かつてアップルが第3世代iPodの試作機向けに『テトリス』のクローン版を開発しており、音楽プレイヤーにゲームを配信する実験をしていたことが明らかとなりました。
これは、アップルの試作機コレクターとして知られるAppleDemoYT氏が公開したもの。搭載ゲームは『Stacker』と呼ばれ、iPodのスクロールホイールで操作する方式です。
A brand new video is out about my Prototype iPod 3rd Generation (DVT Stage)! On top of the amazing software and hardware this prototype has, it has a rather interesting backstory! I even contacted an ex-Apple engineer about this one! #appleinternalhttps://t.co/sFyA0CiSov pic.twitter.com/vgnfWELGOv
— Apple Demo (@AppleDemoYT) May 24, 2024
iPodの試作機は「DVT」、つまり設計検証テスト(Design Validation Testing)段階にあったデバイスです。通常、アップル製品の開発はPVT(試作機検証テスト)>DVT>EVT(生産検証テスト)を経て正式な量産に至りますが、その中間というわけです。
このプロトタイプの型番はA1023で、どの製品版iPodにもなかったもの。2003年の第14週(第3世代iPod発売の1か月以上前)に製造されており、ソフトウェアはiPodOS 2.0の試作版を搭載し、Stackerもその上で動いています。
ピースはスクロールホイールにより左から右に移動し、真ん中のボタンを押すと落下。そうして一列を並べて消してスコアを稼ぐ……ということでテトリスそのものです。
他にも試作iPodには、『Block0』や『Klondike』というゲームも搭載されています。AppleDemoYTが元アップル副社長のTony Fadell氏にStackerが出なかった理由を尋ねたところ、「後のソフトウェアリリースでゲームを追加したため」とだけ回答。つまり、第3世代以降のモデルでゲームが遊べるようになったというのみで、舞台裏で何があったかは言及していません。
実際、2006年には第5世代iPod向けに『Bejeweled』『Mini Golf』『Pac-Man』などに加えて、テトリスの正式版もリリースされています。これらは全て、App Storeより前に登場したもの。今やiPhoneがモバイルゲーム機として大成功を収めているのも、iPod時代からの積み重ねのおかげかもしれません。
Source: AppleDemoYT(X)
via: MacRumors