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2018/3/19 13:30

私たちの暮らしはどう変わる? 人間はAIに支配されてしまうのか? 天才2人の対談から日本の未来を読み解く

 

AIはもっとも優秀な助手であり部下である 

山中教授は、「現在医師がやっていることは、検査データを見て診断をつけ、さらに検査データを見て治療法を決めていく、いわばパターン認識であり、この部分に関してはコンピュータがやった方が正確かもしれない」と述べている。

 

しかしながら、最終的な治療方針を決定するのは、患者と医師であると山中教授。

 

たとえば、AIが「あなたの病気は、いかなる治療をしても99.9%効果がありません。いますぐ治療を中止し、終末期医療に移行しましょう」と告げたとする。しかしながら、本人や家族が「それでも諦めたくない。治療を続けたい」と希望すれば、医者はその想いを汲んで治療を続行すべきだろう。いくらAIがデータに基づく事実を述べたとしても。やはり最終的な決定は「人間の意思」が重要なのだ。そういった意味で、膨大な知識を持っていて、常に感情的にならず冷静沈着にデータに基づいた結果だけを伝えてくれるAIは、「抜群に優秀な部下の一人」と山中教授は表現している。まさに、言い得て妙だ。

 

 

「勘」こそが、AIに超えられない人間の能力である

どれだけAIが進化しても、絶対に超えられない壁があるだろう。そのひとつが、「直感」や「勘」である。

 

羽生棋士は、将棋を指すとき「ほとんどが勘」だと述べている。勘でどれほど精度の高い判断ができるか、予想外のことが起こったときに、どれだけうまく対応できるかがカギなのだそう。また、山中教授も、iPS細胞を作ることに成功したきっかけは「勘」だったと語る。「どうもこの遺伝子が怪しい」「この遺伝子は絶対に試したい」という勘があったのだとか。

 

もちろん、その背景には長年の経験や膨大な努力があることが大前提であるが、これらの「勘」は、私たち自身もなぜそう感じたかハッキリと説明ができない。だからこそ、AIのプログラムに組み込むことは困難であり、取って変わることができない能力なのではないだろうか。

 

 

「なんとなく」の感覚の大切さ

世の中、データがすべてではない。たとえ数値的には可能性がわずかでも、「これはイケる!」と思ったらチャレンジするのが人間の面白さであり、だからこそ予期せぬ大きな発見につながったりするのだ。「理由はわからないけど、彼に惹かれる」から結婚するわけで、まあ時には失敗もするけれど。情報だけでは割り切れない「なんとなく」という感覚こそ、AIにはない、人間だけのかけがえのない力なのだと思う。その点に重きを置いていれば、AIに戦々恐々とする必要もなくなるのではないだろうか。

 

山中教授と羽生棋士、まったく別の世界にいるようで、実は考え方や生き方に共通点が多い。『人間の未来 AIの未来』で語られているテーマは、AIに関することだけでなく、新しいアイデアの生み出し方や人材育成の方法、子育て論にまで多岐にわたる。この上なく豪華な2人の対談は、きっと私たちの明日を明るく照らしてくれるだろう。

 

 

【著書紹介】

人間の未来 AIの未来

著者:山中伸弥、羽生善治
発行:講談社

10年後、100年後の世界と日本の未来を、ノーベル賞学者と国民栄誉賞棋士、最高の知性を持つ二人がとことん語り合う!iPS細胞、将棋界とAIといった二人の専門分野に加えて、「ひらめき」「勘」の正体、世界で通用する人材をつくるにはどうするか、人間は不老不死になれるかといった、人類の普遍的なテーマについても熱く討論する。

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