夏に適したワインって何だろう? 巷には気軽に楽しめて、しっかりおいしいワインがたくさんあるからこそ、よくわからない。そこでプロの声も参考に、家はもちろん外飲みでもおいしいオススメ銘柄と、お助けアイテムを紹介。夏ワインの大正解、ここにあります!
※こちらは「GetNavi」2024年7月号に掲載された記事を再編集したものです。
私が解説します
成城石井 商品本部商品部酒販課課長
若林 遼さん
日本ソムリエ協会認定のソムリエ。成城石井では輸入ワインをメインに、ウイスキーやビールなどの酒類買い付けも担当している。社内におけるワイン講師を担当していたことも。
よく冷やしたり氷入りもアリ。赤は渋みの少ない品種を選ぼう
今年も酷暑が予想される日本の夏。ワインもキリッと冷やして飲みたいが、市場の実情は? 成城石井の若林さんは、「明確な調査データが揃っているわけではないのですが」と前置きしつつも、ワイン業界内で聞く声などを元に、国内外のトレンドを教えてくれた。
「地球温暖化もありますが、食のトレンドが全体的に軽めに、素材を生かしたシンプルな味わいに進化している関係もあり、赤ワインよりも軽快な白やロゼ、爽快なスパークリングの人気が高まっていると感じますし、近年は白ぶどうを使って赤ワインのように造る、オレンジワインも脚光を集めていますね。また、味わいとしても甘口より、キレがあって食事に合わせやすい辛口のほうが増えている傾向にあります」(若林さん)
このトレンドは、ワイン大国のフランスでも同様。特に同国では、ロゼや白ワインの消費量が比較的増えているそうだ。加えて、実は氷を入れてワインを楽しむ飲み方はまったくご法度ではなく、むしろ近年広がっているとも。
「暑い日にキリッと飲みたいという理由はもちろん、ほかにも背景があるんです。それが、低アルコールの礼賛。氷を入れることでアルコール度数が下がりますから、いまや大好評ですよ」(若林さん)
ここまでの話を聞くと、夏には白、泡、ロゼが好適とも感じるが、それは早計。特有の優雅な香りやキレに通じる渋味やスパイス感は赤ワインならではの魅力であり、夏だって飲みたいという人は多いだろう。では、この時季にオススメな赤はどんなタイプなのか。
「品種の例を挙げれば、比較的に軽やかなピノノワールやグルナッシュといったぶどうを使ったワインがいいでしょう。特にピノノワールであれば、渋みがやさしい南仏産がオススメですね。また、夏であればふだんより冷やして飲んでもいいと思います。冷蔵庫でも構いません。飲む10〜20分前に取り出すと、飲み頃の温度になっていると思いますよ」(若林さん)
若林さん曰く、冷やすと渋みが感じやすくなるとのこと。それもあって、夏に選ぶなら渋みの少ない赤ワインがいいそうだ。成城石井はフードも充実しているということで、イチオシの赤白ワインと、各銘柄に合う商品も教えてもらったので参考に。また、編集部では入手しやすい有名銘柄から、夏により美味なワインを下記で選んでみた。ぜひこちらも活用し、涼やかな暑気払いを楽しもう!
バイヤーソムリエに聞いた夏美味ワインの選び方
実際に、夏のワインはどう飲まれているのか。国内外のワイントレンドに詳しいバイヤー兼ソムリエに聞くとともに、オススメや料理との組み合わせも教えてもらった。
【その①】甘酸っぱいキャロットラペに桃や柑橘香る白ワインが合う
CH ラ ヴェリエール ブラン
2409円
味タイプ:中辛口/主な香り:白桃、グレープフルーツ/生産国:フランス/アルコール度数:13%/合う料理:甘酸っぱい冷菜
最近トレンドの、単一品種のフランス・ボルドー産白ワイン。こちらはフレッシュなソーヴィニヨンブラン種100%で、爽やかな香りとイキイキとした酸味が特徴となっている。
<オススメ料理>多彩な素材で仕上げた技ありの定番フレンチ
成城石井
成城石井自家製 リンゴ酢ときび糖仕立てのキャロットラペ
388円
アップルビネガーときび砂糖で甘酸っぱく仕上げたラペに、レーズンとアーモンド、パセリをトッピング。細切りでシャキッとしたにんじんの歯ごたえも、清涼感を演出する。
Buyer’sマリアージュ
「暑い日は、冷やした白ワインとキャロットラペでさっぱりと。にんじんの甘みに加わるアーモンドの香ばしさが、白桃やグレープフルーツのような香りをもつフランス産ソーヴィニヨンブランの爽快感に合います」(若林さん)
【その②】エスニックの魅惑的な風味をクールな赤でよりリッチに
カーヴ ド ピュイミッソン ラテット
1639円
味タイプ:ミディアムボディ/主な香り:ブラックベリー、ココナッツ/生産国:フランス/アルコール度数:13%/合う料理:エスニック、甲殻類
ブラックベリージャムを思わせる濃厚な果実の風味と、スマートな口当たりが特徴。渋みが控えめのキュートな赤ワインなので、冷やしてもエレガントなフルーティさを楽しめる。
<オススメ料理>トムヤムの魅力が生きたタイ風ライスヌードル
成城石井
成城石井自家製 殻付き海老と香味野菜のトムヤム焼きそば
647円
ココナッツクリームを使用し、辛味や酸味のなかにまろやかさを感じられる。セロリのさっぱりした味と香りや、セミドライトマトの酸味と卵のマイルド感などが好アクセントに。
Buyer’sマリアージュ
「スパイスや南国調の風味をまとったソースの甘み、また、食感の軽めな米麺がフルーティな赤ワインとマッチ。この赤ワインがもつ熟した果実のニュアンスは、殻付き海老の香ばしさや酸味とも見事に調和します」(若林さん)
【その③】果実味とバニラが調和したチリの名門による贅沢な一本
サンタ・ヘレナ・アルパカ・プレミアム・シャルドネ(右)
1206円
味タイプ:辛口/主な香り:ピーチ、トロピカルフルーツ/生産国:チリ/アルコール度数:13%/合う料理:鮭のムニエル、クリームシチュー
収穫量を抑え、より熟度の高いぶどうを厳選した、チリワインの名門ブランドが手掛ける贅沢な白ワイン。豊かな果実味と深いコクのなかに、バニラのような甘さを感じられる。
【その④】若い黒ぶどうから造られた革新的な白いマルベック
トリヴェント リザーブ ホワイトマルベック(中)
参考価格 2167円
味タイプ:中辛口/主な香り:青りんご/生産国:アルゼンチン/アルコール度数:11%/合う料理:ローストビーフ、焼鳥、牛タン
アルゼンチンを代表する赤ワイン品種「マルベック」の名手が、その魅力を広めるべく造った白。ぶどうが黒く色づく前に収穫するため、フレッシュで低アルコールなのも特徴だ。
【その④】ドライでキレのある酸が美味世界No.1カヴァの代表銘柄
フレシネ コルドン ネグロ(左)
オープン価格
味タイプ:辛口/主な香り:レモン、シトラス/生産国:スペイン/アルコール度数:11.5%/合う料理:グリルチキン、パエリア
シャンパンと同じ製法で造られる「カヴァ」。その世界No.1(※)ブランドとして知られるフレシネの、代表銘柄。柑橘のようなドライでキレのある酸味が特徴で、食事とも好相性。
※IWSR2022 スペインスパークリングワイン販売数量