南井正弘のスニーカーコラム「Kicks in the lifestyle」
【第3回】
「ここ数シーズンのスニーカーシーンをリードしてきたブランドは？」という質問に対し、多くのスニーカーフリークは「ニューバランス！」と答えるでしょう。それほど、ここ2，3年のニューバランスの人気は凄いものがあります。他ブランドが購買層に偏りがあるのに対し、このブランドは老若男女満遍なく人気がある。かくいう自分も何足ものニューバランスのスニーカーを所有していますが、今回はそのなかでも最もヘビーローテーションで着用している3足を紹介したいと思います。
最も有名かつ人気な一足！
M1300は、いわずと知れたニューバランスの歴史上最も著名で人気のあるプロダクトのひとつ。オリジナルは1985年に発表されましたが、その比類なきクッション性、安定性により、ニューバランスのみならずスポーツシューズ業界随一の機能性を誇るランニングシューズとしても注目を集めました。アッパーのヌバックマテリアルをはじめとして使用する素材選びには一切の妥協なし！ そのため、当時アメリカでの希望小売価格が130ドル、日本では3万9000円という一般的なランニングシューズなら3～4足も購入できてしまうほどの高価格でも話題を呼びました。この当時の大卒初任給が14万円ほどなので、いかに高価だったかがわかると思います。
M1300はその重厚感ある高級な雰囲気で、ランナーのみならずスニーカーフリーク垂涎のモデルとなり、1995年以降、5年ごとにリリースされる復刻版も激しい争奪戦が繰り広げられるようになりました。自分はこのシューズに使用されている最高品質のヌバック素材に魅了され、このシューズのファンになりましたが、コーディネートに上品さをプラスしたいときにM1300を履くことが多いですね。
現代のトレンドも取り入れた復刻モデル！
ニューバランスは、J.CREWとのコラボでも有名。J.CREWとは、ベーシックで長く着られるカジュアルウェアがアメリカで根強い人気となっているブランドです。現在日本に路面店はありませんが、日本からの通信販売にも対応してくれるので、日本人のファンも少なくありません。このJ.CREWはアパレルだけでなくフットウェアも展開していますが、特に人気となっているのが著名ブランドとのコラボレーションモデル。ドレス&カジュアルシューズではオールデンやビルケンシュトックとのコラボが有名でしたが、スニーカーではなんといってもニューバランスとの関係が強固で、これまでにM1400やM990など様々なコラボモデルがリリースされてきました。
そんななかでも個人的に一番気に入っているNew Balance for J.CREWのコレクションが、M998のこのカラーリング。M998は900番台シリーズの第5弾として1993年に発表されたランニングシューズですが、J.CREWはM998を単に復刻させているだけではありません。ブルーを基調に随所にオレンジカラーやリフレクターパーツを配することで、現代のカラートレンドを巧みにプラスしているところがポイントです。
伝統を踏襲しつつ軽量化を実現した、3足目の「M990」
ニューバランスの900番台モデルの原点は1982年に発売されたM990です。このモデルはニューバランス自らが広告で「1000点満点中990点」と自己採点するほど機能性に優れたモデル。ヒールカウンター部分の外付けスタビライザー、発泡ゴムを使用したクッション性とグリップ性を両立したアウトソール構造などは、のちのランニングシューズの機能に大きな影響を与えることとなりました。
M995、M996、M997と後継モデルがリリースされていったニューバランスの900番台シリーズですが、「M999の次のネーミングはどうするんだろう？」と思っていたら、1998年に登場したモデルは再びM990の名を使用することに。同様に2012年にリリースされた900番台モデルの第11弾も、M990のネーミングを使用することになりました。つまり、このネーミングは3度も使われていることになります。
箱などにはVersion3の意味のV3の表記も見られます。このモデルはあらゆるファッションスタイルにコーディネートしやすい、シリーズ伝統のクラシックな雰囲気を継承。ですが、前作のM993より大幅な軽量化が為されているのが大きな特徴で、走行性能は大きく向上しています。
【バックナンバー】
第1回「履いているだけで「いいなぁ！」と言われたスニーカーベスト3」
第2回「知る人ぞ知る！ マニアック＆魅力的なテニスシューズ3選」