米Googleは米カリフォルニア州サンノゼ市に巨大なキャンパス(社屋)を建設する「ダウンタウン・ウェスト」計画を進めてきましたが、景気減速のため、保留になる可能性があると報じられています。
米CNBCの情報筋によると、Googleは最初の解体段階(都市再開発のため、元の建築物の解体が必要)を終えた段階で、施設の建設を中止したそうです。同社は今年初めに約1万2000人の解雇を発表していましたが、その一環としてキャンパス開発チームも「解体」し、いつ再開するのか請負業者にも知らせないまま、建設を凍結したそうです。
Google広報は米Engadgetに声明を出し、オフィスの建設にビジネスやハイブリッドワーカー、地域社会の「将来のニーズ」を反映させたいと述べています。またサンノゼ社屋の建設を「どのように進めるのが最善か」をまだ決めていないものの、長期的な開発に「コミット」しているとも付け加えられています。
このサンノゼ市は、巨大IT企業が集まるシリコンバレーの端に位置する都市です。Googleは現地との交渉と設計に数年をかけており、1万5000戸もの住宅や2億ドルのコミュニティ支援(移転した企業への補助金など)、キャンパスの半分以上を公共の用途に充てるなどを約束して、2021年に認可を獲得しました。
もともと建設は今年後半から本格的に始まり、10年~30年かかるとの予想でした。有名な企業が移転したり名所がなくなることに反対する声もありましたが、サンノゼ市としては経済効果を重視しており、ギャビン・ニューサム知事は、この認可が新型コロナ禍からの回復に大きな役割を果たすとアピールしていました。
2017年以降Googleは従業員を約20%を増やしていましたが、最近は上述のように大規模なリストラを断行しています。それと合わせて、従業員が一部の時間を在宅勤務にできるハイブリッドワーク戦略を採用しているため、以前ほど物理的なオフィスは必要なくなっているわけです。
もちろんダウンタウン・ウェスト計画が消滅したわけではありませんが、Googleがやって来ることで雇用や経済活動をもたらすと期待していたサンノゼ市やカリフォルニア州は困った状態に置かれることになりそうです。