「AIってなんか胡散臭くない?」――いまだにこう思ってる人、けっこう多いのではないでしょうか。
筆者自身、いつの間にか「おじさん」になり、なかなか新しいものはすんなり受け入れにくくなってきました。「生成AI活用術」みたいな言説を聞くたびに「はいはい、また一過性のブームね」と冷笑気味の態度を取ってしまう。周りが「ChatGPTがすごい」「Claudeで業務が変わった」と盛り上がっていても、内心では「どうせ大したことないだろう」「今さら覚えるのめんどくさい」「結局使いこなせずに終わる未来が見える」と思っている――こんな感じの、いわゆる「AI逆張りおじさん」と化してしまっている人、たぶん日本にそこそこいるはずです。
もちろん、本当はちょっと気になっています。仕事が楽になるなら使いたいし、同僚や部下、子どもが当たり前のようにAIを使っているのを見て、置いていかれる焦りがまったくないとは言えないでしょう。
そんな後ろ向きな人にこそ一読をすすめたいのが、『40代・50代でもよくわかる 宇宙一やさしいAIの教科書』。AI分野で広く活動する著者・小澤建祐(おざけん)さんの解説をベースに、48歳の営業課長・鈴木健一がAIへの不安を抱えながら少しずつ使いこなしていく、というストーリー仕立てのマンガを挟んだ構成になってます。いわば主人公自体が我々と同じ「逆張りおじさん」側なわけです。
ポイント1:AIは「使わなくてもいいけど知っておいた方がいい」
「AIに関して知っておいて損はない」――あなたがAI肯定派であっても否定派であっても、この意見には賛同してもらえるのではないでしょうか。今後ビジネスにおいてAI活用の流れが下火になることはおそらくないですし、たったの1~2年で、世の中のそういう前提を受け入れるしかない状況になりつつあります。ものすごいスピード感です。
だからといって無理に使いこなす必要もないでしょう。ただし、「知らないままでいる」のと「知った上で使わない」のとでは、話がまったく変わってきます。前者は単なる食わず嫌いになってしまいますが、後者は自分の意志による選択ですし、ビジネスの中でAIの会話が出てもある程度付いていくことができます。この「付いていくことができる」というのが重要です。

本書は難しい用語をなるべく控えつつ、AIや生成AIを「料理」や「文房具」、「心がない優秀な新入社員」といった身近な例えで説明してくれます。軽い勉強のつもりでパラパラ読むだけでも、「なんとなくわかった気がする」状態にはなれる。それだけでも、逆張りする側の武装としては役に立つはずです。
ポイント2:もし使いたいなら、使うAIはどれでもいい
本書のメッセージで意外と気が楽になるのが、「AIエージェントはどれを使ってもいい」という一言。
ChatGPTかClaudeか、Copilotか Geminiか、あるいは別のエージェントか。すでに大量の選択肢があり、どれが正解かわからないまま結局手を付けられていない、ここで考えるコストを払いたくない、という人も多そうです。

本書には、それぞれの主要なAIエージェントを「3分で始める」方法が具体的に載っています。つまり、悩む時間より始める時間の方が短い。しかも、メール作成や議事録作成、企画書作成、営業日報、会議アジェンダなど、実際の業務でそのまま使えるプロンプトも豊富に収録されています。読んで終わりではなく、読んだその日から試せるようになっていることで、(読後に)AIを使いたくなったあなたの背中を押してくれるはずです。
ポイント3:リスクについても勉強できる
そして、AI否定派がもっとも気になるであろう「リスク」の話も、本書はちゃんと扱っています。一般的なAI生成物の扱いや情報の使い方に関する懸念は、否定派にとって「正当な言い訳」になっている部分でもあるかもしれません。

こういった懸念自体は決して的外れではないと思うのですが、だからこそ、感覚ではなく知識としてAIの情報を押さえておく価値があるとも言えます。本書を読めば、AIへの距離感が「なんとなく怖い」から「ここは気をつければいい」に変わる。それだけで、今後のAIとの向き合い方が変わってくると思います。
とりあえず「知識の裏付け」があって損なし
自戒を込めて言うのですが、逆張りは恐れの裏返しでもあると思います。あくまでAIを使わないスタンスを取るにしても、とりあえず「知識の裏付け」をつけておくだけで、説得力はまったく変わってくるでしょう。AIを「使う」も「使わない」も、ひとまずこの一冊を読んでから決めても遅くはないはずです。

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