家電
空気清浄機
2023/12/12 11:30

キレイな風を遠くまで! 風量もサイズもビッグなダイソン空気清浄機「Dyson Purifier Big + Quiet」をチェック

ダイソンの空気清浄機は、リング形状をした「羽根のない扇風機」としても知られています。その特徴的な形状からダイソンのアイコン製品のひとつでしたが、今年はまったく異なる新シリーズが登場しました。それが新製品となる「Dyson Purifier Big + Quiet」(ダイソン ピュリファイアー ビッグアンドクワイエット/以下、Big + Quiet)シリーズ。

 

新シリーズ最大の特徴は、なんといってもそのパワフルさ。最大100m2の広いスペースの空気を清浄化可能で、オフィスなどの業務用途にも利用できるレベルの風量があるといいます。実際のところ新製品はどうなのか? 発表会にてBig + Quietシリーズの実機をチェックしてきました。

↑新製品はスタンダードな「Dyson Purifier Big + Quiet」(写真右)と上位モデルの「Dyson Purifier Big + Quiet Formaldehyde」(写真左)。両者の違いは「ホルムアルデヒド」を分解できる触媒フィルターの有無とカラーのみ

 

ダイソン史上もっともパワフルな送風性能

新製品最大の特徴は風のパワフルさ。一般的なフィルター式空気清浄機は、本体に吸い込んだ空気をフィルターで濾過して汚れを取り除きます。つまり、どれだけフィルターが高性能でも、空気を「吸い込む」性能が低ければ無意味なのです。しかも、パワーが弱いと汚れた空気をキレイにするのにも時間がかかります。そのため、空気清浄機はフィルター性能とともに風量も重要。そこで、新シリーズは風量を従来モデルの2倍に強化しました。なんと10m先まで送風できる力強さがあるそうです。

↑発表会会場では、Big + Quietの風でシャボン玉を飛ばすデモンストレーションも行われました。シャボン玉は空気中のゴミよりかなり重いにもかかわらず、8m以上しっかり飛んでいました

 

↑独特の形状で気流を制御します。送風角度をリモコンで上下0°、25°、50°に変更できます。左右の角度変更は手動のみ。思った場所に風をピンポイントで送風できる形状は、ダイソンの個人向け空気清浄機「Dyson Pure Cool Me」に似ています

 

風量を強化したためか、本体サイズと重量は名前の通りなかなかのもの。本体サイズは両モデルともに幅41.5×奥行43.4×高さ83cm、重量は写真のスタンダードモデルが11.8kg、上位モデルは11.9kgほどあります。重量はありますが、底面に5個のキャスターを配置しているので移動は指先だけでもスムーズにできました。このサイズ感とパワフルさのため、ダイソンはクリニックや店舗、ホテルなどの業務用途での利用にも期待しているといいます。

↑新製品発表会に登壇したダイソンの空調家電カテゴリーのエンジニアであるテオ・ジョーンズ氏と新製品Big + Quiet。人と並ぶと大きさの印象がわかるでしょうか

 

↑発表会で用意されていた設置イメージ

 

静かな音を実現した3つの技術

ところで、風が強力になるほど気になるのが駆動音。空気清浄機は24時間つけっぱなしという家庭も多いため、うるさい空気清浄機は生活の邪魔になりかねません。Big + Quietは「Quiet(静か)」という名前の通り静音性にもこだわっています。

 

Big + Quietが静かである理由は大きく3つ。ひとつは「ヘルムホルツサイレンサー」と呼ばれる本体頭部分にある空間。この空洞に特定の周波数の音を捉えることで、不快な音を低減させます。

 

2つめはモーターの固定方法。モーターをコンプレッサー内に柔らかく固定することで、モーター回転時の振動を逃がして音の発生を抑えます。

 

最後に「ラビリンスシールド」とよばれる特殊構造。凹凸のある構造体に空気の通り道を作ることで、騒音になりやすい「空気の逆流」を抑えます。これら3つの技術で、Big + Quietは最小21.7dB、最大風量時でも42.7dBとかなり静かです。

↑Big + Quietのカットモデル。指の先にあるギザギザしている構造体がダイソン独自の「ラビリンスシールド」

 

これはうれしい! HEPAフィルターの寿命が約5年に伸びた

フィルターによる空気清浄については従来通り。ウイルスレベルの0.1μm以下の超微粒子まで99.95%除去できるHEPAフィルターに、有害ガスなどの除去ができる活性炭フィルターを搭載。さらに、Big + Quiet Formaldehydeモデルのみホルムアルデヒド分子を水と二酸化炭素に分解する「酸化分解触媒フィルター」を搭載します。

↑本体中央部分にカラー液晶モニターを搭載。リモコン操作でPM2.5などの粒子やガス、ホルムアルデヒドのレベルを表示できます。IoT製品なので、スマートフォンと連携して空気の汚れの推移をスマートフォン上にグラフで表示させることも可能です

 

個人的に嬉しいのが、HEPAフィルターの交換時期が大きく伸びたこと。従来のダイソン製空気清浄機のHEPAフィルター交換目安は約1年でしたが、新製品はHEPAフィルターの大きさを従来の3.8倍に増やしています。これにより、なんとフィルター寿命は最長5年まで伸長。HEPAフィルターは比較的高価な消耗品なので、これはかなり大きなメリットです。ちなみに、活性炭フィルターの交換目安は約2年。ホルムアルデヒド用の酸化分解触媒フィルターは汚れを分解するため、交換の必要はありません。

↑本体の頭部分を外し、外装を引き抜くとHEPAフィルターがお目見え。筒状のHEPAフィルターを引き抜くと、下から活性炭フィルターが出てきます。写真は中央奥がHEPAフィルター。左が活性炭フィルターを巻き付けたBig + Quiet本体

 

↑Big + Quiet Formaldehydeの活性炭フィルターを一部外したところ。活性炭フィルターは分厚い柔らかなシート形状です

 

風量も大きいぶんサイズも大きい

魅力的な機能が多いBig + Quietですが、もちろん気になる点もあります。ひとつは本体の大きさ。従来製品より本体サイズが大きくなったので、狭い部屋では設置が難しいということ。また、従来までのリング形状の空気清浄機は「空気清浄ファン」というジャンルでしたが、新Big + Quietは「空気清浄機」に分類されています。このため風量はアップしているのですがファン(扇風機)としての利用は想定されていません。従来あった左右の自動首振り機能もなくなりました。「空気清浄機としての性能」を追求するため、余計な機能はそぎ落としている製品だという印象です。

 

最初に説明したように、空気清浄機が空気をキレイにするには「高性能なフィルター」「パワフルな送風性能」のどちらも欠かせません。新製品は従来製品の2倍の風量を確保することで、空気清浄機としての性能がパワーアップ。さらに、ダイソンらしい独自性に溢れたデザインも健在です。ダイソンが好きで空気質にこだわりたいなら、ぜひチェックしてほしい製品ですね。