スマートフォンの進化軸は「スペック」から「体験」にシフトしつつあります。特に生成AIテクノロジーを積極的に取り込んだ「AIスマホ体験」には多くの関心が集まっています。
独自のGalaxy AIプラットフォームをいち早く整えてきたサムスンのGalaxyシリーズに、AIスマホの理想を追求したフラグシップモデル「Galaxy S26 Ultra」が加わりました。2週間ほど実機を試してみたインプレッションと、おすすめしたいGalaxy S26 Ultraの活用術をレポートします。

大画面だからこそ実感できる。AI体験の快適さ
サムスンが展開するGalaxy S26シリーズは全3モデルで、Ultraはその中の最上位、いわゆるフラグシップモデルにあたります。約6.9インチの大きな有機ELディスプレイを搭載しており、背面には約2億ピクセルの広角カメラ、光学3倍・5倍のデュアル望遠カメラを含むクアッドシステムのメインカメラがあります。そしてシリーズ最大容量となる5,000mAhの大容量バッテリー。頭脳となるSoCは、Galaxyのためにクアルコムがカスタマイズして提供する最新の「Snapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxy」です。
直販サイトの販売価格は、最もベーシックな仕様となるストレージ256GB、メインメモリー12GBのモデルが218,900円(税込)。価格もハイエンド相応といえます。
実機を手に取って、最初に感じたことは圧倒的なディスプレイの存在感でした。ディスプレイ周囲のベゼルは極限まで細くして、4つのコーナーを含めほぼ均一な細さに統一しています。2025年モデルのGalaxy S25 Ultraよりも、さらにデザインが洗練された印象を受けます。

ディスプレイ解像度3120×1440ドット(QHD+)、ピーク輝度2600nits、1〜120Hzの可変リフレッシュレート対応といった仕様はS25 Ultraを踏襲。ビデオ・写真コンテンツの表示は精細感とコントラストに富んでいます。色彩のバランスは少しビビッド側に寄せており、色とりどりな料理や植物、人物の肌の色などを活き活きと再現します。
本機を使い込んでいくほどに、AIスマホの機能は画面が大きいほうが真価を発揮しやすいことがわかります。例えば必要な情報をまとめて表示してくれる独自機能の「Now Brief(ナウ・ブリーフ)」により、その日の天気やスケジュール、AIが選定したおすすめのニュースやYouTubeで更新されたコンテンツなど、多くの情報を一目で俯瞰できるのは魅力的です。
本体に収納できる「Sペン」によるメモやスケッチも、伸び伸びと筆を運べます。

のぞき見を防止する「プライバシーディスプレイ」を賢く使う
また、主に横方向からのディスプレイの“のぞき見”を防止する「プライバシーディスプレイ」という機能が初搭載されました。
ディスプレイに保護フィルムなどのアクセサリーを貼ることなく、のぞき見防止を実現する機能は、かつてシャープ「AQUOS」シリーズのスマホの中に「のぞき見ブロック(ベールビュー)」として、ソフトウェア処理による機能を載せていた製品がありました。Galaxy S26 Ultraは同様の機能を、有機ELディスプレイが放つ光の拡散をピクセル単位で制御することによって、ハードウェア的に実現しています。
ユーザー体験としては、例えば電車の中やホームなどでメールをチェックしたり、カフェで動画コンテンツを視聴したり、あるいは暗証番号の入力時など、のぞき見を防げることで安心感が高まります。
ただし、プライバシーディスプレイをオンにすると直視方向以外のピクセルがオフになるため、画面の輝度が全体に少し下がり、表示が暗く感じられます。当然ながら視野角も狭くなります。人が多く集まる屋外に出かけるときなど、使用シーンに合わせて使いたい機能です。


クイックパネルにプライバシーディスプレイのオン・オフを切り替えるメニューを配置しておくと便利です。または設定から、プライバシーディスプレイを自動でオンにするアプリだけを選ぶこともできます。

本体に装着できるSペンは防塵防水対応
UltraシリーズのアイデンティティであるSペンも、AIとの融合でさらに進化しました。今回、特に注目したいのが「クリエイティブスタジオ」です。
従来のスケッチアシストから進化したこの機能では、テキストプロンプトを入力できるほか、簡単なラフスケッチから本格的なイラストを起こすことができます。
筆者はオリジナルの「AI壁紙」にハマりました。そもそもスマホの壁紙選びにいつも悩むので、スケッチを元にして自由に作れることの楽しさをあらためて知りました。自分で撮影した写真と同様に、イラストを壁紙にしてもスマホへの愛着が深まります。

Sペン本体もIP68規格を取得する防塵・防水対応です。筆者は今回のようなプロダクトレポートの企画や文章の構成を、バスルームで考えているときによくひらめきます。その際に防水対応のGalaxyスマホとSペンの組み合わせがあれば、バスタイムも生産性の高い時間になることを実感しました。

低照度環境で安定のパフォーマンスを発揮するカメラ
カメラが優秀であることも特徴のひとつです。特に筆者の場合、記者会見やイベントの際に、少し暗い会場で、登壇者から離れた位置に座って舞台上の人物やプレゼンテーションの画面を撮影することがよくあります。Galaxy S26 Ultraのカメラは低照度環境で、遠くの被写体にズームして撮った写真のクオリティが安定しています。これならば筆者の仕事で十分に使える手応えがありました。



Galaxy S26 Ultraは、スピーカー部分を手で軽く押さえながら撮影すると、シャッター音を物理的にかなり抑えることができます。静かな公演会場、あるいはカフェやレストランなどで料理の写真を撮りたいときなど、周囲への配慮が必要な場面でこの「静音性」は非常に重宝しました。
望遠カメラによる最大100倍ズーム撮影を、Google Pixel 10 Pro XLと比較してみました。どちらのスマホも「デジタル+AI処理」による高倍率ズームを実現していますが、Galaxy S26 Ultraの方がAI処理が自然な感じがします。


Galaxy AIによる、撮影後の写真データのAI編集機能も強力です。
「フォトアシスト」の機能を使えば、フロントカメラで撮影したセルフポートレート写真の背景に写り込んでしまった人物の「消去」は朝飯前。被写体を着せ替えたり、背景の景色を差し換えたり、手書きのラフスケッチからリアルな猫の絵を生成して肩に乗せてみたり、遊び放題楽しめます。画像にはAI特有の加工感も残りますが、それはそれで写真を受け取る相手に誤解を与えずに済むのでよいと思います。

Galaxy S26シリーズがAirDrop互換に
Macユーザーが選びやすいスマホになったことも評価点のひとつでしょう。最新のソフトウェア「One UI 8.5」にアップデートすると、ワイヤレスによるファイル伝送機能の「Quick Share」が、アップルのワイヤレス共有機能である「AirDorp」にも互換対応します。
従来のQuick ShareはAndroidデバイス同士、またはChromebookやWindows PCとの間に限り、ドキュメントや写真などのファイルをワイヤレスで共有できました。
かたや、アップルのAirDropもアップルデバイス間でのみ対応していましたが、2025年にGoogle Pixel 10シリーズ、2026年2月中旬からはPixel 9aを除くPixel 9シリーズがエコシステムの壁を打ち破り、先行してQuick Shareによるアップルデバイスとのワイヤレスのファイル共有が可能になりました。今回はその輪がGalaxy S26シリーズにも広がった格好です。

Galaxy S26 Ultraで撮影した写真やビデオ、Sペンで描いたラフスケッチを、そのままMacやiPadに伝送して、Mac上で細かく加工できるといった使い勝手はとても快適です。「AndroidスマホでもAirDropができる」ようになると、友だちや家族、仕事仲間とのファイル共有も楽になります。「スマホは必ずしもiPhoneでなくてもOK」と考える方が増えるかもしれません。
Qi2対応には課題ありだが「魅力的な体験価値がある」端末
Galaxy S26 Ultraは、決して安価なデバイスではありませんが、本機には価格以上の体験価値が詰まっていることを実感できました。
例えばビジネスシーンでは高性能な望遠カメラと、そしてプライバシーディスプレイ、筆者の場合は防水対応のSペンが強力な武器になります。AIフォト加工の機能は日常の写真撮影をクリエイティブな体験に広げてくれそうです。なんでもGalaxy AIが勝手にやってくれるのではなく、「AIがユーザーと一緒に創造性を広げてくれるスマホ」といえます。
ひとつ筆者が気になる点は、本機がQi2にフル対応していないことです。サムスン純正のQi2対応充電器「Magnet Wireless Charger」により、最大25Wのワイヤレス充電をサポートしていますが、Qi2対応のケースを装着しないとマグネットによる位置合わせ機能が使えません。Qi2規格をフルサポートするサードパーティのアクセサリーを使うときに、マグネットで固定したいときにもケースが必要です。
筆者はいつも自分のスマホにケースを着けるのでさほど気になりませんが、これからGalaxy S26 Ultraの購入を本格的に検討する方は気に留めておくとよいと思います。