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2021/5/28 21:30

“ナパ・ヴァレー”だけじゃない! ソムリエが解説するアメリカのワイン銘醸地

3. カリフォルニア州サンタ・バーバラ
− カリフォルニアで最も冷涼なワイン産地 −

ロサンゼルスから車で2時間ほどの距離にあるサンタ・バーバラは、スペイン風の街並みと美しい海岸風景が人気のリゾート地です。ワイン産地としてはナパ・ヴァレーやソノマほど一般的に知られていなかったかもしれませんが、日本で2005年に公開されたワインを題材にしたロード・ムービー『サイドウェイ』は、サンタ・バーバラを舞台にしていました。

 

ピノ・ノワール好きの主人公が、親友の結婚前に独身最後の旅としてサンタ・バーバラのワイナリーやレストランを巡る物語の中では、地域のピノ・ノワールの数々がスクリーンに登場し、『ミリオンダラー・ベイビー』を抑えてアカデミー脚色賞を獲得したことからも大ヒット、サンタ・バーバラがピノ・ノワールの銘醸地として広く知られるようになることにひと役買った作品です。ちなみに、日本でも小日向文代さん、生瀬勝久さん主演でリメイクされましたが、こちらはナパ・ヴァレーを舞台にしています。

 

ピノ・ノワールは早熟品種なため、温暖な気候だと早く熟してしまい、本来持っている魅惑的な風味を育むことができませんが、カリフォルニアでもっとも涼しいサンタ・バーバラでは、ピノ・ノワールの生育に適した気候的な優位性をふたつ挙げることができます。

 

ひとつは沿岸部に山がないため海からの冷たい風を直接受け、夜間には霧が畑を覆うことで生育期にはブルゴーニュと変わらない平均気温であることから、ブドウの成熟をゆっくりと進めることができます。もうひとつは、ブルゴーニュやソノマに比較して収穫期の降水量が少なく、急いでブドウを摘む必要性がありません。結果として、非常に長い生育期間のなかで、サンタ・バーバラのピノ・ノワールはブルゴーニュのような酸味、ソノマのような果実味を併せ持った一種独特な芳香のあるワインを産み出します。

 

この記事を読んでいるワイン好きの方で、映画『サイドウェイ』をまだご覧になっていないようでしたら、ぜひ一度鑑賞していただきたいと思います。その際には、ワインショップでサンタ・バーバラのピノ・ノワールをご用意することも忘れずに。

 

Domaine de la Cote(ドメーヌ・ド・ラ・コート)
「Pinot Noir Bloom’s Field2018(ピノ・ノワール・ブルームス・フィールド2018)」
1万2000円
輸入元=中川ワイン

 

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