東京ビッグサイトで開催された自転車総合イベント「サイクルモード」で、ひときわ目を引いたのが「5LINKS2.5 165e」です。一見するとコンパクトな折りたたみ自転車ですが、一般的な折りたたみ自転車とは大きく異なる構造を採用しています。
その最大の特徴が、フレームを折らずに車体をコンパクトにできる独自の折りたたみ機構「Sliding Head System(SHS)」。さらに、Honda(ホンダ)の後付け型電動アシストシステム「SmaChari(スマチャリ)」を組み合わせ、5LINKSシリーズとして初めて電動アシストにも対応しました。
今回は5LINKS代表の五百住(いおずみ)さんに、独自の折りたたみ機構が生まれた背景や、SmaChariを搭載した理由について話を聞きました。
2004年に始まった「フレームを折らない」折りたたみ自転車の構想
5LINKSの開発構想が始まったのは2004年ごろ。当時から一般的な折りたたみ自転車に対して「なぜフレームを横に折る必要があるのか」といった疑問を持ち、従来とは異なる折りたたみ自転車を模索していたといいます。
そこで生まれたのが、現在の5LINKSにつながる独自の折りたたみ機構です。初代「5LINKS-1」は2008年末から2009年ごろに販売を開始。現在のモデルにつながる車体は2014年から2015年ごろに登場し、改良を重ねながら販売されています。
当時、日本国内には自転車を量産する製造ラインがほとんどなく、5LINKSも台湾や中国の工場にCADデータを持ち込み、OEMで生産する方法を選択したそうです。

フレームを折らず変形させる独自機構「Sliding Head System(SHS)」とは?
5LINKSが一般的な折りたたみ自転車と大きく異なるのが、車体中央のフレームを折らないこと。
一般的な折りたたみ自転車において、車体を左右に折りたたむ構造が多く採用されているのは周知の通りです。一方、5LINKSはヘッド部分を動かすことで車体全体を縦型に変形させるSliding Head System(SHS)を採用しています。
この機構の開発で重要な役割を果たしているのが、ヘッド部分です。ハンドルポストを一般的な自転車のようにヘッドチューブの延長線上に配置するのではなく、前方に配置することで独自のリンク機構を成立させています。
五百住さんによると、SHSの部分については2008年に共同開発者らと特許を出願し、中国や台湾でも特許を取得したとのこと。一方、国際的な権利については、更新料などの事情から現在は継続していないそうです。


単純に収納サイズを小さくするだけではなく、折りたたんだ状態で車体を転がして移動できることまで考えられているのも5LINKSの特徴です。前後輪を平行にそろえることで、駅構内や施設内など、自転車を持ち上げたくない場面でも取り回しやすくしています。さらに専用の輪行バッグも用意しているので、電車内に持ち込むことも可能です。




5LINKSにHondaのSmaChariを組み合わせた理由
5LINKSでは、Hondaから供給されたユニットを使って車体に組み付け、「5LINKS2.5 165e」の完成車としても販売しています。SmaChari搭載モデルは2026年に登場したもので、2025年12月ごろからHondaからユニットの供給を受け、販売に向けた準備を進めてきたそうです。
近年の電動アシスト自転車では、フレームの設計段階からモーターやバッテリーを組み込んだ専用設計のモデルが主流です。これに対してSmaChariは、すでにある自転車に電動アシスト機能を後付けするという、異なる発想から生まれたシステムです。
後付けを可能にしているのが、ボトムブラケットと交換できる形状のモーターユニット。フレームに大がかりな加工を施すことなく取り付けられる設計で、バッテリーと制御ユニットもドリンクボトルケージなどの留め穴を利用して装着できます。つまり、自転車本来のフレーム設計を大きく変更せずに、電動アシスト機能を追加できるわけです。

ただし、電動アシスト自転車として公道を走るには、道路交通法で定められたアシスト比率などの基準を満たす必要があります。自転車によってギヤ比やタイヤ径が異なるため、単純に同じ制御プログラムを適用するだけでは適切なアシスト制御ができません。
そこでSmaChariでは、自転車固有のギヤ比を自動的に算出する「ギヤ比推定機能」を開発。これによって車種ごとに適切なアシスト制御ができ、型式認定の取得が可能な電動アシストシステムとして実用化されています。
アシストの設定は、パワーレベルとレスポンスレベルをそれぞれ4段階から選択できます。さらに、走行状況に応じてアシストを自動で最適化する「AIモード」も用意されています。設定や各種機能の操作はスマートフォンの専用アプリから行う仕組みです。
アプリには走行ログの記録や位置情報の共有といったコネクテッド機能も搭載されています。また、アカウント認証したスマートフォンからのみ電源をオンにできる仕組みも採用。単にモーターを後付けするだけではなく、スマートフォンと連携することで、電動アシスト自転車としての管理や利便性まで含めて設計されているのがSmaChariの特徴です。



加えて、SmaChariは車体側の仕様変更に対しても監視しています。ギヤ比やタイヤ径などを変更すると、適切なアシスト制御ができなくなるため、SmaChariの機能が停止する仕組みで、仕様変更した際にHondaから仕様変更したかどうかの問い合わせがあったそうです。
電動アシスト自転車のなかには、改造によって本来の基準を超える速度が出る車両が問題になるケースもあります。その点、車体の仕様とアシスト制御を連動させ、仕様変更などを検知すると機能を停止するSmaChariは、適正なアシスト制御を維持するための仕組みといえます。
電動アシストを搭載しても車重15.9kg! 「速く走る」より「持ち運ぶ」ことを重視
5LINKS2.5 165eの車重は15.9kg(スタンド除く)。電動アシスト機能を搭載した折りたたみ自転車としては、持ち運びやすさを意識した重量です。全長は1,300mm、全幅は520mm。折りたたむと幅340mmまでコンパクトになります。変速機にはSHIMANO Inter 5速(内装5段)を採用。価格は297,000円(税込)です。

現在の電動アシスト自転車の市場では、大容量バッテリーや高出力モーターを搭載したスポーティーなモデルも増えています。一方、5LINKS2.5 165eが重視しているのは、「いかに速く走るか」だけではなく「いかに持ち運びやすくするか」ということです。
折りたたみ自転車に電動アシストを組み合わせると、「重くなって持ち運びにくくなるのでは」と考えがちです。実際に電動アシストをオフにしても通常の自転車と同じように走れるため、万が一バッテリーが切れても安心です。
「既存の自転車に電動アシストを追加する」というSmaChariの思想と、「フレームを折らずに車体をコンパクトにまとめる」という5LINKSの思想を組み合わせている点が、このモデルの面白さといえるでしょう。
【5LINKS2.5 165eのスペック】
製品名:5LINKS2.5 165e
価格:297,000円(税込)
重量:15.9kg(スタンド除く)
タイヤ:16×1.5インチ
変速:SHIMANO INTER 5速(内装5段)
全長/全幅:1,300mm/520mm
折りたたみ時:幅340mm
カラー:ブルーメタリック
【公式サイト】
5LINKS