数年前のことだが、当時発表されたばかりだったフェラーリ 458 スパイダーを、個人オーナー様(大富豪)からお借りするため、都心のタワーマンションへ伺った。
純白の458 スパイダーは、マンションに併設された駐車場に鎮座ましまし、正面にはボディカラーも同じ白の458 スパイダー(某芸能人所有)が止まっているという、目もくらむような状況だったが、当の458 スパイダーは、エンジンがかからなかった。
バッテリーが上がっていたのである。
フェラーリは、458シリーズから、なぜかバッテリーが1週間ちょっとで上がるようになってしまった。盗難防止装置が多大な電力を食っているのが原因だが、滅多に乗らないクルマが1週間でバッテリーが上がってしまっては困る。そこでフェラーリは、バッテリー充電器を付属させた。「常時充電するように」ということである。
が、マンションの駐車場には電源がない。もちろん月極めの青空賃貸駐車場にも電源はないが、都心のタワーマンションですら駐車場に電源がないのだ。
内燃機関のフェラーリがダメなら、EVやPHEVはもっと厳しい
よって最新のフェラーリは、都心のタワマン居住者にとってめんどくさいクルマになってしまった。ちょっと昔のフェラーリならバッテリーキルスイッチがついていたが、現在のフェラーリは、長期間電源を切るとコンピュータの学習機能がリセットされるとかなんとか、とにかく「電源はなるべく切るな」ということになってしまったということもあって。
都心のタワマン駐車場には電源がない。となると、当然EVもPHEVもダメである。
よく、EVの普及が今ひとつ進まないのは、「充電設備が少ないから」と言われるが、いまやそうでもないし、高速道路のSAに設置された充電スポットは大抵空いている。EV利用者は出先ではそれほど充電していない。充電は基本的に自宅でするものなのだ。その自宅の駐車場に電源がなかったらお話しにならない。
PHEVも同様だ。あれこそ出先で充電するものではなく、自宅で充電し、短距離はEV、長距離は内燃機関自動車として走らせるのがコンセプトである。
欧州メーカーは欧州でのCO2排出量規制に適合させるため、このところPHEVの開発に全力を挙げており、日本でも次々と新商品を発表している。フォルクスワーゲン ゴルフGTEやアウディ A3スポーツバック eトロン、ボルボ XC90 T8 ツインエンジンAWDインスペクション(名前が長い!)などなど。ポルシェもパナメーラやカイエンに「SEハイブリッド」を設定している。
が、どれも販売が好調という話は聞かない。正直なところ、「ほとんど売れてない」と言うのが実情だろう。まあプリウスのPHEVもロクに売れておらず、売れているのは三菱のアウトランダーPHEVくらいだ。
ヨーロッパ製の高価なPHEVが売れないのは、ターゲット層が都心のタワマンに住んでいて、充電できないからという事情が少なからずあるのではないだろうか!? 日本でテスラがそれほどブレイクしないのも、やっぱり同じ理由ではなかろうか!!
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