本人に訊け〜明日からモノ選びや暮らし方が変わるかも。
多様な働き方が広がる令和の時代でも、自分らしく働く人はひと握り。そんな昭和体質な組織で悩むビジネスパーソンへ処方されるのが、新刊『組織で自分らしく成果を上げる25のトレーニング ネコトレ』だ。果たして「ネコトレ」とは? その効能とはいったい? 訊き手は、著者が籍を置く楽天にかつて自らも在籍し旧知の、ブックセラピスト・元木忍さんが務める。

■3冊目
組織で自分らしく成果を上げる25のトレーニング ネコトレ
(仲山進也・著/ワン・パブリッシング・刊 1760円)
■今回の“本”人
仲山考材 代表取締役
楽天グループ 楽天大学学長・仲山進也
創業期の楽天に入社し、出店者の学び合いの場「楽天大学」を設立。25年以上にわたって組織文化やチームづくり、働き方を探求している。「仕事を遊ぼう」がモットー。
組織のイヌがネコ視点を手に入れすこやかに働くための処方箋
―2021年に出版された仲山さんの著書『「組織のネコ」という働き方』(翔泳社)も大好きです。この「組織のネコ」の視点を、本作は引き継いでいるんですね。どういった経緯があったのですか?
「前作を読んだ“ネコの人”たちから『スッキリしました!』『自分がどうして会社で浮いているのかが理解できました!』という反響をもらったんです。ところが、イヌの人からは『イヌがダメで、ネコがいいってことですか?(泣)』という誤解の質問が多かったんです。イヌとネコの相互理解を進めるにはどうしたらよいかと思っていたところへ、タイミングよくゲットナビウェブから連載依頼をいただいて、ネコのことが理解できないイヌを主人公とした物語を書きたいなと。その連載を加筆修正し、書き下ろしを追加して出版となりました」
―ネコとは真逆の「組織のイヌ」に向けて書かれたんですね。主人公の「ポチ川アキ男」くんが、いいキャラクターですよね! 物語になっていて読みやすく、イヌとネコそれぞれの特徴が表現されているところも面白かったです。
「組織のイヌとネコの思考・行動が違う具体例がたくさん出てきますよね。組織のイヌは飼い主(会社や上司)に忠実で、自分の意思よりも社命を優先して行動します。一方、組織のネコは自分の価値基準を優先するため、会社の指示命令をスルーすることも。それぞれ搭載されているOSが違うんです。だから、けっして『ネコが良い』『イヌが悪い』のではありません。すこやかなイヌとネコが良くて、こじらせたイヌとネコが悪いんです」

「ネコトレ」とは……
組織で評価されずに悩む“組織のイヌ”が、一見「自由気ままに」働きながら成果を出している“ネコ”社員の思考・行動パターンを身につけ、“すこやかに働く”コツを掴むための25の実践的なトレーニング。骨の髄まで組織のイヌ気質の主人公が、「ニャンザップ」のニャカ山トレーナーに問題点を炙り出され、解決の糸口=ネコトレを提示されるストーリー仕立てとなっている。
主人公がモヤモヤを感じるシーンは4コママンガによって提起される。サラリーマンあるあるが詰まった展開が読者に自分ごととして捉えさせ、親しみやすいタッチのイラストが理解を促す。
―なるほど、OSですか。そのイヌとネコにも「すこやか」と「こじらせ」があるのも面白い視点だと思いました。イヌとネコがすこやかに働くには、どうしたらよいのでしょう
「お互いを理解して、各々が本来の姿で役割分担をすることです。その点、ベンチャーやスタートアップには、すこやかな人たちが比較的多いような気がします。対してポチ川が働いているのは、事業や組織の賞味期限が切れた “昭和100年型企業”。時代の変化に対応できない社員たちは、次第にこじらせてしまうわけです」
―その「こじらせた」イヌとネコについても教えてください。
「こじらせたイヌは、思考が停止している状態で働いている社員。上司から『やれ』と言われれば何でも従ってしまう者もいます。一方、こじらせたネコはただの不良社員。『この仕事はやりたくありません!』とわがままにふるまうタイプです」
―私も一時、成長期の楽天で働いていたので、共感するところも大いにあったのですが、大企業になる過程でこじらせるイヌやネコが増えるメカニズムは、あらかじめ認識しておかなければいけませんね。ほうっておくと、内容を理解しないまま上司の指示通りに事業計画書を作るようなイヌ、自分には関係ないと仕事をサボるネコが増えていってしまいます。
「そういった彼らがすこやかな状態を取り戻せるのが、ネコトレです。本の中では、すこやかなキャラクターを暖色、こじれたキャラクターを寒色にしているので、色に注目しながら読んでもらうのも一興だと思います(笑)」

―こじらせた組織のイヌのポチ川くんは、最終的にすこやかになれるのか? ネコとどのようにわかりあえるのか? エピローグは連載にはない書き下ろしですから、読者のみなさんにはぜひ書籍で楽しんでいただきたいですね。
「編集担当さんは、エピローグですべての伏線が回収されて感動したと言ってくれました(笑)」
―今回は25個のネコトレが紹介されていますが、難易度はさまざまです。仲山さんが「一番ネコらしい」と思ったのは?
「『自分の名前に“株式会社”をつける』でしょうか。小さな規模でいいので、一気通貫マインドでゼロから一人でやってみる経験をするネコトレです」

―これは、私もすぐ実践したいと思いました。
「元木さんはネコだから実践ハードルが低いですが、イヌの人はほかのネコトレを試したうえでチャレンジするほうがいいと思ったので、後半に出題されています」
―私はネコでしたか(笑)。では組織ですこやかに働くビジネスパーソンが増えていくと、何が起こるんでしょう?
「正解のないカオスな時代には、すこやかな人が面白がりながら圧倒的に成果を出すことが大事だと思っています。焚き火で考えるとこじらせた人は湿った薪です。まずは投入しないで火のそばで乾かせば、じきに乾いて一緒に燃え上がれるようになる、と」
―不良生徒が熱血教師によって更生する感じですね!
「そのためには焚き火の熱を伝えて受け取ってもらうことが必要なので、こじらせている自覚がある人は、だまされたと思ってネコトレをやってみてほしいなと思います」
ナビゲーター
ブックセラピスト・元木 忍
Gakken、楽天ブックス、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て独立、一貫して本の仕事に携わる。東日本大震災で「本が人の心を支える力」を実感して以来、知と感性を軸に、人生に寄り添う一冊を選び続けている。
【『ネコトレ』の連載記事はコチラ】
※「GetNavi」2026年2-3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。
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