【西田宗千佳連載】新車や代車でも自分の乗り味はそのまま? AFEELAの“スマホ化”に必要なこと

ink_pen 2026/2/23
  • X
  • Facebook
  • LINE
【西田宗千佳連載】新車や代車でも自分の乗り味はそのまま? AFEELAの“スマホ化”に必要なこと
西田宗千佳
にしだむねちか
西田宗千佳

モバイル機器、PC、家電などに精通するフリージャーナリスト。取材記事を雑誌や新聞などに寄稿するほか、テレビ番組などの監修も手がける。ツイッターアカウントは@mnishi41。

Vol.158-4

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回は2026年のCESで発表されたソニー・ホンダモビリティが手掛けるEV(電気自動車)「AFEELA(アフィーラ)」の話題。これまでのEVと異なる点と課題は何か。

 

今月の注目アイテム

ソニー・ホンダモビリティ

AFEELA 1(アフィーラ ワン)

8万9900ドル~(約1400万円※)

※1ドル=約154.7円で換算(2026年1月30日現在)

↑2023年のCESで初披露されて以降、毎年改良型のプロトタイプを展示。40基のセンサー搭載により安全運転を支援するほか、ソニーの立体音響技術を生かした、理想の没入空間を実現する。第1弾は2026年内に出荷予定だ。

ソニー・ホンダモビリティが2026年後半に米国西海岸で出荷を予定している「AFEELA 1」は、乗る人に合わせて挙動や内部環境が変わることを1つの特徴としている。シートの位置が自動的に調整されるのはもちろん、走り味なども、乗ったドライバーに合わせたものに変わるという。

こうした要素自体は、高級車を中心に他社も取り組んでいる要素ではある。とはいえ、AFEELAという新しい自動車を作るとき、“乗る人に合わせて変わっていく”ことを徹底するのが自動車としての差別化要因である……と考えていたのは間違いないだろう。ソニー・ホンダはAFEELAを開発する中で“スマホのようなクルマ”と称している。それはアプリが動くという要素だけでなく、スマホが“持ち主に合わせた中身になる”ことを意識した発言でもある。

そのときに大切になるのは、“自動車の走行・駆動情報をクラウドに蓄積して利用する”ことだ。

スマホではアカウントで利用者を区別する。Amazonのようなショッピングサービスでも同様だ。自分がどのようなことをしたのか、どのような使い方を好むかが蓄積され、それに応じた情報をサービスやハードウェアが使うことで、“自分のためのサービス”になっていく。いまのスマホなら、インストールしたアプリの情報やメッセージの履歴などがクラウドに記録されており、新機種に乗り換えたり、故障などでスマホの本体を交換したりした場合などでも、元通りの環境にするのは難しくない。

これが自動車でも起こるわけだ。

新車に乗り換えても、故障で代車が来たときでも、自分の“乗り味”はそのまま引き継がれる。走行時に蓄積されたデータはAIとのコミュニケーションの際に使われ、対応するAIは、新車からも同じように対応する。自動車に乗っていないときに、スマホから自動車に紐づいたAIと対話することもできるだろう。

こうした要素を考えていくと、“ソフトウェアで価値が変わるクルマ”の根幹が“自動車とそれに紐づくユーザーの管理”にあることが見えてくる。

いまも高級車では、自動車のメンテナンスについて、車内に蓄積されたデータなどから“いつディーラーにメンテナンスを依頼すべきか”を判別するようになっている。その流れが、ソフトで変化するEVではさらに加速し、自動車と人の関係を変える要素になっていく。サブスクリプションモデルなどで、購入の際にどうお金を払うのか、という部分への変化にもつながるだろう。

同じようなことはどの自動車メーカーも考えている。そのなかで、ソニー・ホンダは“日本車として、ソフト+クラウド前提の製品を作る”ことありきでスタートする。

その内実がどこまでうまくいっているのか、そして、消費者に対しての価値としてどうわかりやすく反映されているかは、まだまだ未知数な部分が多い。日本では2027年前半の出荷を予定しているが、それまでにどうわかりやすく、既存の自動車との違いを示すかが、同社にとっての大きなテーマになるだろう。


週刊GetNavi、バックナンバーはこちら

Related Articles

関連記事

もっと知りたい!に応える記事
Special Tie-up

注目記事

作り手のモノ語りをGetNavi流で