3. 南オーストラリア州クレア・ヴァレー 〜オーストラリア最高のリースリング〜
バロッサの北に位置するクレア・ヴァレーは、アイルランド人エドワード・グリーンソンによって、1846年に名付けられました。オーストラリアは多くの地域で、開拓者としてイギリス系の人物の名前が残りますが、アデレード近郊はドイツ、ポーランド系の移民が多かった地域でもあり、バロッサのイーデン・ヴァレーとクレア・ヴァレーでは、ドイツ系品種とされるリースリングが、主要品種のひとつとして当時から今に至るまで栽培されています。
また、バロッサ・ヴァレーをはじめとして、オーストラリアの各産地では大手資本のワイナリーが土地土地の主要生産者としてワイン産業を牽引していますが、クレア・ヴァレーでは小規模な生産者が多く、品質の追求という点でも、信頼のできる産地です。今ではニュージーランドを中心に世界的に普及したスクリューキャップを、2000年頃から本格的に採用したのもこの産地であり、そういった意味でも先駆者的な存在です。
イーデン・ヴァレーに比べ、クレア・ヴァレーのリースリングは“ライムのよう”と形容される、鮮烈な酸と、にじむような奥行きのある味わいが特徴的で、その硬質で繊細ともいえる個性をコルク・ダメージから守るためにいち早く決断したことは、その後のワインの世界に大きな影響を与えました。
一度、2000年ヴィンテージの「ポーリッシュヒル・リースリング」を、コルクとスクリューキャップで7年ほど熟成したものを比較試飲する機会があったのですが、そのフレッシュさが失われることなく、ほのかに果実味が熟成している味わいからは、クロージャーを通じて生産者の思いを感じるようで、特別なワイン体験でした。
リースリングが好みなら、ドイツ、アルザスだけではなくクレア・ヴァレーのリースリングも一度お試しいただきたいと思います。
Grosset(グロセット)
「Polish Hill Riesling2016(ポーリッシュヒル・リースリング2016)」
6500円
輸入元=ヴィレッジ・セラーズ
4つめの産地は、ヴィクトリア州ヤラ・ヴァレー。