我が家の近くには大きな文房具店がないため、この連載で紹介する文房具はネット通販で購入することが多い。
結果的に、そういった小さな買い物がほぼ毎日届くため、開梱して中身を確認して、ダンボールなどの梱包材をまとめて捨てて……という作業も日々かなりの量が発生するのである。
その中でも特に面倒くさいのが、貼り付けられた宅配伝票や宛名ラベルの処理だ。
なにせ個人情報丸出しのラベルをそのまま捨てるわけにもいかない。
とはいっても、ダンボールから1つひとつラベルを剥がし、細かく切る(粘着が残っていたり、フィルムシートだったりするとシュレッダーにかけづらい)という作業を荷物の個数分だけ繰り返すのは、地味にストレスである。
そこで、その辺りを少しでもラクにできないかと考えて、シヤチハタの感熱紙専用字消しペン「ラベケシ」と、個人情報保護インク「黒隠くん」を試してみた。

ラベケシ
感熱紙の印字を消す手品
昨今、大手通販会社の宛名ラベルはほとんどが感熱紙になっている。専用の感熱紙に熱を加えて発色させたもので、ラベル表面を爪でシュッと擦ると摩擦熱で色が変わるので判断できるだろう。
この感熱紙のラベル印字を文字通り“消す”ことができるのが、感熱紙専用の字消しペンというわけだ。

新品を使い始めるときは、まずキャップを開けて先端を上向きにし、ペン芯を親指でグッと押し込むようにプッシュし、中の空気を抜く。 続けて今度は下向きにして紙などにペン芯を押し付けて繰り返しプッシュ。だいたい30回ぐらいやると芯が水色にじんわり染まるので、これで準備完了だ。


あとはラベルの消したい部分にペン芯を当ててなぞる。すると、先端から染み出した液体が触れたところから、印字がスーッと消えた!
ちょっとした手品みたいな感じで、これはなかなか楽しい。
印字が消える秘密は…
この液体の成分は明かされていないが、おそらくはアルコール系溶剤と思われる。感熱紙は、中に含まれているロイコ染料(無色)と顕色剤という2つの成分が熱で溶け合うことで黒く発色する仕組みを持つが、アルコールはこの発色したロイコ染料と顕色剤を溶かしてしまう。
その結果、印字された部分が消えてしまうという仕組みだ。
ちなみに消毒用のアルコールスプレーを感熱紙に吹きかけても印字が消せるのだけど、消える速度はラベケシのほうが圧倒的に速く、確実性も高い。

一度消えてしまった印字はもう復活することがないので、これで住所や名前、電話番号といった個人情報の部分をなぞって消してしまえば、もうラベルを細かく切る必要はない。そのまま燃やせるゴミとしてポイ。これでOKだ。


リサイクルの都合上、ラベルはダンボールから剥がす必要があるが(自治体による)、その後の処理だけでもずっとラクになるのは、ありがたいのである。
できれば一気に広範囲が消せるよう、もう少しペン芯が太いとさらに良かったようには思う。
そもそも感熱ラベルじゃないものには効果がなく、最近は耐アルコール性をもった感熱ラベルも存在するので、「これ1本あれば大丈夫!」とは言えない。
それでも手元にあると便利であることは間違いないので、ストック用に追加でもう1本、ネット通販で注文してみた次第だ。
黒隠くん
難敵には“力技”で対抗
その一方、こんな問題が依然として残っている。
カーボンコピーの宅配伝票や、耐アルコール性の感熱ラベルはどうすればいいのか?
そこで、シヤチハタが「じゃあ『ラベケシ』で消せないヤツは、こっちの方法でどうぞ」と提案してきたのが、“黒塗り”である。

ラベケシとほぼ同時期に発売となった個人情報保護インク・黒隠(読み「こくいん」)くんは、ボトルに入った粘性の高い黒インクをラベルの消したい部分に塗りつけ、真っ黒に塗り潰すというもの。
化学反応で印字を消してしまうのに対して、かなりの力技というか、古典的なやり方と言えるだろう。しかし、その分だけ使える範囲は広く、伝票やラベルならなんでも使えるし、体操着や上履きといった布地に書かれた名前も塗り潰すことが可能だ。

使うときは、まずよく振ってから上向きにしてキャップを外し、ボトルを軽く押してインクが広口ノズルから少しだけ盛り上がる程度に出す。
このときインクが出すぎると後から大変なので、むしろ「これで足りるの?」と感じるぐらいにしておくのがポイントだ。
あとはそのままボトルを下向きにして、消したい箇所に直接塗り口を当ててインクを塗り広げていく。

高い隠ぺい力を持つインクの正体
このインクについては、説明書きに「隠ぺい力の高い黒色の顔料系水性インキ」とあるが、塗った感じや乾いた際のマットさから見るに、アクリルガッシュ(顔料成分の比率が高いアクリル絵の具)の1種と推測される。
実際に塗ってみると、確かに下地がまったく透けないレベルで高い隠ぺい力を持っている。
試しに黒の油性マーカーと黒隠くんで塗りつぶしを比較してみると、明確な差が出た(以下の画像を参照)。

ここまでの不透明さであれば、まず個人情報が盗み見られる心配はないはずだ。
しかも一度乾いてしまえば十分に耐水性があるうえ(インクが流れて下の文字が現れる心配はない)、アクリルガッシュの弱点である乾燥後のヒビ割れやインク剥落も発生しなかった。その点で、なかなか優秀だと思う。

ただし、しっかり乾くまでには薄塗りでもそれなりに時間がかかる(数分以上)のは、使う上で難点と言えそうだ。乾く前にラベルに触れると手や衣服を汚すおそれもあるので、十分に注意すべきだろう。

それでもだいたいの個人情報が塗り潰せて、使い方もわりとシンプルとあれば、ラベル廃棄の1つのやり方として覚えておいてもいいかもしれない。

