ウイスキーの次に世界で認められるのはワインだ!日本ワインの今を味わえる二本

ink_pen 2025/11/20
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ウイスキーの次に世界で認められるのはワインだ!日本ワインの今を味わえる二本
GetNavi編集部
げっとなびへんしゅうぶ
GetNavi編集部

1999年創刊。「新しくていいモノ」を吟味して取り上げる月刊の新製品情報誌。生活家電とIT・デジタルガジェットを中心に、モビリティ・雑貨日用品・グルメ・お酒まで、モノ好きの「欲しい!」に結論を出す、がコンセプト。

海外で賞賛される日本の舶来酒といえばウイスキーが筆頭格だが、近年はワインも大躍進。理由のひとつが、多彩な風土を生かした優美な味だ。代表銘柄と、そのモノづくりを紹介しよう。

スパイス香る果実味になめらかな渋みが調和

サントリーフロムファーム
登美の丘 赤 2022
オープン価格(実勢5940円前後)

この地で個性が開いたプティ・ヴェルドやメルロが中心のミドルボディ。黒い果実やスパイス香、甘くなめらかなタンニンが美味。

↑栽培方法も品種ごとに様々。同じ「甲州」でも、垣根仕立ては心地良い渋みが特徴の勢いある味に。棚仕立ては香りや凝縮感が豊かになる。
↑今夏、新醸造棟が完成。ぶどうをより丁寧に扱える設備と、細やかに造り分けられる小型タンクにより、さらに高品質なワイン造りが実現。
「登美の丘 赤」に使用されるぶどう品種の変遷
【栽培品種の畑分布図】ぶどう畑は広大で高低差も100m近く、生育環境は異なる。そこで品種ごと約50区画に分け、それぞれ最適な栽培方法で育てている。
※:登美の丘ワイナリーの2025年9月時点の資料をもとに編集部で作成。

TASTING!
「すももやチェリーを思わせる香りに、干しぶどうや熟したイチヂクの果実味と、クローブ的な甘いスパイス感が調和。上品な渋みが心地よく、タレ味の焼鳥やビーフシチューなどが合いそう」

南国調の明るい柑橘香が個性を放つ金賞白ワイン

グランポレール
安曇野池田
ソーヴィニヨン・ブラン〈薫るヴェール〉2023

オープン価格(実勢8000円前後)

香り高さを求めて、最も香気が豊かな時期にぶどうを収穫。「日本ワインコンクール2024」の欧州系品種、白部門で金賞を受賞した。

↑礫地のため、2009年の開園当初は小石の除去に苦労したとか。とはいえ水はけの良さは抜群。そこで生まれる小粒のぶどうは凝縮感のあるワインとなる。
↑圃場の標高や土壌の違いを考慮しながら、栽培区画を選定。水はけの良い傾斜地に適した垣根仕立てで、より陽光と風通しのよさを享受する。

TASTING!
「ソーヴィニヨン・ブランらしいビターな柑橘香に加え、パッションフルーツ的な南国感が華やか。かすかなはちみつのニュアンスと引き締まった酸も絶妙。魚のフライやマリネにマッチ」

和のテロワールとの対話が日本ワインを旨くした

世界最大級のワインコンペで最高賞に輝いたり、和酒の国際コンクール「Kura Master」に「日本ワイン部門」が新設されたり、近年、日本ワインの国際的な評価が高まっている。背景には業界を盛り上げようとする機運の高まりや、造り手の増加によるボトムアップなどいくつも挙げられるが、特に味に関しては、テロワール(気候風土)を細かく意識したぶどう栽培がある。

成果を上げている一社が、1974年からワイン造りを手掛けるサッポロビールだ。その日本ワインブランドが2003年に誕生した「グランポレール」。名酒を生み出す圃場のひとつ、長野県の「安曇野池田ヴィンヤード」は、水はけの良いやせた土地で、標高が高く冷涼。さらに寒暖差もあるため欧州系品種と相性が良く、ぶどうは小粒で味に凝縮感が出る。さらに、より気温が低い高標高区では白ぶどうやライトな黒ぶどうの「ピノ・ノワール」を、低標高区では黒ぶどうを植えるなど、細分化で素材の個性を最大限に引き出している。こうした施策は味にも反映され、各銘柄が国内外の品評会で受賞することも珍しくない。

適材適所のぶどう栽培は、ワインが祖業のサントリーも名手だ。1909年開園と、100年超の歴史をもつ山梨県の「登美の丘ワイナリー」を例に挙げよう。この地はやわらかな味わいを生み出す、粘土・シルト系の土壌。夏は温暖だが昼夜の寒暖差が激しく、フランス系品種と好相性な環境、というのは前者と同様。その上で同社は長年、黒ぶどうは「メルロ」や「カベルネ・ソーヴィニヨン」を中心に栽培してきたが、研究の末に強い個性をもつ「プティ・ヴェルド」の魅力を最大化できると見出し、数年をかけて本格採用。日当たりが良い南向きの斜面を中心に「垣根仕立て」で栽培し、より小粒で凝縮感にあふれた実の生育を実現している。

また、白ぶどうに関しては特に日本固有品種「甲州」に注力。糖度を向上させるべく、凝縮感が高まる区画を選んだり、完熟ぶどうだけを収穫したりと挑んだ結果、「登美 甲州 2022」は2024年、最高賞に輝いた。ちなみに同ワイナリーは9月に醸造施設や見学ツアーを刷新。ぜひ訪れてみてほしい。

↑国税庁の調査による、国内ワイナリー数の推移。過去9年で、造り手は約1.8倍にも拡大した。今年は500を超えると推計されている。
↑「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」は、国際コンペ「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード 2024」で日本初の最高賞に。

※「GetNavi」2025年12月号に掲載された記事を再編集したものです。
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