提供:DIY Watch Club
機械式時計といえば、専門職人が熟練の技術とプロ用の工具を使って製作するイメージがあるもの。しかし必要なパーツと工具が揃っていれば、ビギナーでも組み立てられるのです。
そこで時計知識ゼロの編集者が、話題のウォッチキットに初挑戦。パーツのオリジナルデザインから組み立て、そして完成後のMOD(カスタム)まで、“世界にひとつだけの機械式時計づくり”における全過程を、リアルにレポートします。
目次
DIY Watch Clubとは?

「DIY Watch Club(DIYウォッチクラブ)」は、完成品を買うのではなく“自らの手で作る体験を楽しみつつ、オリジナルの機械式時計を手に入れる”という発想から生まれたブランド。
これまでにも各種組み立て腕時計のキットを世界中に販売してきた実績を持ちます。2020年に香港で設立し、アメリカ市場を中心に展開してきました。そして、満を持して本邦上陸を果たしたのが2026年3月。日本での正式販売が開始し、早くも国内のDIYマニアや時計愛好家から注目を集めています。
DIY Watch Club日本公式サイト
https://jp.diywatch.club/
DIYウォッチキットについて

「DIYウォッチキット」は自分の手で本格時計を組み立てるためのセットです。
「DIY」というと簡易的で仕上がりもオモチャみたいなイメージが少なからずあるもの。しかし当ブランドのキットは、大人が日常で使える本格腕時計のクオリティとルックスを備えています。でありながら、組み立てに要する時間は約2時間。
時計づくりのワークショップを主宰していたプロフェッショナルの監修品だけあって、誰もが失敗なくスムーズに組み立てられる、考え抜かれたパッケージとなっています。
まずは自分好みの時計を注文していく

今回、時計づくりに挑戦する人
- 挑戦するのはGetNavi web編集部の鈴木
- 腕時計についての知識はほぼなく、機械式時計を組み立てた経験もなし
- DIYも得意ではなく、「編集部イチ不器用」を自負。なので、細かなパーツを扱う作業にはかなり不安あり
初心者でも、本当に約2時間で機械式腕時計を完成させられるのかを検証していきます。
組立キットを選ぶ

DIYウォッチキットには様々なタイプが揃っています。“モーゼル”は落ち着いたドレスウォッチのシリーズであり、こちらも非常に魅力的。しかし今回は「40mmクリスタルダイヤル ダイバーズウォッチ MODコンボセット」を選択しました。
その理由は、“デザインがカッコ良い!”と直感的に思えたから。自分の周囲にいる時計マニアからも“1950~60年代のダイバーズは男らしくクラシックで重厚”。“服装が颯爽と引き立つ”と聞かされていたので迷わず決定(笑)。
カスタムアプリで刻印デザインを作成する

製品の注文をするうえで、もうひとつ確認しておきたいのが「カスタム刻印サービス」です。
DIY Watch Clubでは、2026年8月28日から自分でデザインした文字やイラスト、ロゴなどを時計のパーツに刻印できるカスタム刻印サービスがスタートします。
対象となるのは、カスタム文字盤とカスタムローターの2種類。今回は、時計内部に組み込む「カスタムローター」を選択し、パーツの取り付けに必要なスクリュードライバーがセットのものを注文。

カスタムローターは、専用のカスタムアプリを使って自分好みのデザインに仕上げられるのが特徴。好きな文字や画像をアップロードし、配置やサイズを調整することができます。
操作感はAdobeのデザインソフトに近く、直感的。スマートフォン上でもデザインができますが、細かい調整などをする観点からパソコンでの操作がおすすめです。

また、20種類以上のフォントも使えるので、日本語に対応しているフォントであれば、ひらがな・カタカナ・漢字も配置することができます。

今回は世界にひとつしかない腕時計を作りたく、GetNavi仕様にしようと思います。GetNaviのロゴに加えて、GetNavi webのQRコードを配置したオリジナルデザインを作成しました。
ローターは機械式時計の内部で動くパーツ。つまり、このあと自分で組み立てる時計の中で、自分で考えたデザインが実際に動くことになります。
このパーツが実際に送られてくることを想像するだけでも、すでに市販の完成品を買うのとは違うワクワクを感じます。製品が届き次第、このオリジナルパーツを組み込んだ「自分だけの一本」を完成させていきます。
自分でデザインしたパーツとDIYキットが到着
カスタムアプリで刻印デザインを完成・注文してから数日後、待ちに待ったDIYウォッチキットとカスタムローターが到着しました。エクスプレス便で頼むと3〜4日で製品が届くようです。
まずはキットを開封


届いたボックスはお洒落なモダンデザイン。すでに高感度なモノを購入した気分が得られます。しかも意外にコンパクトゆえに置き場所に困ることもありません。つまり書斎の脇に置いておいても邪魔にならず、本当に空いた時間に取り組むことが可能です。

ボックスを開けると、各種時計パーツに加え、組み立てに必要な工具一式が現れます。時計専門誌でチラ見したプロツールと同様の道具も多く、気分はちょっとした時計師?
また、普段目にすることのない機械式ムーブメントをダイレクトに目の当たりにすると、これを使って“自分で組み上げるんだ!”という期待と、“本当にできる?”という不安が入り混じります。しかし改めて説明書をおさらいし、懇切な説明動画を視聴すれば、その不安も徐々に薄らぐことに。そして何より“早く始めたい!”と思わせてくれます。


ボックスには自作デザインによるカスタムローターも同梱。これはDIYウォッチクラブのカスタムアプリにて自らデザインしたものであるのは前述のとおり。まずはデザインデータと仕上がりの実物ローターを見比べます。
オーダーしたデザインは細密に彫り込まれており、その仕上がりは想像を超えるもの。リクエストしたQRコードも実際にスマートフォンで読み込みもOK! 時計が完成しこのローターがケース内で回転することを想像するだけで、テンションが爆上がります。
組み立てに挑戦

ケースやベゼル、ベゼルインサートなどパーツ類を改めてチェックすると、どれもホンモノ然としたクオリティ。特にムーブメントの精巧さはメカ素人でも見惚れるほど。
それもそのはず、当キットに含まれるムーブメントは、信頼性の高いセイコー製の自動巻き。本格スペックの腕時計を知識ゼロの自分が組み上げられるのか、心に再び暗雲が…。

そんな心配を吹き飛ばしてくれるのが、関連する組み立て動画の存在。動画内では人物が実際に、同一キットを用い工具の使い方やパーツの詳細な説明をまじえつつ、順を追ってゆっくり解説してくれます。だから、動画の人物と同じように進めていけば、無理なく組み上げられるというワケ。

まずは時計ケースを取り出し、オープナーを用い裏ブタを外します。開閉時にオープナーの爪がズレると裏ブタを傷つけてしまうのでゆっくり確実に。

セット開封時に取り付けられているのは、デフォルトのローター。この時点でオリジナルデザインのカスタムローターに組み替えます。センターのネジをひとつ外すだけで交換は可能。所要時間はほんの2~3分です。

ローターの組み替えが完了するだけで、かなり前進した気分に。しかし、まだまだ実際には幾つかのヤマがあるわけで…(汗)。

ダミーから本式の巻き芯に差し替えたら、次は文字盤の装着。これも2本のネジにて留めるだけなので迷いは生じません。問題はハンド(時・分・秒の針)の取り付け。ムーブメントのセンター軸に時→分→秒の順にはめ込んでいきます。

ただし秒針は少し厄介。と言うのも軸が非常に細いので、そこに針の軸穴を被せるのが少し繊細です。繊細なピンセット捌きを要しますが、同梱のガイドプレートを利用すれば装着もスムーズ。

ここで思い出されるのが、時計専門誌“ウオッチナビ”で働く先輩からのアドバイス。実際に作業してみて確かにそうだと気付いた次第。
- 「分針は時針の回転角度を考慮して取り付ける必要があるから要注意。リューズを回して時針を12時ちょうどの位置に調整し、ピタリ重なるように装着するのがオススメ」
- 「細かい作業をするときは、頭に装着できるルーペも用意しておくと便利」
- 「つまようじがあると、パーツを傷つけないで細かい作業がしやすい」
ハンドの取り付けが完了したら、いよいよ最終工程。いったん、仮組のムーブメントから巻き芯を外し、ケースに収めてから再度、巻き芯をムーブメントに差し込みます。

この作業におけるポイントはムーブメントに備わるロックパーツの解除。所定の強さで押し込まないとロックが緩まず、巻き芯を抜き取れません。リューズを軽く外側に引きつつロックパーツを徐々に押し込むと、ある時点でスッと抜けます。
実は“早く組み立てたい!”と焦るばかり、ロックパーツ解除の工程で少し手間取りました。というのも、ロックパーツの解除に関する動画の視聴を飛ばしていたから(汗)。焦りを抑え、くまなく動画を予習しておくことが肝心と改めて思い知ることに。

回転ベゼルにインサートを貼り付けて時計本体がついに完成。最後にラバーベルトを取り付けます。ベルト取り付け用のバネ棒は、工具を用いず開閉できる仕様なので、取り付け作業は非常に容易。
ついに完成! 早速自分の腕に着けてみる

早速リューズを巻き上げると滑らかに秒針が動き出します。その瞬間に味わえる達成感はやはり特別なもの。
ボックスオープンからここまでの所要時間は約2時間。途中、作業に手間取った部分もありますが、説明動画をしっかり見ていればその時間も確実に短縮可能。しかし苦労があった分、完成した時の感動はひとしおです。やり切った自分を素直に褒めたくなります(笑)。

当初はこの径40mm以外に、大きめの42mmモデルも検討しました。しかし実際に装着すると、自分にはこの40mmがことのほかピッタリ。ダイバーズらしい迫力が十分にありつつ使い勝手も上々。いろいろな装いに合わせることを考えると、このサイズがジャストではないかと感じました。
そして腕に着けながら作業をしていると、徐々に自分のモノであることをしみじみと実感。本格機械式時計を手に入れた喜びに加え、それを自身の手で組み上げたという事実は、なにやらオトコの株を上げたようにも感じるから不思議です(笑)。
時計やメカニズムなどの専門知識がなくとも(もちろん多少のミスはありましたが…)、ほぼ規定時間で仕上げられるところに、改めて「DIYウォッチキット」の計算された完成度を感じることとなりました。
カスタム刻印が生む「自分だけの一本」という満足感

着用テストの後は一旦時計を外し、いま一度全体を見返してみます。なかでも強い印象を覚えるのがオリジナルデザインをあしらったカスタムローターの存在です。
シースルーバックから“自分の痕跡”を随時確認できるのは非常に嬉しいこと。いわゆる高級時計でも、この喜びを感じさせてくれるモノはおそらく一握り。
また、QRコードが彫り込めるということは、任意のWebサイトや名刺、フォトアルバム、メッセージなどにリンク可能ということ。自身へのプレゼントとしてだけでなく、メモリアルなギフトとしても最適なアイテムと言えるのです。
ベゼルやベルトの交換にも挑戦

時計完成の感動がある程度収まったところで、各種付属パーツを使ったカスタムも試します。パーツの付け替えが簡単に楽しめるところも、このセットの大きな魅力。
まずはベゼルの交換から。本セットには2つのベゼルおよびベゼルインサートが同梱されており、気分によって交換可能。ブルーとブラックのインサートは目盛りの刻み方に違いはあるものの、どちらも経過時間を表すダイバーズタイプのもの。

専用の梃棒を使用してベゼルを外し、ブルーインサートのベゼルに交換。ブレスレットも堅牢で重厚なイメージを持つメタルブレスレットへ換装しました。
爪バックル式のラバーベルトとは異なり、メタルブレスレットは着用者の手首周りのサイズにフィットさせるため、事前のコマ調整が欠かせません。本セットにはコマのピン抜き工具も付属しており、数分でコマ調整が可能。今回は自分の手首に合わせ、3つのコマを外しジャストフィットを実現しました。
完成後にも“カスタマイズ”という楽しみがある

DIYウォッチクラブの大きな特色となるのが、オプション設定における「MODパーツ」の豊富なバリエーション。当初のセットを完成させてそれで終わりではなく、セットをベースにいろいろなカスタムまで楽しめてしまいます。
たとえば秒針をビビッドなオレンジ針にチェンジしたり、ベルトをしなやかな装着感のメッシュベルトやミリタリー風のテキスタイルバンドに換装したり。また文字盤も味わい深いビンテージタイプに加えモダンなウェーブデザインなど、「MODパーツ」には個性的なパーツが数多くストックされています。ひとつの時計でいろいろなスタイルが楽しめる。それがこのセットの真骨頂だと感じました。
まとめ

今回の「MODコンボセット」に挑戦する以前は、“機械式時計の組み立てなんてプロだけのもの”と思い込んでいました。しかし考え抜かれたパーツに加え専門工具が揃っていれば、初心者でも完成させられると分かりました。
特に「DIYウォッチクラブ」のセットは、動画を含めた説明メディアが充実しています。スマートフォンなどにて視聴しつつ作業することで、迷うことなく作り上げられるのです。約2時間、自分の手を動かし工具を駆使することで本格的な機械式時計を完成させられる体験は、他のDIY製品とは異なる感動が得られるもの。
また、完成後もただ使い続けるだけでなく、「MODパーツ」への組み替えでカスタマイズする楽しみが味わえるのも実にユニーク。つまり刻印サービスも併せて自己のストーリーを持つパーツを含めつつ、独力にて本格時計を組み上げられるということ。
しかも完成後も「MODパーツ」で随時新たな魅力を加えることまで自由自在です。時計を複数本購入することなく、個性的で多彩な時計ライフをリーズナブルに楽しめる。そんな、他に類を見ない特別なウォッチキットと言えるのです。
40mmクリスタルダイヤル ダイバーズウォッチ MODコンボセット
https://jp.diywatch.club/products/40mm-crystal-dial-diver-watch-diykit-mod-combo-sapphire
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文:鈴木 和成/写真:鈴木 謙介
制作協力:長谷川 剛