ワールド
2018/9/19 17:59

フランスの「モノ作り」に地殻変動。パリ13区に出現した広大な施設「Station F」とは?

クラウドファンディングも盛り上がる

国内でスタートアップ企業への支援が注目されている流れを受けてか、最近はフランスのクラウドファンディングにも勢いがあります。特に若い世代による革新的なプロジェクトには、自然と資金が集まりやすい傾向にあるといってもよいかもしれません。

 

フランス発のクラウドファンディングサイト「KissKiss BankBank」で、40日間で117%の支持を集めた「Rejig」も、若き起業家によるスタートアップ企業のひとつ。充電池付きリュックサックで太陽電池パネルが埋め込まれ、容量5000 mAhのリチウム電池のバッテリーとUSB接続プラグが付き、13インチのノート型PCが入るサイズになっています(販売価格は129ユーロ、約1万7000円)。

 

旅行中にスマホの充電切れで苦労した経験から思いついたという、非常にシンプルかつ共感されやすい発想から生まれたRejigのリュックサック。2人の創業者がこの鞄作りで目指したのは、小型化した電子部品を服やアクセサリーに組み込むというウェアラブルでした。

 

さらに、この2人はリュックサックをただデジタル製品にするだけではなく、クールなデザインにすることにも注力。この点は先述したフレンチテック発展の鍵でもあります。テクノロジーに外観の美しさ、つまりファッション性を融合させることが、フランスのものづくりにおいて欠かせないテーマなのかもしれません(そうだとすれば、どうやってアップルと競争していくのかにも注目ですね)。

 

クラウドファンディングからStation Fへ

Station Fの手厚い支援はパリを拠点にすることが条件になりますが、クラウドファンディングの場合は、世界中のどこにいても支援を受けることが可能です。実際に先のRejig創始者の1人はフランス地方都市(東部ナンシー)のビジネススクールから現在は上海のビジネススクールに留学中とのこと。

 

今後はクラウドファンディングでの支援を機に事業をスタートし、波に乗ったところでサポート体制の整ったインキュベーション施設(Station F)に移行するスタートアップ企業が恐らく増えてくるでしょう。フランスのスタートアップの動向が分かるフレンチテックは東京にもあります。テクノロジーやイノベーションに興味がある方は要注目です。

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