【モビリティショーレポート】新ブランド「センチュリー」や日産「エルグランド」登場など、注目出展が目白押し!

ink_pen 2025/11/7
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【モビリティショーレポート】新ブランド「センチュリー」や日産「エルグランド」登場など、注目出展が目白押し!
会田 肇
あいだはじめ
会田 肇

カーライフアドバイザー。カーナビやドライブレコーダーなど身近な車載ITグッズのレポートを行う他、最近はその発展系であるインフォテイメント系の執筆も増えている。海外で開かれるモーターショーや家電ショーにも足を運び、グローバルな視点でのレポートに役立てている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

2年に一度開催される国内最大の自動車ショー「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」(開催期間:10月30日~11月9日)が東京ビッグサイトで開催中です。

日本の自動車メーカーすべてが出展したほか、前回に引き続き中国・BYDが出展。さらに、メルセデスベンツやBMW/MINIが出展を復活させ、韓国・ヒョンデ/キアが初出展するなど、多くの新型車が披露されました。今回はそのなかから、南館と西館に出展したトヨタグループと日産、三菱から注目の出展をピックアップします。

↑連日、大勢の人がジャパンモビリティショー2025のために東京ビッグサイトへ押し寄せた。

【トヨタ】あらたに独立ブランドとして「センチュリー」が誕生

トヨタグループは南館1-2ホールをすべて使って、新ブランド「センチュリー」に加え、「トヨタ」「レクサス」「ダイハツ」の4ブランドを出展しました。入口から最も遠い南館という立地にもかかわらず、連日多くの入場者数を集めたのは「さすが!」というほかありません。

↑新たに立ち上げた「センチュリー」ブランドでは「クーペ」を世界初公開した。

そのなかで、入場制限や整列入場の措置がとられるほどの人気を集めたのが「センチュリー」です。センチュリーといえばフォーマルな4ドアセダンというイメージが強いのですが、ここに登場したのは、なんと全長5mのクロスオーバー型クーペ。

クーペとはいえ、センチュリーの伝統は継承されています。手彫りの鳳凰をフロントグリルの中心に据え、室内は西陣織や輪島の漆塗り、山形・天童木工の本木目をあしらうなど、まさに日本の誇りを体現するにふさわしい造りとなっていたのです。まさに“ネクスト・センチュリー”に込められた思いがこの一台に凝縮されていたといっていいでしょう。

↑3人乗車のデザインとすることで、後席は左右独立で、航空機のファーストクラスをイメージ。
↑後ろがガラスではなく覆われたままとなっているが、これが市販されるときもそのままなのかは不明。

【トヨタ】近未来のVIPカーを想定した次世代レクサスは6輪車で登場

“奇想天外”。そんな表現がぴったりなスタイルで登場したのがレクサス「LSコンセプト」です。これまでLSといえば4ドアセダンでしたが、最近はミニバンがVIPカーとして利用されることも増えました。そこで、次世代のLSはセダンからミニバンへと変貌を遂げることを目指すというわけです。

↑レクサス「LSコンセプト」。「誰の真似もせず、自信にあふれること」をコンセプトに開発された。

最大の特徴は後ろ4輪を小径タイヤとした6輪車としていること。その目的は車体後方の空間を最大限に広げることにあり、これにより、セカンドシートを回転させることでゆったりとした対座レイアウトを可能としたのです。

さらに、後輪を小径化したことでタイヤハウスの張り出しがなくなっているのもポイント。セカンドシートを倒したり、わざわざセンターまで行くことなく、そのままドア入口からサードシートへ乗り込めるのです。

インテリアは「和」の意匠にこだわった、上品さと華やかさが共存するデザイン。ラグジュアリーカーとしての品格をさらに極めたといっていいでしょう。

↑大径タイヤの前輪と小径タイヤを4つ組み合わせたのは、車室内の広さを最大限にするため。
↑ドアを開けてサードシートへそのまま乗り込めるのも、後輪を小径としてことで実現できた。

【トヨタ】誕生60周年を迎える次世代「カローラ」はまるでスポーツカー?

次世代のトヨタ「カローラ」のコンセプトカーにも注目が集まりました。カローラは2026年に誕生60周年を迎えますが、それに合わせて大胆な変身を目指したのがこのコンセプトカーなのです。

↑誰もが「これがカローラ?」と思ったに違いない次世代「カローラ」のコンセプトモデル。人物はトヨタの佐藤恒治社長。

そのデザインは、短いノーズと低く幅広なデザインを組み合わせ、まるでスポーツカーそのもの。これまでのカローラとは思えないほどの大胆さが伝わってきます。すべてのカローラがこのデザインになるとは思えませんが、次世代カローラには大変革が期待できそうです。

また、近日中に発売が予定されている新型「RAV4」の展示もありました。

↑カローラとしては異例なまでのワイド&ローのデザインながら、十分な車内の広さを確保しているのがわかる。
↑間もなく登場が予定されている新型「RAV4」も出展。写真はGR仕様。

【ダイハツ】軽規格「コペン」はFR方式を採用。愛らしい「ミゼットX」も人気

ダイハツの展示で注目度ナンバーワンだったのが、次世代「コペン」です。2年前の「JMS 2023」では1.3Lの登録車規格で参考出品されましたが、そのときに「コペンは軽自動車でなきゃ」との声が多かったことを踏まえ、再び軽規格に戻されたようです。

↑販売が終了する現行「コペン」の後継車と推定される「K-OPEN」。駆動方式はFRが採用されている。

しかも驚きは駆動方式で、なんとエンジンを前に搭載して後輪駆動する「FR方式」を採用しています。FR方式はスポーツカーの定番とも言える駆動方式。パワーが小さい軽自動車では車重が増えるため採用されてきませんでしたが、どこまでその能力を発揮できるかが楽しみです。

↑「K-OPEN」の車内。ルーフはこれまでは収納式ハードトップだったが、それが採用されるかは不明。
↑写真は「K-OPEN」のランニングモデル。エンジンをスラントさせて収納することで徹底した低重心化を図っている。

そのほか、BEV(電気自動車)となった「ミゼットX」にも注目が集まっていました。ミゼットといえば1957年に登場したオート三輪トラック、さらに1996年には4輪軽自動車「ミゼットⅡ」で知られますが、それを現代風にBEVとして再登場させたのがこのクルマです。

初代のコンセプトを踏襲し、“原付以上軽自動車未満”で小口配送の利便性を最重要視した造りとなっています。運転席を中央に備え、リア左右には子供用ジュニアシートを2脚装着した、“ママチャリ”的なシート配列も気になるポイントといえるでしょう。

↑愛らしいデザインの「ミゼットX」。小口配送に対応した“原付以上軽自動車未満”のBEVとした。
↑運転席は車体中央にレイアウトされ、その左右後方にチャイルドシートを備えた“ママチャリ”的な使い方を想定。

【日産】待望の高級ミニバン「エルグランド」、大型SUV「パトロール」発売へ

西館1-2では「日産」「三菱」に加え、ドイツ「BMW」「MINI」が出展。そのほか、IT企業である「SCSK」がSDVを主力としたEVを披露しました。

日産で一番の注目は、なんといっても同社最上位ミニバン「エルグランド」のプロトタイプの登場でしょう。現行エルグランドは2010年に登場していますから、実に15年の時を経て次世代エルグランドが披露されたことになります。

↑2026年夏までに発売される「エルグランド」。日本の伝統木工技術である「組子」をモチーフとしたフロントグリルが印象的。

デザインは“威風堂々”がテーマ。日本の伝統木工技術である「組子」をモチーフとしたフロントグリルが特徴で、そこに2段重ねのヘッドランプを組み合わせるなど、伝統を重んじつつ先進性をアピールしています。サイドパネルでは、大きな面構成とリアの緻密なディティールのコントラストが堂々とした高級感を否応なく伝えてきます。

最大の特徴は、第3世代のe-POWERにe-4ORCEおよびインテリジェントダイナミックサスペンションを世界で初めて組み合わせたこと。これにより後席での快適性はもちろんのこと、運転する楽しさを実感させてくれることが期待されます。

インテリアは、プライベートジェットをイメージした室内空間を再現し、国内モデル初となる14.3インチ大画面統合型インターフェースディスプレイを採用。セカンドシートには格納式アームレストを装備するなど、プレミアムミニバンにふさわしい上質な空間を実現しています。発売は2026年夏頃。ミニバンの王者であるトヨタ「アルファード」との対峙が楽しみです。

↑張りのあるサイドパネルが高級感をアピール。トヨタ「アルファード」との対峙が楽しみだ。
↑ダッシュボードには国内モデル初となる14.3インチ大画面統合型インターフェースディスプレイを採用。
↑広い室内空港間が確保され、大型シートによるゆったりとした乗り心地が期待できそうだ。

日産のもうひとつの大きな話題は、北米や中東地域向けに発表されていた大型SUV「パトロール」が2027年度前半に日本へ導入されることです。パワフルなV6ツインターボエンジンを搭載し、最新のインフォテイメントシステムとプレミアムなインテリアの組み合わせが特徴。ボディサイズは全長5350×全幅2030×全高1955mmという巨大さで、日本の道路では間違いなくその存在感を発揮することでしょう。

↑2027年度前半に日本へ導入される大型SUV「パトロール」。パワーユニットはV6ツインターボエンジンを搭載。

そのほか、中国市場で展開するBEVセダン「N7」や、ルノー5をベースとしたBEV「マイクラ」も出展されましたが、この2台は日本で導入する予定はないとのことでした。

↑中国で大人気となっているBEVセダン日産「N7」。
↑ルノー・5の兄弟車として登場した日産 「マイクラ」。以前のマーチのイメージはまったく感じられない。

【三菱】AI技術や最新PHEVによる次世代SUV「ELEVANCE Concept」を披露

続いては三菱自動車です。メインステージで世界で初めて披露されたのは、電動クロスオーバーSUVのコンセプトカー「MITSUBISHI ELEVANCE Concept(ミツビシ エレバンス コンセプト)」。

↑三菱の電動クロスオーバーSUVのコンセプトカー「MITSUBISHI ELEVANCE Concept」。

最大のポイントとしているのが、AI(人工知能)を活用した「AI Co-Driver」の搭載です。ドライバーのライフスタイルや価値観をパーソナライズ化し、それに基づいた行き先をAIが提案するというもので、それによってドライバーの行動範囲や体験機会を広げるきっかけにつながることを想定しています。

シートレイアウトは3列6人乗りを採用。牽引するトレーラーにはキッチンやシャワーブースを備え、PHEVシステムからの給電を受けることで、グランピングのように車中泊を楽しむことも想定しているそうです。

パワートレーンには、高効率ガソリンエンジンと大容量の駆動用バッテリーを搭載したPHEVシステムを採用。ガソリンエンジンはカーボンニュートラル燃料に対応し、これによって日常のほとんどは電気自動車として静かでクリーンな走行を可能にし、遠出する際はハイブリッド走行によってバッテリー残量を気にせず快適な移動ができるというわけです。

駆動方式には、クアッドモーター4WD式の独自の四輪制御技術「S-AWC(Super-All Wheel Control)」を採用。フロントにはインホイールモーターを、リアには高い駆動力を誇るデュアルモーターAYC(Active Yaw Control)を組み合わせ、悪路での高い走破性と安定した車体制御を実現しているということでした。

↑シートレイアウトは3列6人乗りを想定したPHEVとなっている。
↑ 「ELEVANCE Concept」が最大のポイントとしているのが、AI(人工知能)を活用した「AI Co-Driver」の搭載だ。

【BMW】1960年代のノイエ・クラッセをモチーフとした「iX3」をアジア初披露

ドイツのBMWは、次世代BMWの象徴とも言える「ノイエ・クラッセ」シリーズの第一弾「iX3」をアジア地区で初公開しました。

iX3は、9月にドイツ・ミュンヘンで開催されたIAAモビリティ2025で世界初公開されたばかり。そのSUVが早くも日本で披露されたのです。フロント中央の縦型キドニーグリルは1960年代のノイエ・クラッセをモチーフにしたもので、4輪を強調するボクシーなシルエットとともに力強さと近未来的なスタイリングが新世代のBMWとしての存在をアピールしています。

↑「ノイエ・クラッセ」シリーズの第一弾BMW「iX3」。2026年夏に日本で発売される予定。

インテリアには、デジタル機能と物理的エレメントをバランスよくレイアウトした「BMWパノラミックiDrive」を新採用。

パワートレーンはノイエ・クラッセのために新開発された第6世代「BMW eドライブ・テクノロジー」で、円筒形バッテリーセルを用いた108kWhの高電圧バッテリーと、前後アクセルに配置された2基の電動モーターにより、最高出力470ps/最大トルク645Nmを発揮します。なお、0→100km/h加速は4.9秒、航続距離は最長800kmと発表されました。日本での発売は2026年夏を予定しています。

↑パワートレーンは前後アクセルに配置された2基の電動モーターを採用する第6世代「BMW eドライブ・テクノロジー」を採用。

【SCSK】ソフトウェア企業がEV開発に参入

大手IT企業のSCSKが出展したのは、ソフトウェア起点で開発されたEVです。自動車業界がSDVへと大きくシフトする中で、IT企業であるSCSKが自社のSDV開発力を示すために生み出されました。

同社はこの開発にあたり、従来の垂直統合開発とは一線を画す海外パートナーとの水平分業によるエコシステムを構築したとのこと。これにより、通常は企画から製品化まで数年かかるところを、約9か月間で終えることができたそうです。

出展車両にはSCSKが海外サプライヤーと共同開発した8K画質の44.6インチ「ピラーtoピラーディスプレイ」を採用したインフォテイメントシステムを搭載。ユーザーの好みに応じたコックピット空間、パーソナライズ化されたAIエージェントサービスの提供を可能としました。

もちろんOTAによるアップデートにも対応し、今後は駆動系を含むさまざまな機能に向けた開発にトライしていくということでした。

↑IT企業が海外パートナーとの水平分業によるエコシステムを構築したことで、9か月でBEVを完成させた。
↑SCSKが開発したBEVには、8K画質の44.6インチ「ピラーtoピラーディスプレイ」を採用したインフォテイメントシステムを搭載。

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

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