今年のビール業界における大きなトピックのひとつが、日本で生まれて世界で花開いたホップ「ソラチエース」を使った商品が大手2社から発売されたこと。ひとつはキリンビールが提携するブルックリンブルワリーの「ブルックリン ソラチエース」。もうひとつは、ソラチエースの生みの親であるサッポロビールが満を持して新発売した「Innovative Brewer SORACHI1984」(以下「SORACHI1984」)。
以前筆者は各社の担当者に、誕生にまつわるストーリーを聞いて記事にしましたが、なんとコラボレーション企画の開催が決定。両社による発表会の模様とともに、アツいイベント内容を紹介していきます。
クラフトビアカルチャーがソラチを日本に凱旋させた
冒頭で述べた、“日本で生まれて世界で花開いたホップ”。詳しいストーリーは割愛させてもらいますが、ざっくりおさらいすると、サッポロビールが1984年の9月5日に品種登録をしたホップがソラチエース。
特徴は、個性あふれるフレーバー。ただし、当時はいま以上に“ビールは味よりもゴクゴク飲める爽快感”が重視されていたため、商品化に至らず温存。数年後に海を渡り、アメリカでブレイクするという数奇な運命をたどりました。その躍進に一役買ったのが、ブルックリンブルワリーのブリューマスター、ギャレット・オリバーさんです。
荒井さんがソラチエースを発見し、糸賀さんがアメリカに持ち運び、ダレンさんがその魅力を見出してギャレットさんにビール開発を依頼。そうして生み出され、爆発的にヒットしたビールが「ブルックリン ソラチエース」です。これが2009年。そこから約10年の時を経て、ついに日本上陸となりました。
米国で「ブルックリン ソラチエース」がヒットした理由には、個性的な味わいのクラフトビールが広まるとともに、ビールの多様性も認知されたという背景があるでしょう。そのクラフトビアカルチャーは、ようやく近年日本にもやってきました。また、たくさん飲まれることでソラチエース自体の生産量も増加。ホップの供給と同時にビールの量産体制も整い、サッポロによる「SORACHI1984」の全国発売が実現したのです。