どうしたって“中高生のノート”というイメージが強いルーズリーフではあるが、紙面の編集(ページの移動)ができるということで、実は社会人が仕事の情報を集約しておくビジネスノートとしてもかなり使い勝手が良い。
そういうことも含めて市場が広がったためか、ここ最近では文房具業界の中でも「ルーズリーフの再評価」が始まっているように思う。

実際、ここ一年間でルーズリーフバインダーの新製品はかなり増えた印象である。しかも、機構を見直すことでバインダー自体の極端な薄型化を果たすなど、さまざまな進化を果たしているのだ。
昔のあの“中高生のノート”というイメージからなかなか抜け出せない大人からすると、最新のルーズリーフには、わりと「へぇーっ」と驚かされることは間違いない。
ルーズリーフバインダーの新体験
ルーズリーフバインダーの古いイメージの一つに、「リングが硬くて開閉しづらい」というものがある。
アラフォーやアラフィフ世代なら、「金属製リング(とじ具)を開くための小さなボタンを爪の色が変わるぐらい強い力でギューッと押し込んだ」というツラい記憶が残っているのではないだろうか。そこまで強烈な勢いで開かなくても…と思うぐらい「バカン!」とリングが開くアレだ。
もちろん現代のルーズリーフは当時よりずっと洗練されているので、軽くスッと開閉できるようになっているのだが、そこをさらに進化させたのが、最新のコクヨ「キャンパス 秒でパッと開けられるルーズリーフバインダー」である。

不思議なリング列
最近のコクヨは、セールスポイントそのまんまの分かりやすい製品名を付けがちだが、これもまさにそういったタイプ。その「秒でパッと開く」が本当なら、「俺たちのあの爪の痛みはなんだったのか?」という話だ。
B5サイズの表紙を開くと、中央に8連・6連・8連と飛び飛びに樹脂リングが並ぶ。B5サイズなら本来は26連のリングなので、ここがまずちょっと不思議な見た目と言える。

リングを開くには、中央の6連リングがポイント。左手でリングを上下に挟みこむように軽くつまんでやるとリング同士の噛み合わせが外れて、上下の8連×2も合わせた全てのリングが連動してパッと開くのである。

指にかかる荷重は樹脂の弾力ぐらいのもので、本当に軽いもの。ほんのちょっとの操作で全てのリングが一気に開くのは、なかなか気持ちが良い。この操作感も含めてまさに「秒でパッと開いた」という印象だ。

驚くほど広く開く
さらに良くできているのが、リングの開口の広さだ。
一般的なルーズリーフバインダーのリングよりもかなり大きく(リング間の幅は約20mm)開くため、リーフ用紙の入れ替えがものすごくやりやすい。これだけ開いてくれたら、「リングが用紙の穴に入り損ねて上手く綴じられない」みたいなミスも減るはずだ。

開くところをよく見ると、リングだけでなく、連動した左右のリング基部ごと傾いて開く構造になっていることが分かる。これによって、リング間距離が通常よりもかなり大きく取れるという仕組みを実現したのだ。


「ただリングを開くためだけに、こんなことをやってるのか!」と驚いてしまうほど、この機構はかなり珍しい。
キャンパスブランドということもあって、基本的には中高生用のバインダーという立ち位置ではあるが、これは普通に社会人ノートとしてもちょっと使いたくなる製品だろう。
大人こそ使いたいミニサイズ
秒でパッと開けられるルーズリーフバインダーと同時に発売されたのが、コクヨ「キャンパス ノートのように使えるバインダー」A6サイズ・A7変形サイズ2種類。
もちろん中高生用の製品としてラインアップされてはいるが、むしろ大人がこれを導入したほうがいろいろと便利に使えそうな気もする。

その理由は、このコンパクトさだ。A6サイズは完全に手帳サイズであり、A7変形に至ってはほぼハンドメモという感じなのである。現時点ではルーズリーフとして市販されていないサイズなので、ある意味ルーズリーフの新ジャンルとも言える。

コンパクトリーフとしてはマルマンに「ミニリーフ」という規格があるが、これは9穴サイズなので、7穴のA7変形のほうが一回り小さい。

情報管理に違いを
それでいて、あくまでもルーズリーフなので、中の用紙の入れ替えは自由だし、記入した用紙をB5やA5といった大きいバインダーに綴じなおすことも可能なのだ。
外出先で取ってきたメモを改めて普段使いのノートに綴じ直してやれば、情報があちこちに分散しないため、検索も簡単。ビジネスノートとしての拡張性がかなり広がるのである。

また、リングが表紙から飛び出している構造なので、バインダー自身の厚みはかなりスリムになっている。

携帯性では文句の付けようがない。また、リングを開くと表紙穴からリングがもう一段飛び出すことで大きく開くことができる点も使いやすい。

紙の入手に苦労する?
一つだけ気になることがある。それは、いまのところA6・A7リーフはコクヨからしか出ていないということだ。そのため、出先で紙が足りなくなったときに気軽にサッと買うのは難しいかもしれない。
とはいえ、すでにLIHIT LAB.の開閉式ツイストリングではA6やA7も人気を集めていること(ただしルーズリーフとは互換性がない)を考慮すると、小型ルーズリーフにも潜在的な需要はかなりありそうだ。
このミニサイズがルーズリーフユーザーの間で広まれば、紙の入手問題はわりと簡単に解決しそうな気もしている。