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2024/4/28 5:30

上白石萌歌×森田想×加藤拓也監督『滅相も無い』インタビュー 演劇と映像が交差する意欲作の舞台裏を語る

気鋭の劇作家・演出家の加藤拓也さんが監督・脚本を担当するMBS/TBSドラマイズム『滅相も無い』(MBS 毎週火曜 深夜0時59分~、TBS 毎週火曜 深夜1時28分~/配信あり)に出演する上白石萌歌さん、森田想さんと加藤さんにインタビュー。作品の魅力やお互いの印象などを聞きました。

『滅相も無い』左から)森田想、加藤拓也監督、上白石萌歌©「滅相も無い」製作委員会・MBS

 

キャストに上白石さん、森田さんをはじめ、中川大志さん、染谷将太さん、古舘寛治さん、平原テツさん、中嶋朋子さん、窪田正孝さん、堤真一さんが集結した本作は、加藤さんが初めて連続ドラマで全話脚本・監督に挑み、演劇と映像を交差させた完全オリジナルのSFヒューマンドラマ。

 

巨大な“穴”が現れた日本を舞台に、入るか悩む8人の男女がお互いの人生を語り合う。第3回(4月30日放送)は3番目に穴に入る松岡(上白石)、第4回(5月7日放送)は4番目に穴に入る青山(森田)がそれぞれ穴に入る理由を語り出す。

 

◆演じられた役柄について教えてください。

上白石:私は田舎暮らしの松岡という役を演じました。松岡は自分の生き方や、人は生きる上で働くとか、社会に対して自分がどうあるべきかを考えていかなくてはいけない中で、自分自身の心地よいあり方をすごく模索しているような人物です。松岡の最初は結構壮絶なシーンから始まるのですが、そんな極限状態の人物がどうやったら自分としての豊かさみたいなものを求めていけるかを見つけていくような役どころです。

 

森田:私は帰国生の青山役を演じさせていただきました。幼少期をイギリスで過ごし、日本に来て生活したのちに穴に入ることを決意して、今回の別荘での会合に参加するようになります。青山は、内面で考えることが多かった役で、見られ方であったり、生活する上で自分をどのように出していきたいか、でもそれが出せなかったり、自分の言いたいことが言えなかったり、そこの言い方にも悩んだりとか、人との関わり、特に母親との関わりについて悩んだ部分をフィーチャーして描いていただいて。なので会合でもすごくしゃべったりせずに、自分の中で構築した関わり方で人と接していくような役だったかなと思います。

 

◆上白石さんは加藤組に初参加。森田さんは2年ぶりに参加ということですが、本作に参加されていかがでしたか?

上白石:私、たぶん加藤さんが演出されたお芝居を初めて見たのが「誰にも知られず死ぬ朝」という彩の国さいたま芸術劇場で上演されていた舞台で。

 

加藤:2020年のちょうどコロナ前ぐらいの頃ですね。その舞台の千秋楽が終わった次の日に、演劇は全部やめてくださいみたいに言われていた時期でした。

 

上白石:その頃ですか。その時の舞台の見せ方がすごく面白くて、お客さんが舞台を取り囲むという不思議な構図で、余白はあるのですが、すごく隙がない空間で。あんなふうにお芝居を全身に浴びた経験は初めてで、衝撃を受けました。私、日記を書いているのですが、その日記に感想をたっぷりと書いたのを覚えています。いつか自分も何らかの形で加藤さんにお目にかかりたいなと思っていたので、今回お会いできてすごくうれしいです。

 

脚本をもらった時の“これが加藤さんの言葉なのか”という初めての衝撃とずっしり感は忘れられません。今回はオムニバスドラマなので、1人1人の役目とか、どう見せたいかということがあって、その中で自分はどういうことを伝えたいかを本読みのときに確認したりして。でも現場に行ってみないと分からない、どんな映像になるかも分からないという、みんなが分からない状態でクランクインをしたので、初日はビクビクと過ごしていましたし、初めてのことが多く、すごく新鮮で刺激的な日々でした。

 

森田:私もすごく新鮮でしたし、本当に難しいんです。正解を見つけ出そうとするのも野暮に感じますし、どこが良かったと聞くのも、自分で考えるのもすごく野暮。萌歌が拝見した隙がなかったお芝居というのが、本当に加藤さんの作品を象徴していると思っていて。本当に見る側としても、こうして演じる側としても、加藤監督本人がそうさせているわけではないんですけど、勝手に背筋が伸びてしまうというか、いい意味でいつも試されている気がするので、こちらがそうやって勝手に緊張して、勝手にやる気が出るような、すごくいい緊張感のある現場だと、今回特に思いました。

 

◆加藤さんから見たお2人の印象は?

加藤:そういう話したことないね。

 

森田:確かに、聞いたことないかもしれないです。

 

上白石:怖いけど、聞いてみましょう。

 

加藤:もりここ(森田)とは2回目なのですが、言語感覚がすごく近い感じがしていて、しゃべりやすいです。それは萌歌ちゃんも一緒で、自分と言語感覚が近い人と一緒にお仕事ができるといいなと思ってやっているので、そういう意味では2人ともぴったりだったのかなと思います。

 

◆現場ではいかがでしたか?

加藤:もりこことは2年ぶりに一緒になって、しかも作品のクランクインがもりここだったんですよ。全体的にもちょっと手探りな緊張感が走る中やっていたんですけど、楽しそうにやってくれてよかったなみたいな。マインドが強いので、楽しそうにやってくれていました。基本的に楽しく、みんながやれたらいいなというのは常にあって。そして、萌歌ちゃんでクランクアップだったんです。

 

上白石:松岡は過労で精神的にグラグラしている極限状態から始まるので、ちょっと普通に寝ちゃいけない気がしてソファや床で2時間ぐらい浅めに寝るようにしたら、加藤さんに、「いや、寝たら?」って言われて(笑)。

 

加藤:寝た方が健康だからね。そんなこともありました。

 

◆お2人それぞれ演じる上で難しかったところはありましたか?

上白石:終始ずっとバクバクしていました。モノローグと実際の会話の切り替えがはっきりしている作品なので、このせりふは今誰に言っているのか、自分に言ってる言葉なのかもしれないし、その会合にいる人に言っているかもしれないし、本当にモノローグとして言っているのかもしれない。そういったベクトルを自分できちんと分かっていないといけなかったので、そこの言葉の感覚がすごく難しかったです。

 

森田:そのモノローグを言っていた独白がカメラ目線で言わなきゃいけない。というよりも、演出上カメラ目線で言うようになっていたので、話している相手にしゃべっていたのに、カメラに向かなきゃいけないみたいな切り替えというのがすごく重い作業で…。

 

上白石:お芝居をしていてカメラ目線ってなかなかないよね。

 

森田:脚本を読んだ時点で、「これは絶対にカメラ目線だ」と分かって、すごくのしかかってきたのを覚えています。個人的にはバレエをやっている役だったので、実際にバレエをしている風景を撮るシーンよりも、それ以外のシーンでバレエをやっていた人の姿勢になれているだろうかと、見え方に少し不安というか、意識することが難しかったです。

 

◆この作品だからこその面白さや醍醐味、やっていての手応えを教えてください。

上白石:加藤さん節が全開なところはいちファンとしてすごくうれしかったです。私も舞台、映像のどちらもやっているので、どっちも好きだし、怖いし、楽しいので、その両方のエッセンスを現場で感じられて、完成した作品を見ても感じられたので、早く目撃してほしいなという気持ちになりました。

 

森田:演じる側にとっては、どの瞬間も楽しかったのではないかなと思っています。なかなかここまでうれしい条件がそろうことがないので、ちょっと張り切りがちな空気ではあったんですけど(笑)。それこそ情報解禁のときの加藤さんのコメントで映画的、演劇的の定義の融合みたいなことを言われていましたが、それは自分の中でも撮影時に思っていながらも、決めつけることはなく、いい意味で現場だったり、スタッフさんや監督、スタジオキャストのみんなとの空気に流されながら作った感じが、スタジオという狭い空間でしか起きえなかったのかなと思うので、そこが面白い部分でしたし、しっかり映像として映っているんじゃないかなと思っています。

 

◆タイトルに込められた思いや、登場人物の順番について、何か意図があるのでしょうか?

加藤:ネタバレまでではないですが、モチーフの解説になってしまうので…。俳優たちには、もちろん台本の最初の方にディレクターズノートじゃないですけど、なんでこうなっているのかという話をするための解説を実はつけています。ぜひ皆さんにはタイトルや出演者の順番については最後まで見ていただいて、楽しんでいただけたらいいなと思っています。

 

◆視聴者の方に向けてメッセージを。

森田:年齢層だったり、性別も同じ比率じゃなかったりして、さまざまな話が展開されていくドラマです。こんなに30分の中で、私は1時間半ぐらいの作品を見たかのような気持ちになりました。すごく濃密ですし、必ずしも強く受け取ってほしいと圧をかけるわけではないですが、手放しで見たとしても、何か引っかかる部分が起きるような、本当に面白いドラマだと思うので、楽しみに見ていただけたらと思います。

 

上白石:このドラマは1人1話ごと、それぞれ8つの苦しみとかささいな悩みから、いろんな大きさ、いろんな形のそれぞれの葛藤が描かれるいわゆるオムニバスドラマで、きっとご覧になる方は「自分はこの人だな」と重なる瞬間があると思うので、見ている方も主人公になれるようなドラマだと感じています。私は深夜にテレビをつけて、そのままドラマに見入ってしまうことがよくあるので、深い時間にこの作品を見られるというのはすごくぜいたくだなと。ぜひ春の夜長ならぬ、春の長い夜のおともにしていただけたらうれしいです。

 

加藤:8人のすごく個人的なお話です。その個人的なお話を楽しんでもらえたらなと思っています。

 

PROFILE

上白石萌歌

●かみしらいし・もか…2000年2月28日生まれ。鹿児島県出身。

 

森田想

●もりた・こころ…2000年2月11日生まれ。東京都出身。

 

加藤拓也

●かとう・たくや…1993年12月26日生まれ。大阪府出身。

 

番組情報

ドラマイズム『滅相も無い』(全8話)

MBS:毎週火曜 深夜0時59分~

TBS:毎週火曜 深夜1時28分~

 

<配信>

TVer、MBS動画イズム 見逃し配信1週間あり

Netflixにて全世界独占見放題配信

 

<キャスト>
中川大志、染谷将太、上白石萌歌、森田想、古舘寛治、平原テツ、中嶋朋子、窪田正孝/堤真一

ナレーション:津田健次郎

 

<スタッフ>

監督・脚本:加藤拓也

主題歌:クリープハイプ 「喉仏」(UNIVERSAL SIGMA)

企画・プロデュース:上浦侑奈(MBS)

プロデューサー:戸倉亮爾(AX-ON)、林田むつみ(MEW)

制作プロダクション:AX-ON

協力プロダクション:ウインズモーメント

製作:「滅相も無い」製作委員会・MBS

 

公式HP:https://www.mbs.jp/messoumonai/

公式X&Instagram&TikTok:@dramaism_mbs

 

©「滅相も無い」製作委員会・MBS