ライフスタイル
2023/4/22 20:00

人も家具も日焼けを防ぐ! 実践すべき窓周りの紫外線対策

暖かくなるにつれて気になる紫外線。年間を通して降り注いでいる紫外線は、4月からだんだんと増え始め、5月には真夏並みになると言われています。そんな時期は、戸外だけでなく、屋内にいても紫外線にさらされることに。部屋で無防備に過ごしていると人体へのダメージはもちろん、窓の近くに置かれた家具や床も劣化が進んでしまいます。

 

では、屋内での紫外線対策はどうしたらいいのでしょうか。家で実践可能な紫外線対策について、インテリアコーディネーターの安武ヒロコさんに解説していただきました。

 

家具が色褪せ、フローリングも割れる⁉ インテリアにダメージをもたらす紫外線

紫外線は、過度に浴びてしまうとシミやシワの原因になるだけでなく、白内障や皮膚がんなどの病気につながると言われています。紫外線のダメージを受けるのは、家具や床、壁も同じです。まずは、紫外線がインテリアにどのような影響をもたらすのか教えてもらいました。

 

「紫外線が当たると皮膚の乾燥が進む人間と同じように、家具や床なども乾燥してしまいます。なかでも影響が大きいと言われるのは、木製の家具やフローリング。材質によっては変色したり、色褪せたりとダイレクトに影響を受けてしまいます。フローリングはひどい場合ひび割れを起こす危険性もありますね。 また、革製品にも要注意です。人の肌に近いので、塗装が剥げて、割れてしまうことがよくあります。その他の布やプラスチック素材なども少なからず影響は受けるので、紫外線対策は大切です」(安武ヒロコさん、以下同)

 

窓辺で実践したいおすすめの紫外線対策 6選

紫外線の影響を抑える為には、室内にも対策が必要不可欠。しかし、家にいながら毎日日焼け止めを塗るのは大変ですし、家具の日焼けを防ぐためにと模様替えを行うのも労力がかかります。ましてや、フローリングや壁は動かせません。そこで今回は、「窓辺への対策が一番大きなフィルターになると思います」と語る安武さんに、窓辺にできる紫外線対策を中心にレクチャーしていただきました。

 

1. 厚手のカーテンを遮光タイプにする

「手軽に取り入れられる対策のひとつが、カーテンを遮光タイプにすることです。『遮光1級』『遮光2級』『遮光3級』と等級があり、1級の遮光率は99.99%以上と高い効果が得られます。光を遮り、まぶしさも軽減されるので、それだけで部屋を紫外線から守ってくれるというメリットがあります。

 

ただ、使用すると部屋が暗くなってしまうというのがデメリット。間取りによっては、一部だけ鋭い光が差し込むというお部屋に住んでいる人もいらっしゃると思いますので、日が当たる部分だけ閉めてみるなど、使い方を工夫してみてください」

 

2.UVカット機能のあるレースカーテンに付け替える

「部屋を暗くしたくないという方には『UVカットレースカーテン』をおすすめします。レースカーテンには遮熱や遮像(透けにくい)、花粉対策カーテンなど、さまざまな機能をもつ製品が販売されていますが、その中の一つにUVカット機能を有したものがあります。効果としては70%以上紫外線をカットしてくれる製品が多いですが、最近は90%以上カットしてくれるレースカーテンもあるようです。

 

ただ、あくまでも完全に紫外線を防げるわけではないので要注意。さらに、直接光があたるものなので、カーテン自体の傷みは避けられません。これは遮光カーテンも同様なのですが、どうしても定期的に買い替えが必要ということも覚えておいてくださいね」

 

3. ブラインドを取り付ける

「ブラインドは羽根の角度が変えられるので、自分で明るさが調整できるというのが一番のメリットです。また、お隣が近い方は、光を取り入れながらも視線を遮ることもでき便利だと思います。取り付けが大変というイメージがあると思いますが、最近はカーテンレールに取り付けられるブラインドもあり、カーテンに比べると安価で購入できる場合もあります。木目調のデザインのものが出ているので、北欧風のインテリアが好きという方にも合うと思います。インテリアも楽しみながら紫外線の影響も同時にカバーできるので、おすすめしたいです。

 

ただ、ブラインドは窓との隙間がどうしても空いてしまうので、カーテンに比べると部屋が寒くなってしまいます。ですので、冬場は2列あるカーテンレールの奥にブラインド、手前にカーテンをつけるなど、組み合わせてあげてもいいかもしれません」

 

4. 窓にUVカットフィルムを貼る

「窓に貼るUVカットフィルムも有効な手段です。製品によりますが、90~99%ほどの高いUVカット率を誇り、価格も安価。窓が2枚の一般的な掃き出し窓だと、大体3000円~5000円程で購入できます。失敗しても貼り直しできるものが多く、賃貸でも取り入れやすい対策の一つかと思います。遮光カーテンやUVカットのレースカーテンはどうしてもデザインや種類が限られてくるので、カーテンにはこだわりたいという方にはフィルムのほうがいいかもしれません。

 

デメリットは、貼る作業自体が大変だということ。窓を掃除してフィルムを切って、スキージーで圧着させてと、なかなか一人だと大変な作業です。窓数が多い角部屋や、大きな窓があるという部屋にお住まいの方は、さらに労力が大きいかなと思います」

 

5.ベランダにサンシェードやすだれをかける

「室内のインテリアを変えたくない、という方には外側への対策を考えてみてはいかがでしょうか。たとえば、ベランダにすだれ立てかける、UVカット効果のあるサンシェードやオーニングをとりつけるなどの対策です。こちらもフィルム同様、ブラインドやカーテンで対策したいけどお部屋のインテリアを邪魔したくないという人におすすめです。

 

デメリットとしては、外からの光をしっかり遮ってしまうので部屋が暗くなってしまうということ。また、雨風が強い日に片付けなきゃいけないなど、管理の大変さはあるかもしれません。なかには管理がしやすい突っ張り棒タイプで簡単に設置できるオーニングや、屋外に取り付けるオーダーメイドのロールスクリーンもあるので、気になる方は探してみてくださいね」

 

6.グリーンカーテンにチャレンジしてみる

「昔ながらの方法ではありますが、グリーンカーテンも日差しを和らげてくれる一つの方法ではあると思います。植物は日差しを遮るだけでなく、葉から出る水蒸気が周囲の気温を下げて、部屋の中に涼しい風を呼び込む効果があるそう。暑さが厳しい夏場は快適に過ごせると思います。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務になり、ずっと家にいるという人も増えたと思うので、ベランダで植物の育成を楽しみつつ紫外線を軽減できるグリーンカーテンにチャレンジしてみるのもいいかもしれません」

 

大切な家具の劣化を守るためには日ごろのメンテナンスも大切

窓辺の対策をしっかり行うことはもちろんですが、家具の劣化を防ぐためには定期的な手入れも必要。インテリアコーディネーターとして家具販売の会社で20年以上勤務していたという安武さんに、家具メンテナンスの重要性を聞いてみました。

 

「家具のなかには、部分的に色褪せてしまっても補修できるものもあります。ですが、劣化を防ぐためには普段の手入れが何より大切。人間が化粧水と乳液つけて肌をケアするのと同じ感覚を、家具に対しても持ってあげるといいですね。具体的には、家具用のメンテナンスオイルやワックスを塗る、革製品にはクリーナーで保湿するといった方法です。そうした日ごろのケアをしていれば、よっぽど強い日差しを長時間受けない限り、傷みにくくなるはずです。

 

メンテナンス用のオイルやワックスはホームセンターでも取り扱っていますが、本当にその家具に合うケア用品なのかは意外とわからないと思います。ですので、家具の専門店、できれば購入したお店に聞くのがベスト。傷み始めてから悩むのではなく、傷む前に定期的な手入れを心掛けてみてほしいです」

 

紫外線対策もしっかり! 窓辺の “垢ぬけ” インテリアをつくるコツ

紫外線対策をしながらも、おしゃれなインテリアを目指したい。そう考えている人も多いはず。最後に、窓辺を垢ぬけたインテリアにするコツを伺いました。

↑安武さん宅の窓辺インテリア。紫外線対策にも効果のあるウッドブラインドを取り入れ、サイドボードには大きさのある小物を大胆に配置。すっきりとした印象で、部屋が広く感じられるそうです。

 

「紫外線対策としては、明るさを調整できるウッドブラインドを設置し、その手前にカーテンを取り付けました。

 

サイドボードには枝物や生花を飾っています。植物は日差しを受けてどんどん育ってくれるので、窓際に飾るにはうってつけ。観葉植物を飾る場合は、買ってきた植物をそのまま飾るのではなく、お気に入りのプランターを見つけて移し替えてみるだけでも、だいぶ見え方は変わってくると思います。

 

私の家は隣に手入れの行き届いた空き地があり、キレイな景色が広がっているので、その景色を活かすためにも、窓際のサイドボードにはあまりモノを置かないようにしています。こういったスペースって、皆さんいろいろなものを置いてしまいがちなのですが、アイテムを絞るとそのアイテムをより印象的に見せることができるんです。目安としては、3分の1~半分ぐらいは余白をつくることを意識してみると、垢ぬけたインテリアになるとおもいますよ」

 

日光はインテリアにも人にも重要! 上手に取り入れて快適な部屋づくりを

「日光に当たらないと免疫力が低下したり、メンタルが不調になったりと、人間にとって日差しはとても大事なもの。それは、インテリアの視点から見ても同じです。

 

北欧インテリアが好きな方が多いと思うのですが、北欧は日照時間が短い季節もあるため、その分、家の中を居心地のよいものにしようとする文化があります。このように自分の体内時計を整える、豊かな気持ちになって生活するという視点で考えると、インテリアにおいて日光の果たす役割は大きいと感じています。

 

さらに部屋の日当たりが悪いと、湿気やカビが発生して部屋が傷んでしまうということも……。紫外線対策はもちろん重要なのですが、逆に室内に日光が入らないというのもさまざまな問題を引き起こしてしまうんです。

 

つまり、快適な空間で自分自身が健康に過ごす為には、日光と上手く付き合っていくことが大切。日差しが強い季節は紫外線を意識しながら、インテリアを楽しんでみてくださいね」

 

プロフィール

インテリアコーディネーター / 安武ヒロコ

福岡県在住。インテリアコーディネーター・家具アドバイザーとして約20年間家具販売店・量販店に勤務。現在はその経験を活かして、生活の質が上がるインテリアのコツをSNSで発信しつつ、オンラインで家具の配置やレイアウト等のアドバイスを実施。「快適な空間づくりで暮らしを豊かに、家庭に笑顔をふやす」をテーマに活動している。
Instagram
ブログ

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」