グルメ
2025/2/4 19:00

“噛む楽しみ”を味わえる! 和食以外でもごぼうの旨みを楽しめる絶品レシピ3選

しっかりとした歯応えと、噛めば噛むほど広がるうまみと香り。ごぼうは、“噛む楽しみ”を味わえる野菜です。その独特の風味から和食のイメージが強い食材ですが、実は和洋中さまざまな料理に使え、そのうまみで料理をワンランクアップさせてくれます。

 

今回は、作る人の立場に立って考案され、作ってみたいと思わせられる「おいしくて、作りやすい家庭料理」で人気の料理研究家・市瀬悦子さんに、ごぼうの取り扱いのコツや食卓の定番にしたいごぼうレシピを教えていただきました。

 

泥付きと泥なしどちらを選ぶ?
ごぼうの選び方と泥落としのポイント

スーパーに行くと、泥付きのものと泥が付いていないもの、2種類が用意されているごぼう。どちらを購入するのがよいのでしょうか。

 

「2〜3日で使い切る、ごぼうを手軽に取り入れたいのであれば、洗いごぼうで十分。反対に、時間をかけて使い切る、よりおいしいごぼうにこだわりたいという場合は、泥付きがベストです。とはいえ難しく考えすぎず、食卓に合わせて気軽に取り入れてみてくださいね」(料理研究家・市瀬悦子さん、以下同)

 

泥付きの場合、洗うのが面倒というイメージを持つ人もいるでしょう。ですが市瀬さんは、「野菜専用のたわしを一つ用意しておくだけで、取り扱いやすくなる」と言います。

 

「土を落とすという工程を面倒に感じる方は多いかもしれません。里芋やれんこんなど、根菜が主力野菜になりやすい冬は、ごぼう以外でも同様の悩みが生まれがちです。これらの野菜は、スポンジで洗っても問題ありませんが、野菜専用のたわしを使うと洗うのがぐんとラクになります」

「専用のたわしなら、野菜の表面にある凹凸などの細かな溝も洗いやすく、簡単に土を落とせます。手になじみ、好みの見た目のものを選べば、根菜の土落としもラクに感じることでしょう。ちなみに使用後のたわしは、水を溜めたボールに入れてすすぐだけとお手入れも簡単

 

2ステップで完了!
ごぼうの下ごしらえ

洗い終わったら、下ごしらえです。その細長い形状から、どのように皮を剥いたらいいか迷う人も多いのではないでしょうか。

 

ステップ1.皮は剥かずに“こそぐ”だけ

「ごぼうの香りやうまみは、皮の周辺に集中しています。それらを残すためには、ピーラー等で皮を剥くのではなく、こそぐのが正解。包丁の背で軽くしごくだけでいいんだと思えば、下ごしらえに対する面倒臭さも減り、ごぼうの出番をもっと増やそうかなと感じるのではないでしょうか」

 

ステップ2.アクをサッと抜く

「ごぼうは、酢水にさらす、水に長時間漬けるといった、念入りなアク抜きは必要ありません。とはいえアクはえぐみの原因になるので、切ったら水にサッとさらしましょう。さらすのは短時間でOKです」

 

風味・食感・香りを楽しめる!
和食に偏りすぎないごぼうレシピ3選

ごぼうが思った以上に手間のかからない食材だとわかったところで、ごぼうの魅力を堪能できるレシピを教えていただきました。今回は、ごぼうの魅力を再発見できるように、和食以外の料理も考案していただきました。

 

・「手羽とごぼうのサムゲタン風スープ」
・「ガリガリごぼうから揚げ」
・「牛肉とごぼうのトマト煮」

 

ホクホク食感と滋味深いスープが体に染みわたる!
「手羽とごぼうのサムゲタン風スープ」

「中国では古くから漢方にも使用され、滋養強壮に役立つとされてきたごぼう。鶏手羽と合わせれば、うまみたっぷりで滋味深い参鶏湯風スープの完成です。ごぼうは大きめに切ることで、ホクホクとした食感に。しょうがとにんにく入りで、体もしっかり温まりますよ」

 

【材料(2人分)】

・ごぼう……1本(160g)
・長ねぎ……1/2本(40g)
・にんにく……1片
・しょうが……1片
・手羽中ハーフ(鶏スペアリブ)……12本
・米……大さじ3

 

[A]
・水……3カップ(600ml)
・酒……大さじ3
・塩……小さじ1

 

【作り方】

1.ごぼうは皮をこそいでから、縦半分、長さ6cmに切り、水にサッとさらす。長ねぎは1cm幅の斜め切り、にんにく、しょうがは皮を剥き薄切りにする。

「にんにくとしょうがはチューブのすりおろしのものではなく、ぜひ1片をスライスして使ってください。厚めにスライスすることで、煮込んだときにスープにうまみがじんわりと溶け出し、ほっとする味になります」

 

2.直径20cmほどの鍋に水気を切ったごぼうと、すべての材料(Aの調味料も含む)を入れ、強火にかける。煮立ったらアクをとりフタをし、弱火で30分ほど煮込む。

「手羽中は、表面を焼いていないため、アクが出やすい状態。沸騰したらアクを取り除きましょう。とろみを出したいので、お米をしっかり洗う必要はありません」

 

3.ごぼうに竹串がスーッと通るくらいやわらかくなれば完成。

「できたてはお米の粒が残っていて、さらっとした印象。時間が経つとお米が汁を吸うので、もったりとしたスープになります」

 

噛めば噛むほどおいしい!
「ガリガリごぼうから揚げ」

「衣に調味料をまとわせた甘辛い揚げごぼうです。ごぼうをじっくりと揚げ、ごぼうの水分を飛ばすことでカリッと軽く、さらに衣のガリガリとした食感も楽しめます。ごぼうにたっぷりと含まれる食物繊維の歯ざわりを存分にお楽しみください」

 

【材料(2人分)】

・ごぼう……1/2本(80g)
・片栗粉……適量
・揚げ油……適量
・塩……少々
・粉山椒……少々

 

[A]
・しょうゆ……大さじ1
・みりん……大さじ1

 

【作り方】

1.ごぼうは皮をこそぎ、長さ10cmほど、厚さ3㎜ほどの斜め薄切りにする。水にサッとさらし、水気を切る。

「ごぼうは少し厚めのスライスにして、食感を楽しみます。斜めに切ることで表面積が増え、食べ応えのあるから揚げに仕上がります」

 

2.バットにAを入れて混ぜ、ごぼうを絡める。

「ごぼうの場合、時間を長く置くほど調味料が染み込むというわけではないので、絡める程度でOKです」

 

3.汁気をまとわせた状態のごぼうに片栗粉をまぶす。

「汁気を生かすことで、味がしっかり付きます。ぎゅぎゅっと裏と表の両面に、衣をたっぷり付けましょう。この衣が、ガリガリとした食感を生み出します」

 

4.フライパンに揚げ油を2cmほど注いで160℃に熱し、ごぼうを入れる。ときどき返しながら5分ほど揚げ、強火にしてさらに約1分揚げる。油を切って器に盛り、塩、粉山椒をふる。

「油に菜箸を入れて、ぷつぷつと細かい泡が浮かんできたら大体160℃。付けた衣が落ちないように、油に入れたらしばらく触らず、動かさないようにしましょう。最後に強火にすることで、カリッとした食感が生まれます。塩や粉山椒はお好みでおかけください」

 

コク深くうまみたっぷり!
「牛肉とごぼうのトマト煮」

「うまみの強いごぼうとトマトを組み合わせた煮込み料理です。意外な組み合わせに感じられるかもしれませんが、噛めば噛むほど、ごぼうに染み込んだトマトの風味が染み出してとてもおいしいですよ。ごぼうのおかげで、煮込み料理では珍しいシャキシャキ食感を楽しめるのもポイント。トマトとごぼうの相性の良さをお楽しみください」

 

【材料(2人分)】

・ごぼう……1本(160g)
・牛肉切り落とし……150g
・塩、こしょう……各少々
・小麦粉……大さじ1/2
・オリーブオイル……大さじ1
・にんにく(みじん切り)……1片分
・赤ワイン……1/4カップ

 

[A]
・トマト缶(ホールタイプ)……1缶(400g)
・水……1/2カップ(100ml)
・はちみつ……大さじ1
・塩……小さじ2/3
・ローリエ……1枚

 

【作り方】

1. ごぼうは皮をこそいでからささがきにし、水にサッとさらし水気を切る。

「包丁の柄の近くの刃を使って、リズムよく削りましょう。削ったそばから、変色してしまうのでそのまま水にさらします。ごぼうが短くなったら、まな板の上で半分に切ってスライスしてください」

 

2.牛肉切り落としに塩、こしょう、小麦粉をふる。菜箸でざっくりと混ぜ、肉に小麦粉をまとわせる。

「うまみを閉じこめるために、牛肉に小麦粉をまぶします。ただ、混ぜすぎると粘りが出てしまうので、サッと混ぜる程度でOKです」

 

3.フライパンに分量の半分のオリーブオイル(大さじ1/2)、にんにくを入れて中火で熱し、香りが立ったらごぼうを炒める。しんなりとしたらフライパンの端に寄せ、空いたところに残りのオリーブオイル(大さじ1/2)と2の牛肉を入れ、肉の色が変わるまで炒める。

「小麦粉を焼き固めるために、牛肉は全体の色が変わるまでしっかりと炒めます」

 

4.赤ワインを入れ、汁気がなじむまで煮立たせる。

「汁気とアルコール分をしっかりと飛ばすことが、トマト煮のおいしさにつながります」

 

5.Aを加え、木べらでトマトを粗くつぶす。煮立ったらフタをして、弱火で20分ほど煮る。

「トマト缶はカットタイプではなく、ホールタイプがおすすめ。ホールタイプは、トマトを丸ごと使っているので、甘みと旨みが強いんです。味付けのポイントは、隠し味のはちみつ。はちみつが、トマトの酸味をまろやかにしてくれます」

ごぼうは、食物繊維の量がトップクラスで多い野菜。揚げればパリッ、煮込めばホクホク、ささがきにすればシャキシャキと、多彩な食感が楽しめます。今回ご紹介した下ごしらえの方法を使って、ごぼうを手軽に日々の食卓に取り入れてみてください。

 

Profile

料理研究家 / 市瀬悦子

大学卒業後、食品メーカーの営業職から料理の世界へ。料理研究家のアシスタントを長年務めたのち独立。「おいしくて、作りやすい家庭料理」をテーマに雑誌、書籍、企業へのレシピ提供、イベントへの出演の他、NHK「きょうの料理」「あさイチ」などのテレビでも活動中。
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