殿はカスタムがお嫌いですか?」

清水「うむ。あのギラギラしたヤンキーテイストがダメだ。しかしノーマルは枯れた感じでイイ。機能に徹したこの雰囲気、ほとんど商用だ」

安ド「それは良い意味ですか?」

清水「もちろんだ。例えればシトロエンのHトラックのような」

安ド「〝アラレちゃん〟に出てきたトラックですね。僕もノーマルのほうがオシャレだし、センスが良いと思います! この黄色と白のツートンカラーも良いですね。ツートンカラーは6〜8万円くらい高いそうですが」

清水「それだけで遊び心が感じられる。N-BOXを買う人は、意外とそういったオプションをバンバン付けて、総額200万円オーバーも普通だと聞く」

安ド「そうなんですか!?」

清水「これも車両本体価格が約150万円と決して安くはない。普通車コンパクトのパッソやヴィッツのエントリーグレードよりむしろ高いが、売れまくっておる」

安ド「どうしてでしょう?」

清水「一般ユーザーは、車両価格より維持費の安さを優先する傾向がある。軽ならとにかく維持費が安い。そして、なるべく長く乗りたいから装備はケチらない。結果、総額200万円のN-BOXが売れまくる。そういう流れなのだろう」

安ド「さすが殿、慧眼です!」

清水「まったくのあてずっぽうだ」

安ド「ガクー! でもN-BOXが販売台数1位になる前は、ずっとプリウスやアクアが1位だったわけですよね」

清水「その通り。N-BOXはどれだけオプションを付けても、プリウスやアクアよりはかなり安い」

安ド「つまり、“日本一売れるクルマ”が、前より安いクルマになったわけですね?」

清水「うーむ。そう考えると、まだまだデフレマインドは続いておるのかもしれぬな……」

 

【注目パーツ01】2トーンカラー

多彩なカラーから選択可能

4種類のおしゃれな2トーンカラーが設定されていて、さらに単色も12色用意しています。売れているクルマは他の人と同じになってしまって嫌という人も多いようですが、これならオリジナリティを出せることでしょう。

 

【注目パーツ02】エンジン

街中の通常走行で不満なし

キープコンセプトの二代目モデルながら、プラットフォーム(車体骨格)とエンジンは新開発されました。ターボとノンターボの2種類がありますが、こちらはノンターボ。といっても動力性能に不満はなく、十分キビキビ走ります。

 

【注目パーツ03】タイヤ角度モニター表示

車庫入れ時の心強い味方

車庫入れなどの際、メーターディスプレイの左側にタイヤの状態がデジタル表示されます。何度か切り返しをしていると、いまタイヤがどちらを向いているかわからなくなってしまう人も多いようですが、これならすぐわかりますね。

 

【注目パーツ04】テールゲート

独自設計で荷室の広さを確保

燃料タンクを後席下に置かない設計により、開口部の高さが先代モデルと比べて低くなりました。一方で、先代と同様に床が低くて天井は高いので、リアシートを前方へ倒すだけで、自転車を折りたたまずに積載することができます。

 

【注目パーツ05】助手席スーパースライドシート

ファミリー目線でうれしい超便利機能

最量販グレードには設定されていませんが、助手席のロングスライド機能が便利です。助手席を目一杯後方へ下げれば、後席の子どもの世話ができますし、後席と運転席との間の車内移動も可能となるのです。

 

【注目パーツ06】運転席アッパーボックス

小物を入れる場所が豊富

新型ではメーター搭載位置が上方へ移動されました。運転時の目線移動距離が少なくなることは安全運転につながります。そして、空いた場所には小物入れを搭載。収納はほかにもたくさんあり、小物の受け入れ体制は盤石です。

 

【注目パーツ07】ヘッドライト

ライトが眩しくないか自動判断

まるで目のようなリング状の可愛いLEDライトが全グレードで標準装備。また「ホンダ センシング」の機能のひとつ、オートハイビームが搭載されているので、前方の状況を考慮して自動でハイ/ロービームを切り替えます。

 

【注目パーツ08】ハンズフリースライドドア

手が離せないときでも開けられる

いまや同クラスの軽自動車では当たり前の電動スライドドア。さらに、N-BOXにはキーさえ携帯していればドアの下に足を踏み出すだけで自動開閉する機能がオプション設定されています。最初は上手くできませんが、慣れれば簡単です。

 

【注目パーツ09】Aピラー

視界をさらに広くする工夫

Aピラー(フロントウインドウとサイドウインドウ間の柱部分)が極細化されたことで、運転席からの視界が良くなりました。もちろん堅牢なボディ構造が採用されているので、衝突安全性能にはさほど影響ありません。

 

【これぞ感動の細部だ】ホンダ センシング

突入事故にも歯止めをかける

安全運転支援システム「ホンダ センシング」が、軽としては初めて、しかも全グレードに標準搭載されました。さらに衝突軽減ブレーキや車線維持支援といった従来の機能に加え、後方誤発進抑制機能を追加。これは真後ろに障害物がある状態でアクセルを踏み込んだ場合に、後方への急発進を抑制します。コンビニなどへの突入事故が減るかもしれませんね。

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税