書類や議事録ノートの重要なポイントにラインマーカーを引いて目立たせる、というのはよくやる作業だろう。パッと目に入ってくるので非常に便利なのだが……実はちょっと困ることもあるのだ。
それは、ラインマーカーの色が“紙面において支配的すぎる”ということ。つまり、目立ちすぎ! ってことだ。目立たせようとしているのだからそれでいいのでは? と言われればそれも正しいが、でも、重要なポイントだけが目に入ってもしょうがないのである。
例えば、下の写真のような状況で、ラインを引いた部分に対して「さらに強調して伝えたい情報」と「そこまで目立たなくていいけど見ては欲しい補足」を追記したいとしよう。それぞれを黒のボールペンで書いて、果たして満足のいく結果が得られるだろうかというと、それは難しい。なにしろ、ライン引いたところだけに目が走ってしまうから。
目立ちすぎるというのは、そういうことなのだ。ラインマーカーは道具としてとても強力だが、ホイホイ引いていると、逆に情報の伝達を阻害してしまう可能性もあるのだ。
とは言っても、ラインが目立つのはもう仕方ない。それなら、情報を追記しやすい工夫がなされた最新のマーカーを使ってみるのはどうだろうか?
“めだたせカラー+メモ用ペン”で情報はすっきり整う!
以前この連載で、特殊な2色チップで濃淡のラインを使い分けられる、コクヨ「マークタス」というマーカーを取り上げたことがある。
濃淡の組み合わせがキモ!コクヨ「マークタス」のチカチカしないマーカーは集中力まで高める!?
https://getnavi.jp/stationery/470173/
今回紹介するのは、その新バージョン「2ウェイカラーマーカー<マークタス>」(以下「マークタス2way」)だ。
コクヨ
2ウェイカラーマーカー<マークタス>
左:カラータイプ(めだたせカラー+はっきりメモ)5色
右:グレータイプ(めだたせカラー+ひかえめメモ)5色
各150円(税別)
この「マークタス2way」は、「めだたせカラー+はっきりメモ」タイプと「めだたせカラー+ひかえめメモ」タイプの2種類が、各5色ずつのラインアップ。
2wayの由来は、ラインマーカー(めだたせカラー)と0.3mmの極細サインペン(はっきりメモ/ひかえめメモ)が1本になっているというところから。ラインマーカーが目立たせる用なのは理解できるが、はっきりメモ/ひかえめメモの意味するところとは? いや、実際に書いてみれば、ああ! とすぐに納得できるだろう。
そう、はっきりメモの「カラータイプ」はラインと同系色のより強いカラー、ひかえめメモの「グレータイプ」は、ラインと同系色のグレーカラーで書けるようになっているのだ。
つまり、はっきりメモは、ラインよりもさらにはっきり目立たせたい“超・強調”情報に。ひかえめメモは、本文の黒字よりも薄い色で控えめに伝わる補足情報に最適、というわけ。しかも、それぞれがラインと同系色なので、メモ部分がラインを引いた部分の関連情報であるということが直感的に分かる。つまり、使うだけで自動的に情報が整理された状態になるのだ。
はっきりメモはまさにはっきりクッキリしたインクで、黒字の合間に記入するとかなり目立つ。普通なら薄くて見づらい黄色ですら、きちんと視認して文字が読み取れるし、上からラインを引いてもしっかり視認できる強さなのだ。
もちろん、同色のカラーインクボールペンを使っても同じことはできるが、そこはやはりマーカーと一体化した2way構造なのは強み。携帯も運用も、こちらのほうがラクに決まっている。
筆者が個人的に好きなのは、ひかえめメモ。このカラーグレーは、視認しやすいのに目立ちにくい、本当に絶妙な色なのだ。
意識すれば目に入るけど、あえて意識下から外すと気軽に読み飛ばせる薄さ。かつ、ラインとの連携をうっすら感じさせる程度のグレーな色味。それでいてラインを重ねてもきちんと視認できるので、「普通の補足よりは強めの補足」みたいな使い分けが可能なのも面白い。
ここ数年、ラインマーカー業界は「目立たせる度合いの変化」をいろいろ考えていたように感じる。例えば、ゼブラ「マイルドライナー」は、淡いカラーでほんのり目立たせるもの。先に紹介したコクヨ「マークタス」も、濃淡で目立ちの差をつけるという考え方だ。これらは、目立てば正義! というシンプルな立ち位置を脱却した製品と言えるだろう。
ただ、そうは言っても目立つ度合いが変わるだけで、結局のところラインが紙面の中で支配的という構図は変わらない。
対して「マークタス2way」は、ライン以外の部分にも強弱をつけることで情報を整理する、という発想で作られている。これは明らかに従来のラインマーカーにはなかった考え方だ。ポイントを目立たせるのに加えて、すっきり整理されて理解しやすい紙面を作るためのツール。これは、ラインマーカーのまったく新しいジャンルなんじゃないだろうか。
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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