Vol.160-2
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回は9万9800円(税込)から購入できる「MacBook Neo」の話題。教育市場での普及を目指す狙いと、他のMacBookとの違いを解説する。
今月の注目アイテム
アップル
MacBook Neo
9万9800円~
13インチのLiquid RetinaディスプレイとA18 Proプロセッサーを搭載し、高度なAI性能を実現。アルミ製ボディは軽量で、最大16時間の駆動が可能だ。カラーはブラッシュ、インディゴ、シルバー、シトラスの4色が揃う。

アップルの新製品である「MacBook Neo」が好調だ。10万円を切る価格に加え、4色のカラーバリエーションも人気の理由だろう。
カラーバリエーションは、低価格製品で展開されやすい施策ではある。だが、一般的なカラーバリエーションより、MacBook Neoのものは徹底している。
例えばキーボード。同じMacでも、他機種ではキーの色は共通が基本だ。同じカラーバリエーションがあるiMacやMacBook Airも、キートップの色は製品で共通になっている。iMacは全モデル白だし、MacBook Airは黒。サイズが違っても同じキーを使っている。
しかし、MacBook Neoではカラーごとにキーの色を変えている。ここまでやる製品は意外と少ないし、アップル製品の中でも破格な扱いだ。
さらに、本体底面の「ゴム足」の色も凝っている。MacBook AirもMacBook Proも黒なのに、MacBook Neoは本体色に合わせた色になっている。ここまで凝った製品はほとんど例がない。
多くの製品では、部品はできるだけ共通化を目指す。大量に同じパーツを使ったほうがコストは下がるし、管理も楽になるためだ。プロセッサーやバッテリーなど、どうしても変えなくてはいけない部品はともかく、キーやゴム足のように共通化可能なものは共通化してしまうことが多い。
しかしアップルは、リスクの高い低価格機種でカラバリを徹底した。コストを下げたい機種であえてコストがかかるやり方を選んだのは、この製品にとって「カラバリの徹底が大きな価値を持つ」と考えたからだろう。
低価格なMacBook Neoは、若年層にとって初めてのPCであり、初めてのMacになる可能性が高い。そこでは無味乾燥なデザインのものよりも、個性を演出できるカラーが望ましい。
他方で、製品に付属する電源ケーブルとACアダプターは白。どちらも過去にiPhone用・iPad用などで大量に作られたものが使われている。ここまではカラバリを徹底せず、量産でコストが下がりきったものを選んだ……ということなのだろう。
こだわるところはこだわって質感を維持する一方で、量産でコストを下げたものを採用して全体の価格を下げるというやり方は、非常にアップルらしいやり方だ。MacBook NeoがプロセッサーとしてiPhone用の「A18 Pro」を使っており、メインメモリーも8GBに制限しているのも、iPhoneという「年間に数千万台製造される製品の量産力」を徹底的に生かしたやり方といっていいだろう。
では、iPhoneのプロセッサーをMacに使うという選択は、製品にどのような影響を与えたのだろうか? その辺は次回解説する。
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