海外で先行発売されていたボーズのメガネ型ウェアラブルデバイス「Bose Frames」が日本上陸を果たしました。ヘッドホン・イヤホンのようでもある“着るスピーカー”の上手な楽しみ方を検証してみたいと思います。
基本はメガネ型のBluetoothスピーカー
Bose Framesはメガネ型のウェアラブルデバイスですが、その用途は映像や情報を「見る」ことではなく、音を「聴く」ことに特化しています。つまりメガネ型のワイヤレススピーカーとして楽しむ製品です。
リムのところにスピーカーなどが内蔵されているため、本体は普通のメガネよりも少し大きめ。でもそのぶん小顔に見えて得する感じもあります。
“着るスピーカー”であるBose Framesのサウンドはかなりしっかりしていると感じました。耳を塞ぐイヤホン・ヘッドホンと違って、いわば「完全にオープンスタイル」なワイヤレスオーディオ機器なので、屋外で使用すると周辺の環境音も普通に聞こえてしまいます。ただ、Bose Framesが鳴らしている音楽も明瞭に聴くことができます。特にボーカルやピアノ、ギターなどメロディラインは輪郭線がボールドで肉付きが良く、明瞭に立って聞こえてきます。BluetoothオーディオのコーデックはSBCとAACに対応しています。
音は周囲にもそこそこの音量で聞こえてしまうため、周囲に人がいる場所で本格的に音楽リスニングを楽しむ用途には不向きかもしれません。自分がある程度心地よく聴けるボリュームに上げた状態で、周りに漏れ聞こえる音は思っていたよりも大きくはなかったものの、静かなオフィスや図書館のような室内、あるいは人との距離が近くなる満員電車やカフェなどの場所では周囲に迷惑をかける心配があります。
もしも屋外で使うのであれば、街を歩く時など移動中であれば周囲の環境音が聞こえてくるメリットが活かせそうです。またあまり積極的におすすめはできませんが、自転車に乗りながらでも、外の音が聞こえてくるので比較的安心して音楽やラジオを聴きながら移動できます。
鼻当ての間隔が少し広いことと、リムがやや重いことから、筆者の場合はBose Framesを身に着けて小走りぐらいまで歩行速度を上げてしまうと、本体が顔からずり落ちてくることがありました。激しく体を動かすスポーツシーンにはあまり向いていないかもしれません。
スマホと組み合わせてスマートスピーカーのように使える
Bose FramesはBluetoothでペアリングしているスマホやタブレット、ゲーム機などの音を聴いたり、本体にマイクも内蔵しているので、スマホと組み合わせる場合はハンズフリー通話にも活用できます。
ペアリングしたスマホの音声アシスタントをBose Framesのボタンから起動して、声で操作することも可能です。iPhone 11 Proとペアリングして使ってみたところ、Siriの反応がとても速く、マイクの認識精度も悪くなかったため、身に着けるタイプのスマートスピーカーとしても戦力になってくれそうです。
スマホとのペアリングにはノイズキャンセリングヘッドホンのQuietComfrot 35-IIと同じ「Bose Connect」アプリを使います。ペアリング完了後にアプリを開くと、バッテリーの残量チェックや音声ガイドの言語変更など簡易なセットアップが行えます。Bose Framesの操作方法や取扱説明書などの役に立つ情報もアプリの中に収録されています。
内蔵バッテリーによる駆動時間はワイヤレス接続の状態で連続して音楽を聴いた場合は約3.5時間です。フル充電にかかる時間が約2時間なので“燃費”はそれほど良くないように思うかもしれませんが、本機はこれでがっつりと音楽を聴き込むためのデバイスではないと筆者は考えています。その前提であれば内蔵バッテリーによる最大12時間の待機時間は十分に実用的であると言えます。
むしろバッテリーの充電に専用のケーブルを必要とした仕様がやや残念です。外出先で本体のバッテリーを汎用性の高いUSB Type-Cケーブルなどをスマホとシェアしながら使えれば、連続音楽再生時間が短めであることについても納得しやすかったと思います。