提供:日本スポーツ振興センター
インターネットから気軽に購入できる「スポーツくじ」。サッカー・バスケットボールファンにはすでにお馴染みの存在ですが、その収益が日本のスポーツ振興を支える巨大な財源になっていることは意外と知られていません。ファンが投じる“1口”は、どのようなプロセスを経て、次世代のアスリートの育成や地域のスポーツ活動などを支える助成へと姿を変えるのか? その裏側を探るべく、スポーツ振興くじ事業の担当者にインタビューを敢行。筆者による購入体験レポートとともに、スポーツを愛するすべての人に知ってほしい「助成の仕組み」を紐解きます。

“推しチーム”の勝利を願って「WINNER」購入
昔からなにかと縁がある川崎エリアを拠点にするチームということで、私が応援しているのがJリーグ・川崎フロンターレと、B.LEAGUE・川崎ブレイブサンダース。いわゆる“推し活”の一環として、スタジアムやアリーナを訪れる際は必ずスポーツくじ「WINNER」を購入するのが私のルーティンです。

複数の試合ではなく、自分が好きな試合のみを予想できるスタイルの「WINNER」は、サポーターにとってある意味“願掛け”みたいなもの。もちろん、この日もフロンターレの勝利を願って1口200円を3口購入しました!
現在は購入までのプロセスが驚くほどスマート! 移動中や観戦前の食事の時間に、手元のスマホやタブレットから購入サイトへアクセスするだけで手軽に購入できます。試合直前の高揚感の中でポチッと決済できる手軽さは、現代のサポータースタイルに驚くほどフィットしているように感じます。
1口200円(WINNERの場合)と、缶コーヒー1本程度の金額で、スタジアムで試合を観る熱量を数倍に跳ね上げてくれるこの体験。サポーターにとっては、これ以上ない「推し活」の形といえますよね!
私たちサポーターが、“推し活”の意味もこめて購入しているスポーツくじですが、JリーグやB.LEAGUEの会場、さらには地域のスポーツ大会のパンフレットなどでも、「WINNER」「toto」「BIG」のロゴをよく見かける気がしませんか? 確かに「スポーツくじの収益は、スポーツのために使われています」というフレーズも何度か耳にしましたが、実際にはどのような形で使われているのかまでは考えたことがありませんでした。
知っているようで知らない、スポーツくじの「出口」
自分が投じた1口が、スポーツの未来を支える「支援」へと姿を変える仕組みをもっと知りたい!そんな思いで、今回はスポーツくじの運営・販売を担う日本スポーツ振興センター(JSC)に足を運び、担当者の方から直接お話を伺うことにしました。

JSC担当者に聞いたスポーツ振興くじ助成の仕組み
山下 スポーツファンからも馴染みのある「スポーツくじ」ですが、この事業がどのようにスポーツ界を支えているのか、まずは現在あるくじの種類から詳しく教えてください。
担当者 スポーツくじは、サッカーとバスケットボールの試合を対象としたくじで、試合の結果を予想する「toto」「WINNER」、そしてサッカーの知識がなくても楽しめる予想不要の「BIG」の3つのカテゴリーがあります。
その中で、1等当せん金額が最高6億円(※1)の「BIG」、日本くじ史上最高額の12億円(※2)の「MEGA BIG」、ほぼ毎週誰かに約100万円や約1000万円の1等当せんが発生している「mini BIG」や「BIG1000」、ゴール数を予想する「toto GOAL3」、お好きな1試合の試合結果を予想する「WINNER」など多彩なラインナップを展開しており、お好みに合わせてお楽しみいただけます。

※1…キャリーオーバー発生時。通常は1等最高3億円。特別開催回は除きます。当せん金は、売上金額や当せん口数によって変動します。
※2…日本くじ史上最高額(公営競技を除く)。キャリーオーバー発生時。キャリーオーバーがない場合は、最高7億20円。当せん金は、売上金額や当せん口数によって変動します。
山下 なるほど。今回私はタブレットから購入したのですが、その他にも購入方法はありますか?
担当者 はい、スマホやパソコンなどインターネットのほかに、コンビニや近隣のくじ売り場でもご購入いただけます。一方で、健全な運営を行う上で年齢制限を設けています。19歳未満の方は、購入や譲受けは法律で禁止されており、払戻金を受けとることもできません。
山下 街中でスポーツくじのロゴを見かけることがあり、スポーツくじの収益が日本のスポーツ振興につながっていると伺いました。具体的にどのようなプロセスを経ているのでしょうか?
担当者 スポーツくじは、誰もが身近にスポーツに親しめる環境の整備や、世界の第一線で活躍する選手の育成など、日本のスポーツ環境の整備・充実を図るため、その財源確保を目的として、『スポーツ振興投票の実施等に関する法律』により導入されました。2001年3月に「toto」の販売が始まり、おかげさまで今年の3月には25周年を迎えました。
スポーツ振興くじ事業には国費は投入されておらず、くじの売上金により運営・販売を行っています。2002年からこれまでのスポーツ振興くじ助成の累計額は約2884億円(※3)で、日本のスポーツ関係予算を補完する重要な柱となっています。
※3…2025年度は配分額を合算しています。(2025年11月時点)
山下 2800億円超……! すごい規模ですね。近年の売上も好調なのでしょうか?
担当者 ありがたいことに、近年、スポーツくじの売上は好調で、2024年度の売上は約1336億円となり、2年連続で過去最高売上を記録しました。

山下 売上好調の要因はどういった点にあると考えていますか?
担当者 観客動員数の更新が続いているJリーグ、B.LEAGUEをはじめとした日本のスポーツ界の盛り上がりが大きな後押しになっていると考えています。また、我々の取り組みで申しますと、BIG系商品の販売回数を増やしたり、「BIG」の1等当せん金額が最高7億7万7千円となる特別開催回を、毎月7日を含む週に実施したり、TVCMやWeb広告などで商品を認知いただくことが売上向上に繋がっていると考えています。
サポーターの1口がスポーツの未来につながる
山下 スポーツの盛り上がりとともに売上が伸び、スポーツ振興につながるのは、我々スポーツファンからしても喜ばしいことですね!
担当者 ありがとうございます。売上がどのようにスポーツ振興の財源となるのかについてお話をしますと、スポーツくじの売上金から、当せん払戻金や経費などを差し引いて残った収益の2/3がスポーツ振興くじ助成の財源となり、地方公共団体及びスポーツ団体の各事業に助成されます。

山下 なるほど。では、街で見かけるスポーツくじのロゴは、助成金を活用して実施されている事業ということなんですね。
担当者 そのとおりです。皆様に購入いただいたスポーツくじ1口の100円~300円の一部が、日本の多くの場所で、スポーツの振興のために役立てられています。また、2022年から登場した「WINNER」は、売上の一部がJリーグ・B.LEAGUEを通じてクラブ強化などに充てられる仕組みがあり、「WINNER」を購入いただくことがクラブの応援に繋がります。
山下 それはすごい! 例えば、先日私は川崎フロンターレのくじを購入したのですが、この売上の一部がフロンターレに直接還元される仕組みもあるのですか?
担当者 いまお話ししたリーグを通じたクラブ支援とは別に、JリーグとB.LEAGUEの各クラブの特設サイトからWINNERを購入いただくと、そのクラブに売上の一部が直接還元されます。
【公式】Jリーグ×スポーツくじWINNER 好きなクラブを応援しよう!
【公式】スポーツくじ『WINNER』でB.LEAGUEの応援をもっと熱く、楽しく!
山下 それは、サポーターにとってもうれしいです! ますます“推し活”が捗ります(笑)。

助成事業によって行われるスポーツ支援
山下 スポーツ振興くじ助成によって行われるスポーツ支援には、どのようなものがあるのでしょうか。
担当者 スポーツ振興くじ助成は、
・地域スポーツ施設整備助成
・地方公共団体スポーツ活動助成
・スポーツ団体スポーツ活動助成
・国際競技大会開催助成
などの助成メニューがあります。
山下 私たちが身近で感じられる、活用例があれば教えてください。
担当者 たとえば、小学校のグラウンドの芝生化や、体育館、陸上競技場などの施設・設備の整備、総合型地域スポーツクラブの活動、自治体などが行うスポーツフェスタやマラソン大会などのイベントにも活用されています。川崎フロンターレのホームタウンである川崎市の例で言えば、直近では、「かわさき多摩川マラソン」や「2025川崎トランポリンジャパンオープン」などに助成していますね。
一方で、皆様がご存知の大規模な国際大会、たとえば、2025年9月の東京2025世界陸上、同11月の東京2025デフリンピックなどに対しても支援を行っています。
2002年からこれまでに日本全国で3万7200件(※4)の活動や施設に助成しています。
※4…2025年度は配分件数を合算しています。(2025年11月時点)
山下 想像以上に身近なところに助成金が活かされているんですね! くじ助成に対して、アスリートの皆様や自治体・スポーツ団体の方からお声をもらうこともあるんですか?
担当者 はい。たとえば、アスリートの方からは、海外遠征など経済的に負担がかかるなかで、スポーツくじの助成金によって、海外の選手と練習ができたことは大きな経験となったなどの声をいただいております。また、パラアスリートを発掘・育成する事業の担当者からは、運営には費用が必要になるため、スポーツくじの助成金を活用することで、専門コーチを招いて良質なプログラムを提供できているといった声をいただくこともありますね。
その他、小学校に夜間照明を設置したことで「地域のサッカークラブの練習場を確保することができた」「夏は、夜間練習ができることで熱中症対策にもつながった」といった声もいただいております! スポーツ応援サイト「GROWING」では、アスリートのインタビューや、自治体・スポーツ団体の活動の紹介をしていますので、ぜひご覧いただけたらと思います。
山下 売上規模や、各リーグの盛り上がりをみても今後これまで以上にスポーツくじに対する注目度が増していきそうですね!
担当者 そうですね、2025年度も昨年度の売上をさらに上回る見込みで、多くのお客様に支えられていることを実感しています。これからも皆様に楽しんでいただける魅力ある商品をご提供し、また、スポーツくじの収益が、日本のスポーツの振興、健康増進、地域の活性化を支える助成金として広く活用されていることを知っていただけるよう、取り組んでいきたいと考えています!

ファンの“推し活”が日本スポーツ界の未来を作る!

大規模な大会が行われるようなシンボリックな施設、子どもたちが駆け回る近所の小学校の芝生、そして世界に挑むアスリートの遠征費に至るまで……。今回のインタビューでは、私たちが何気なく楽しんでいた1口のスポーツくじが、想像以上に日本のスポーツ界を支えていることがわかりました。
特に印象的だったのは、自分の“推しクラブ”を直接支援できる「WINNER」のように、「くじを買うこと=ファンとしての直接的な応援」になるという新しい形です。1口100円からという手軽なアクションが、地域を活気づけ、次世代のスターを育て、私たちの健康を守る環境整備に繋がっていく。ファンが投じる“熱のこもった支援”が、日本スポーツ界の隠れたエンジンになっているのだと改めて実感しました。
スポーツくじの仕組みを知ったいま、くじを購入するという何気ない行動が応援するチームだけでなく、日本スポーツ界の助けになると思うと、なんだか誇らしく感じられると同時に“推し活”にもより力が入りそうです。記念すべき25周年、そしてその先の未来へ。私自身もひとりのスポーツファンとして、これからもスポーツくじを通じて、日本のスポーツ文化の発展を全力で応援していきたいと思います!
撮影/中田 悟