筆者が『ル・ボラン』を好きな理由。それは、バラエティに富んだ特集記事だ。今月号でも、展開的・階層的な構造の2本の特集記事が組まれている。アプリでたとえるならマインドマップやアウトラインプロセッサーに似ているかもしれない。どちらも読み応えがある。
クルマに向けられる愛情の5つの相
今月号最初の特集は『愛されるクルマ』。クルマに向けられる愛情を中心に据え、5つの相に基づく5つのキーワードがマインドマップ状に配置されていくさまを想像していただきたい。キーワードとなるのは、以下の5つだ。
1. 家族
2. 彼女
3. エグゼクティブ
4. アウトドア派
5. 走り好き
こういうグループ分けだと、たとえば“家族”と“走り好き”のように一見背反しそうなものであっても、大きな構図の中で無理なく収まる。むしろバランスのよささえ感じられるのだ。
実用的で実際的な基準
第1特集の基準については、次のような文章が綴られている。
世間の評判やカタログからでは推し量れない魅力や楽しさを提供してくれ、「このクルマ最高!」といつでも乗りたくなってしまう。“いいヤツ―クルマ”はみんなから愛されるのだ。そんな愛しきクルマたちを、5つのシーンに合わせて厳選。愛されるクルマは、きっと人生を豊かにしてくれるはずだ。
『ル・ボラン 2018 6月号』より引用
たとえば、家族をキーワードにして選ぶならRENAULT KANGOO とMINI CROSSOVER。KANGOOは車高があって乗り降りがしやすい上に、スライドドアが最大の魅力だ。都市部でありがちな狭い駐車場に車を入れた時など、子どもがドアを開閉する際に隣の車にぶつけてしまう心配は要らない。
そして、家族でお出かけのワクワク感を最大限に演出してくれるだろう車がMINI CROSSOVERだ。特集で紹介されているSE CROSSOVER ALL4は、本国イギリスでもシリーズ随一の実用性を誇ることで知られているという。室内のスペースもゆったりしていて、後部座席に子どもを乗せてもゆとりがあり、お出かけの楽しさを奪ってしまいかねない乗り物酔いの心配もぐっと軽減されるだろう。その立場になってみなければ実感できない要素を軸にする姿勢は、まさに実用的。
愛情の対象をシェアする感覚
2番目のキーワードは“彼女から愛されるクルマ”。ここで紹介されるのは、LANDROVER RANGEROVER EVOQUE CONVERTIBLE とMERCEDES-BENZ E-CLASS CABRIOLET。カブリオレやコンバーチブルという名称からもわかるように、いずれもいわゆるオープンカーだ。
E-CLASS CABRIOLETのように、ベンツならコンバーチブルも想像しやすいだろう。ところが、そもそもSUVであるはずのEVOQUE CONVERTIBLEをもってきたことで、際立ったチョイスとなった。
実用性で読ませる部分は、「彼女がベンツを運転したら」的な展開だ。
「ちょっと運転してみる?」
「えっ? いいの?」
ちょっとした驚きを含んだ、車内でのそんなやりとりまで想像できる。同じ車を愛情の対象としてシェアする感覚は、間違いなく彼女受けするでしょう。
残りのシーンに関しては、ぜひ本誌をチェックしていただきたい。