マンガ
2019/3/6 21:50

元印刷所勤務の漫画家・奈良裕己先生、絶句!! 電子ペーパー「クアデルノ」は書き味「紙ってる」!?

さて、本サイトでもそのスゴさをたびたび記事にしている注目文房具、それが富士通クライアントコンピューティングの電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」です。基本的には、手書きができる電子ペーパーということで、ビジネスでのメモユースや、PDFへの上書き機能などが注目な商品。本商品の企画・開発を担当した富士通クライアントコンピューティングの石塚季さん曰く、「一般的なノート10万冊分の容量。単純計算で約1.5tの重さが、この251gに収まる」ということで、まさに「一生ノート」とも呼べる商品なのですが、本当に驚くのはやはりその「書き味」! これが、まさに「紙ってる!」というレベルなのです!

 

話題の電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」が超安! 無限にメモできる「最強ノート」を今こそ手に!

 

↑QUADERNO(クアデルノ)。男の文房具、という硬派な面構えが凛々しい

 

ということで、いきなりですが、今回は本ウェブでもおなじみの、印刷所悲喜こもごも漫画「今日も下版はできません!」の奈良裕己(BOMANGA)先生を招聘。とはいえ、この「QUADERNO(クアデルノ)」、「絵を描くツール」ではございません。あくまでもメモツールでありスケジュールツールであるのですが、この「紙ライクな書き味」を体験してしまうと、やっぱり気になるプロの漫画家の感想、というわけです。

 

早速、奈良先生に来社いただき、「QUADERNO(クアデルノ)」を体験いただきましたた。

 

「どれどれ…ハウァッッ!!!!!」と絶句

編集部 「奈良先生! こんにちは!  『下版はできません!』、キチンと締め切り守ってから来ていただけてるんでしょうね」

 

奈良「うるさい」

 

編集部 「ところで先生、先生は普段どんなツールで漫画を描いてるんですか?」

 

奈良「普段はワコムの板タブ(※)です。デスクの上において、液晶モニターを見ながら描いてますね」

※:液晶画面を見ながら専用の板の上(タブレット上)で専用のペンを動かすタブレット

 

編集部 「プロっぽい!」

 

奈良「うるさい」

 

編集部 「ラフスケッチなんかもそれで描くんですか?」

 

奈良「いや、ラフはコピー用紙にシャープペンシルで描きますね。それを編集さんに送るときはスキャンして、パソコンからメールで送ってます」

 

編集部 「本番は?」

 

奈良「先ほど言った板タブの上に、A4のコピー用紙を貼って描いていますね」

 

編集部 「紙を貼るんですか!?」

 

奈良「そう。板タブは液晶画面を見ながら描くから、タブレットの上に紙を貼っておいても描けるんですよ。もちろんきちんと反応しますし、何より“紙に描いている”という感触がいいんです」

 

編集部 「へぇ! やはり紙の感触って大事なんですね。では、あの、さっそくなんですけどこの『QUADERNO(クアデルノ)』に、なんか描いてみてください」

 

奈良「どれどれ……ハウァッッ!!!!!

編集部「どうですか!」

 

奈良「なにこれミリペン!」

 

編集部「は!?」

 

奈良「ミリペンみたい! ピグマ(※)だよ! この感触」

※:サクラクレパスの顔料インキを使用したペン

 

編集部「マニアックな表現はやめてください! どうなんですか、感想は!?」

 

奈良「いや、あの……漫画用ツールじゃないから、厳密にはズレも多少あるけど、これ、スゴいよ! 漫画のネーム(簡易的なラフスケッチ)には確実に使えますよ!」

 

編集部「ズレは、初期設定でかなり正確に追い込めます」

 

奈良「キャリブレーション! 僕の右手のクセに合わせてズレを少なくできるんですね……こりゃ……ますます紙に近い感触になりますね」

 

編集部「ネームとかっていつもどこでやってるんですか?」

 

奈良「家でもやりますけど、ファミレスなんかも多いですね。コピー用紙にガンガン描くわけですが、やはり消しゴムのカスが超出て……店員さんがいないときに床に落とすのがうまくなりましたよ! でもこれ……カスが出ないわけですからいいですね」

↑イラストもサササと描ける! 顔の部分だけ「コピペ」できる機能がスゴい

 

↑このイラストを実際に描いている動画

 

「プロット+ネーム」という最強コンボが誕生

編集部「手書きのデータはしかも、描くだけで保存されます」

 

奈良「でも外からデータの取り込みは無理でしょ? ワードとか」

 

編集部「パソコンとつなげば(Wi-Fi、bluetooth、有線で接続)、ワードは自動でPDFに変換して取り込めます」

 

奈良ハウアッッ! そそそそれ最強。僕、漫画を描くときはワードでプロットをまず書いて、その横に絵コンテを描くんです。これまでは、ワードを出力して描いて、失敗したらまた出力してってやってたわけですが……」

 

編集部「エコじゃないですね」

 

奈良「しかも、ということは、スキャン不要じゃないですか! 描いたらワードとプロットが合体されて、PDFとして残るってことですよね?」

 

編集部「そうです」

 

奈良「そしてもう一つ……僕、凄まじいメリットを見つけました……」

 

編集部「何ですか?」

 

奈良「『手汗』の影響を受けない!」

 

編集部「手汗!?」

 

奈良「手汗。僕すごいんですよ、手汗。さっきも板タブの上に紙をおいて描いてるって言ったでしょう。その紙、すぐ手汗でブニョブニョってなるんです」

 

編集部「その都度、また捨てる、と」

 

奈良「いや、乾かして再利用」

 

編集部「急にケチく……エコになりましたね!」

 

奈良「『QUADERNO(クアデルノ)』、手汗防止機能がスゴいなぁ」

 

編集部「勝手に機能名つけないでください」

↑細かい部分は拡大して描いてみた。デジタルならでは!

 

「10万冊」の圧巻ボリューミーにしばし自失

奈良「どのくらいメモできるんですか?」

 

編集部「普通の使い方ならノート10万冊」

 

奈良ゲハァッ! じじじじじ実は僕、毎日ノートとかメモ帳とか紙ツールを4種持ち歩いてるアナログお化けなんです」

 

編集部「重くないですか?」

 

奈良「そのために筋トレしてますから。でもね、手書きって大事なんです。キーボード打っていても、漫画のアイデアは出てこない。『手で描く』って作業がアイデアを生んでくれるんですよ。だから4冊も持ち歩いてるんですが……『QUADERNO(クアデルノ)』なら一冊ですみますね」

 

↑奈良さんのノート4種。毎日携行して筋肉がついた

 

編集部「さっそく漫画でも描いてみてください」

↑4コマを描いている動画早回し。消す作業の簡単さもわかる

 

ということで描いてもらった4コマのラフスケッチが、トップ画像のそれ! 漫画ツールではないため筆圧検知などは難しく、繊細なイラストの描画ができませんが、それでもこのクオリティ。奈良先生曰く「ネタ取材は言うまでもなく、その流れでネームにも絶対使える」とのことです。

 

奈良「いや、これはもう紙ですね。『紙ってる』ってこういうことなんですね。あまりに驚いたんで、印刷会社出身の私としては、『紙』の今後を心配しちゃうほどです。ええ。せっかくだから、『今日も下版はできません! クアデルノVer,』描きましたよ! お楽しみください!」

※これはワコムの板タブで描かれています