立ち食いそば店の食べ歩きが趣味で、立ち食いそばムックも執筆したことがあるライター、平島憲一郎さんが気になるお店をレポートするコーナー。今回は、東京・大塚の「みとう庵」を紹介します。平成18年開業の同店は、「包丁切り」のそばがウリの本格派。経営母体は霞ヶ関の人気店「日豊庵」などを手掛ける野川麺業で、上質なそばを低価格で提供しているお店です。
本格派の包丁切りそばが立ち食い価格で味わえる
そばは北海道産の厳選されたそば粉を使った二八そば。親会社で幅広の生地(麺帯)に製麺して冷凍し、店で自然解凍して包丁切りすることで、そば粉の香りを損なわずに提供できる。細身の麺は包丁切りらしく角がしっかり立っており、食べた瞬間にふくよかな香りと甘みが口の中に広がっていく。コシものどごしも文句なしだ。
だしは枕崎産のかつお節に宗田節、さば節を使用。引き締まったかえしと合わせ、高級店並みのつゆに仕上げた。また、揚げものも秀逸で、大きなえび入りのかき揚げは、揚げ油にごま油を使い、サクサクと香ばしく揚げている。えび天やちくわ天、野菜天も人気だ。
「きざみ鴨せいろ」は同店屈指の人気メニュー。鴨肉を湯引きして臭みを抑え、粗みじんにしてたっぷりのねぎを加えてつけ汁を作る。そばとともに鴨のうまみが口の中に広がり、一度ならず二度三度と食べたくなる。
ちなみに「みとう庵」の店長は、一流老舗そば店の総料理長を務めたベテラン。卓越した技術が支える上質なそばを、ぜひじっくり味わってほしい。