将来のApple Watch Ultra後継モデルに、次世代ディスプレイ技術「マイクロLED」採用する計画に暗雲が垂れ込めていることは、先日もお伝えしました。マイクロLEDとは微細なLEDを画素として敷き詰める方式であり、従来の有機ELよりも色鮮やかで明るくなるメリットがあります。
前回、アップルがマイクロLEDサプライヤーをキャンセルした可能性が浮上したことに続き、もう1つの関連サプライヤーも中止を申し渡されたかもしれないことが明らかとなりました。
信頼性の高いディスプレイ専門アナリストのRoss Young氏は、先進的なディスプレイの製造装置を提供するKulicke & Soffa社が、「戦略的顧客」の1社が謎の 「プロジェクトW 」をキャンセルしたことを明らかにしたと報告。その上で、アップルはマイクロLEDへの移行を心配する必要がなくなったと述べています。
Kulicke & Soffa (KLIC) indicated that its Project W is canceled, taking at least $110M in charges. Apple no longer has to worry about transferring microLEDs which is bad news for KLIC.
— Ross Young (@DSCCRoss) March 12, 2024
この「プロジェクトW」は、おそらくマイクロLED版Apple Watch Ultraの開発コード名のこと。Kulicke & Soffa社はそのディスプレイ量産を支援するために準備を進めていたものの、計画が中止になったことで、少なくとも1億1000万ドルの費用が発生するとSEC(米国証券取引委員会)に届け出た次第です。
2つの主要サプライヤーが姿を消したことで、マイクロLED版Apple Watch Ultraは実現が遠のいたようです。上述のYoung氏のほか、アップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏も「アップルがプロジェクトを中止した可能性が高い」と述べていました。
もしも実現したとしても、マイクロLEDは先進技術のため製造コストも高く、価格にも上乗せされるはず。十分にコストが下がった数年後に発売するのが、アップルにとってもユーザーにとってもベストかもしれません。
Source:Ross Young(X)
via:iMore