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2021/4/23 21:00

知っておきたいワインの蘊蓄。ソムリエが解説する「オーストラリアワイン」の5産地にまつわる話

5. 西オーストラリア州マーガレット・リヴァー 〜プレミアムワインを産む美しいワイン観光地〜

 

広すぎるオーストラリアの大部分は、ブドウにとっては暑すぎるか乾燥しすぎていて、主要なワイン産地はシドニー(ニューサウスウェールズ州)、メルボルン(ヴィクトリア州)、アデレード(南オーストラリア州)の周囲、南東の海岸沿いとタスマニアに限定されています。

 

西オーストラリア州は、そういった中心的な産地から1000km以上離れ、“陸の孤島”といった趣の産地。生産量はオーストラリア全体の5%ほどと、わずかですが、今回紹介するマーガレット・リヴァーを中心に、ことプレミアムワインに限ると、オーストラリアワインを楽しむうえで外せない重要な産地です。

 

州都パースからも300kmほど離れており、自然の恵みをふんだんに受けるオーストラリアのなかでも、マーガレット・リヴァーほど緑にあふれ、森林に囲まれた美しい景観はそう多くはないと、誰もが口を揃えます。そして、その素晴らしい自然環境のなかで産まれるワインも、オーストラリアのなかでも特に、エレガントでオリジナリティを表現した秀逸なものばかりです。

 

そして特筆すべきは、このワイン産地の歴史は50年そこそこと、日が浅いことではないでしょうか。1970年頃に初めてヴァス・フェリックスがワインを造り、モス・ウッド、カレン、そして写真のルーウィン・エステートといった、今も残る有力生産者が後に続きます。写真のルーウィン・エステートは、そのアートシリーズ・シャルドネが、リリースからほどなくイギリスの評価誌で最高賞を受賞し、ワインの品質を牽引するとともに、エチケットに採用された国内新鋭画家の作品を展示したアート・ギャラリーや、野外ステージで開催されるルーウィン・コンサートなど、文化芸術とワインを融合した企画で、このワイン産地を盛り立てています。オーストラリアの長くないワインの歴史のなかでも特に日が浅いマーガレット・リヴァーは、その雄大な自然と共に高品質のワインと独自のワインツーリズムを提供し、成功を収めています。

 

Leeuwin Estate(ルーウィン・エステート)
「Art Series Chardonnay2015(アートシリーズ・シャルドネ2015)」
1万500円
輸入元=ヴィレッジ・セラーズ

 

ワインを楽しむということは、味わうだけではなく体験するということ、ともに時間を過ごすことだと、マーガレット・リヴァーのワインは伝えていますが、オーストラリアワインの魅力とはそもそも、そういったところにあるように思えるのです。

 

※ワインの価格はすべて希望小売価格です

 

【プロフィール】

ソムリエ / 宮地英典(みやじえいすけ)

カウンターイタリアンの名店shibuya-bedの立ち上げからシェフソムリエを務め、退職後にワイン専門の販売会社、ワインコミュニケイトを設立。2019年にイタリアンレストランenoteca miyajiを開店。
https://enoteca.wine-communicate.com/
https://www.facebook.com/enotecamiyaji/

 

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