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2019/10/18 17:30

脱・使い捨てプラに「森のタンブラー」が効く! アサヒ×パナのコラボで生まれた「画期的新素材」を詳しく解説

世界的に“脱・使い捨てプラスチック化”が進む昨今。飲食店を中心に、プラスチックストローを廃止する動きが出ているなか、グラスにも画期的なプロダクトが生まれていました。今回は最前線の現場から、一例をお届けしたいと思います。

 

↑その名は「森のタンブラー」。“世界初”とのことで、茨城県・つくばのビールイベントに取材へ!

 

微細化されたパルプを使った自然にやさしいタンブラー

訪れたのは、10月4日~6日で開催された「つくばクラフトビアフェスト2019」。会場は駅からすぐの「つくばセンター広場」で、「森のタンブラー」は5000個を採用とのこと。実物を見ると、自然に溶け込むデザインが印象的です。

 

↑素材は「高濃度セルロースファイバー成形材料」という樹脂で、質感は滑らか。木に比べ軽くて丈夫、量産や加工がしやすいなどメリットは多岐にわたります

 

「高濃度セルロースファイバー成形材料」は、パナソニックが独自に開発した新開発の樹脂。ナノレベルに微細化されたパルプ成分を55%以上含有しており、昨年8月に発売されたコードレススティック掃除機「MC-SBU820J/MC-SBU620J」でも採用されています。

 

↑「MC-SBU820J」。新素材を採用することで、ハイパワーモーターを格納しながら軽量化を実現しています

 

この素材に着目したのがアサヒビール。屋外イベントや店頭での持ち帰り用ビール類の提供を想定し、今夏からテスト展開をスタート。千葉・小湊鉄道線の人気クルーズトレイン「SATOYAMAトロッコ『涼風ビール列車』」や、Jリーグ・ガンバ大阪の試合でアサヒスーパードライを限定発売し、今回のビールイベントではタンブラーの提供で参加したという流れです。

 

↑カップ成形時の温度条件によって濃淡をつけられるのも特徴

 

会場にはタンブラーの技術者も参加していて、話を聞いてきました。開発秘話を教えてくれたのは、アサヒビールのイノベーション本部、パッケージング技術研究所の小原徹さん。

 

「ともにオリンピック・パラリンピックのパートナー企業であったことが、開発のきっかけです。昨夏、技術者同士の交流会をした際、双方の取り組みを紹介していくなかでタンブラーの発想が挙がりました」(小原さん)

 

↑小原徹さん

 

「つくばクラフトビアフェスト2019」では約1万人の来場を想定。そこで5000個を配布することで、会場で排出されるプラカップごみを最大約2万個削減できる見込みだとか。

 

「ここまでの大規模でやるのは初めてですね。今後、秋以降のいろいろなイベントで採用が決定しています。実用テストも行っており、500回連続で洗浄してもタンブラーの性能は変わらず、弊社運営の飲食店では10か月ほぼ毎日連続使用しても問題ありません。一般採用はこれからですが、来年はさらに広げていきたいと考えています」(小原さん)

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